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第19話 裏切り

この物語は小さい時から僕の心の中にもうひとつの世界として描いていました。

雑な文章にはなりますが僕の心の中にずっと秘めていた世界を誰かに見せることが出来ればと思います。

僕は零の手を取り、赤紫色に変色した指に湿布を貼った。

指の長さに合わせて折った割り箸を添え、きつく包帯を巻いていく。


「春也くんは、あの子…名前は焔くんだっけ。焔くんとはどう言う繋がりなの?」

焔との関係ねぇ、僕も詳しく説明できないんだよな。友達にはまだなれてないだろうし…

「うーん、友達とか仲がいいとかではないかな。

お互いメリットが一致してるから一緒に行動してるだけ」

「そっか……」

「指、少し痛いと思うけど我慢してね」

当て木がズレないように、きつく包帯を巻いた。


これ、ほぼ全部の指骨折してるのか?

ほんとに容赦なく踏まれたんだな……

「全部の指が痛い?それとも無事そうな指はある?」

「親指と人差し指以外は全滅っぽい」

時間はかかりそうだが全ての指に順を追って処置をしていくしかない。


「包帯巻きながら聞いてもいいか?零は何故焔を狙ってるんだ?」

「…………………………」

零は黙り込んでしまった。なにか言えない事情でもあるのか。


「今更別に何を聞いても怒ったり殺そうとはしないよ。」

「そうじゃない、今お世話になってる人たちを裏切る行為になる……」

お世話になっている人達?焔が言っていた集団か?

「もしかして、蠱毒って言う集団?」

「いや、蠱毒じゃない」

「じゃあなんだ?」

零は答えない。余程裏切るのが嫌なのか、それとも怖いのか。


「条件がある。もしその人達に、僕が春也くんに話したことがバレた時に僕のことを守ってくれるなら話す……」

「守るかぁ〜、僕は零や焔と違って特別な力が無いからなぁ……焔なら可能かもしれないけど」

「焔くんもここに呼んで説明させてくれないかな…」

「いや、それは別にいいんだけどさ、焔は『分かった、守る』なんて言わないと思うぞ…?まあいいや、呼んでくるわ」

僕は包帯を巻く手を止め、焔を呼びに行った。


「おーい、焔。まだ居るか?」

「居るけど何?」

「零がお呼びだよ」

「はぁ?なんだよもう……」

焔は気だるげに教室へと歩いてきた。


焔は教室に入るなり、零の悲惨な指を見て鼻で笑った。

「あ〜…そんな派手に折れてたのか。もう暫くは懲りただろ」

「焔………そんな言い方……」

零はさっきの恐怖がまだ残っているのか、焔の目を見るなり表情が強ばった。


「その………さっきは急に襲いかかってごめん…理由があって…そ、それを話すには…1つ条件を飲んでもらう必要がある……」

必死に声を絞り出しながら話す零の様子を見て心が痛くなった。

さっきまで恐ろしい存在だと思っていたのに今はそんな恐ろしさは微塵も感じない。


「僕は別にそんな情報必要ないさ。理由なんてあってもなくてもどうでもいい」

スパッと話を切ろうとする焔に僕は大焦りした。

「焔……!零、いいよ続けて」

なんとか焔をなだめながら零に話すように促した。


「…………僕が焔くんに話した事がバレたら、殺される。もし…バレた時…そ、そいつらから守ってくれるなら、話せる。もちろん、君ら側の人間になるつもりだ。」

焔は赤い双眸で零を真っ直ぐ見据えている。

零は耐えられなくなり目を逸らした。


「もしお前が僕ら側に着いたとして、裏切らない保証はどこにある?」

「それは…………今は証明できない。これから行動で示すしか無い」


焔は少し考え込んだ後、悪そうな微笑を貼り付けながら口を開いた。

「なら期間を与えてやるよ。お前が俺ら側の人間だと分かるような行動が10日以内に見えなければお前を殺す。それでいいな?」

「焔…お前、そんなの無茶だよ!」

「別に僕らのために何かしろって訳じゃないさ。僕がそう思えるような言動が見えればいいだけだ」

こりゃまた酷い無茶振りだな、でも零が僕らにやろうとしたことの償いにしては全然優しい方か。


「あと、こちら側に着くという事は僕の餌になるという事だよ」

ほらみろ、そんな事だと思ったよ。

零は餌がどういう事なのか分からず、ぽかーんとしている。


「えっと…僕は焔に血を与えながら焔に守ってもらってる。零も焔に血を与えろってことだよ」

「断るなら殺すだけだよ」



「分かったよ………その条件でいいよ。死なないならなんでも良い」

まあ、10日以内に条件をクリアできなければ死ぬことになるんだけれども………


「了解、交渉成立。お前がさっき言ってた理由を話せ」

「分かった………この世界に宗教団体みたいなのが存在してるのは知ってるかな」

「知らない………蠱毒とは別の団体?」

「蠱毒とは別の団体だよ、茜って言う団体で、僕はその1人。茜は1人の神を強く信仰してる宗教なんだけど、その神の姿が最近見えなくなった、逃げ出したって大騒ぎしているんだ。その神を連れ戻して逃げないように厳重に管理しようとしてる」

「で、その神っていうのは?実際に存在してるのか………?まさか、焔の事を神だと言って騒ぎ立ててるのか?」

「そのまさかだよ。焔くんの事を神として崇めている」

今は笑っちゃいけないのは分かってる。分かってるけど焔が神…?それは流石に面白いな。

僕は焔をチラ見しながら笑いを堪えた。

「うんw…そっか…なるほどね……w」

「何笑ってんだよお前」

「痛っ…w」

後ろから焔に頭を叩かれた。


「笑い事じゃないよ…茜は焔くんを捕まえた後、体を拘束して幽閉しようとしてるんだから。で、茜以外の人間が神に干渉していた場合、穢れとして排除しろって言われている」

「だから僕を殺そうとしたわけね」

零はコクっと頷いた。

茜か……正直蠱毒よりも面倒な団体だな。

蠱毒が活動する動機はこの世界で最後の1人になること。焔だけを狙って襲いには来ないのでそこまで面倒くさくない。

茜が活動する動機は焔だ。焔を狙って来るやつの集まりとなると正直こっちの方が大きな脅威になる。


「面倒くさい集団だな。早めにどうにかしておきたいな」

「焔の力量なら勝てるんじゃないの?」

零は僕の言葉を聞いてなんとも言えない表情をした。


「茜のみんなが僕と同じくらいの強さだと思ってるなら間違ってるよ。僕は下っ端だ。僕よりもずっと強いやつは沢山いる。人数もそれなりに多い」

「まじか……それはかなり厳しそうだな……」


焔は少し考え込んでいが、突然思いついたように口を開いた。

「零、今からその連中のところに戻れるか?」

「できるけど…何をする気なの?」

「まだ何か行動しようとは思ってない。零をこちらのスパイにして情報を色々こちらに流してもらう」

なるほど、情報が少しでも手に入れば対策が練りやすい。

しかし、零の中に信仰心が残っているならかなり危険な行為だと思う。


「零、お前は信仰心があって茜に入ったんじゃないのか?こっちに着くなんて軽く言ってるように聞こえるけど、やっぱり信仰心が勝ったので戻りますはもう無理だぞ?」

「僕には信仰心なんてあって無いようなものだよ。信仰してる素振りを見せれば良くしてくれる。居場所や食料も貰える。だから周りに合わせていただけ。春也くん達が居場所になってくれるなら、茜にこだわわる理由なんて無いよ」

「なら決まりだろ。零はすぐに茜に帰っていつも通り振る舞え。もし情報を聞き出せそうなら上手く聞き出せ」

「待ってよ、それでもし怪しまれたりバレたりして僕が殺されそうになったら?」

「それはその時だろ。上手くできないお前が悪い」

零が殺されるデメリットは大きい。

こんなことを言っているが流石の焔も零が殺されないように何かするだろう。


「分かったよ…」

「僕に接触できたが、危うく殺されそうになったから帰ってきたということにしておけ。指が折れただけじゃ怪しまれるかもしれないから他にも傷を作る」

「…………というのは?」

零が不安そうな表情で焔を見つめている。


「殺されそうになったのに指だけで済む訳ないだろ。胴体にも傷を作る」

「待っ………待って待って!!!」

「あぁ、僕はそう言うのまだ見れないから後ろ向いとくよ」

「ちょっ、春也くん助けてくれないの!?」


指だけでも別に怪しまれないだろうに、どうせ焔の八つ当たりも含まれてるだろう。

「ちょっ、ほんとに待って!!痛あああ!!」

「これくらい傷つければ充分だろ」

その言葉を聞いて、後ろを振り向いた。

零が胸から血を流してへたり込んでいる。

「うわぁ………これ大丈夫?死なない?」

「内臓までは傷つけていない。肋骨で止めてある。今は痛みが辛くても帰れ。血が足りなくなるのを防ぐために血を多めに分けといてやるから」

そう言って、いつものように自分の手首を噛んで零の手首に押し付けた。


これから今まで以上に危険な状況になることは想像に容易い。

零が上手く立ち回ってくれることを今は祈るしかない。

お読み頂きありがとうございます。

初作品ですので至らない部分が目立つかと思いますが楽しく書いて行こうと思います。

少しでも続きが気になると思ってくださった方はブクマ、評価して頂けるとモチベになります。


登場キャラクター

・青山春也:現実世界でニートとして生きていたが、電車に跳ねられ気づいたらこの世界に来ていた。焔に餌として守られながらこの世界を出る方法を探している。頭が良く、行動力があるが、体とメンタルが人より弱い。


・焔:髪と肌が白く瞳が赤い。いつからこの世界にいるのかは分からない。血を硬化させたり飛ばしたりして武器にできる。また血を摂取して人に分けることができるなど血にまつわる能力が多い。性別を持たない。春也と最も関わりが深いが謎が多い。


・堀口沙耶:春也が最初に出会った女性。恐らく「蠱毒」のメンバー。ヒステリック気味で我儘なため怒らせると面倒くさい。記憶を無くしていたが焔の言葉で全て思い出し、敵となった。尾骶骨の辺りから先端に刃の付いた鎖を出すことができる。


・零:宗教団体「茜」のメンバーだったが春也や焔の味方へ寝返った。金属を液体にして自在に操る能力を持つ。

能力自体は強いが、使い慣れておらず、咄嗟に使うことができない。


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