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第17話 錆

この物語は小さい時から僕の心の中にもうひとつの世界として描いていました。

雑な文章にはなりますが僕の心の中にずっと秘めていた世界を誰かに見せることが出来ればと思います。

焔はギリギリと音を立てながら零の首を絞めた。

苦しそうに抵抗しながら零の身体は宙に浮いている。

手から逃れようとバタバタと足を動かしているが虚しく宙をかいた。

焔の手には零の爪の跡が何本も浮かび上がる。

焔はまるで痛みを感じていないのか、表情一つ変えない。


「焔………お前………どこにそんな力………」

焔は一瞬こっちを見て悪戯そうに笑った。

不穏な笑顔が張り付いた顔にポタポタと焔の血が点を作り、線を描いていく。

焔の腕を赤い線が流れ落ちていく。

その様子にゾッとした、と同時に魅入られる感覚を覚えた。

今こんなことを考えている余裕なんて無いはずだが、こんなに血の赤が似合う人は見たことがない。どこを探してもきっとこいつだけだ。


「春也、言ってたよな。グロいの慣れておきたいって」

「え、まぁ、言った………」


僕が答えると同時に焔は零を地面へと叩きつけ、組み伏せた。

右手で零を抑えたまま、左手に赤いナイフを握りしめた。

「ちょっ、待っ……………!!やめてやめてやめて!!!!」

「お前…さっきの金属はどうした?使えなくなったか?それとも使うのを忘れてたか?」

零は焔の言葉にハッとしたように目を開き、指を動かそうとした。


「…………痛っ、あああああっ!!」

焔はその動きを見逃す訳もなく、踵で零の指を思い切り踏みつけた。

痛みに耐えられずに零は焔の下で暴れた。


人の骨が折れるところ、初めて見た…

勢いよく骨が折れる時って破裂音みたいな音がするのか…

あぁ………だめだ……見れない……指が痛くなってきた……

胸がゾワゾワする………

やばい………体が冷たくなってきた。

「うっ……………」

気持ち悪くなり、込み上げてきたものを吐くまいと手で口を覆った。

焔はそんな僕の様子を冷たい視線で見ている。

「こんなのも耐えられないのによく言うよ…ほんと。」

焔の冷たい声が刺さる。グロい惨状を見る覚悟はしていたつもりだが実際目の当たりにすると寒気がする。

そうだ、見えるだけじゃない。音も振動も匂いも全て含めてこの惨状を成しているんだ。これは映画やゲームじゃない、リアルだ。


零はもう片手の指を震えながら動かした。しかし動き始めたところでまた焔に踏み折られた。

もう声を上げることも出来ないのか身体を震わせながら浅く早い息をしている。


「…………や………めてくれ」

思わず抑えていた言葉が口をついた。

「僕が見るに堪えないからじゃない…焔にはもっと、人を殺すことを躊躇して欲しい……じゃないと………」

それ以上言葉を続けられなかった。焔の鋭い視線が僕を射抜いていた。

「それはお前の都合だろ?お前に都合がある以上に僕にも都合がある。こいつを生かしておくリスクもあるし、今ここで狩らないと僕のエネルギーが底を尽きてしまう」


分かってる…分かってるんだよ………でも………もう、どうすればいいんだ………


「邪魔するなら着いてくるな。それだけ」

そう言って焔は零に向き直った。零はもう両手を動かせない。あとは焔に殺されるだけだろう。

なんとかこの状況を変えられないか………?

変えるにはもう、この手しかない…………


「……………焔……とりあえず今、血を補給出来たらあとは何とかなるか…?」

「………………は?」

僕は袖をまくり手首を焔の目の前へ差し出した。


「冷静な判断とは思えないね。春也自身、これ以上血が減ったらまずいって分かってんだろ。僕はただ邪魔するなって言ってんの」

「確かに………これは冷静では無かったね……だから今、冷静になった。焔は僕の血を吸う時、死なないように加減をしてくれてるよな…?零の血も殺さずに吸ってくれないか?その後のリスクについては一緒に考える。力は無いけど考えることは出来る。だから…………」

「はっ………どこが冷静なんだよ。…………なんかもういいや……萎えた」

そう言って焔は零の首筋にナイフを滑らせた。

静かに血が流れ出す。焔は傷口に口をつけた。

零は何が何だか分からずに抵抗した。


「じっとしろ、もうお前を殺す気はねぇよ。あいつがうるせぇから」

零は焔の言葉を信じきれない様で、怯えるように目をぎゅっと瞑っていた。


「焔………お前………ありがとう」

「…………後で話そう」

ああ、これあれだ、詰められるやつだ。

でもいい、僕は間違ったことをしたつもりは無い。

無闇に殺さずに焔が生きていく方法が必ずあるはずだから。


血を吸い終わったあと焔は零の体を起こしてこちらへ投げるように突き飛ばした。

倒れかけた零の体を慌てて支える。

「もう僕はこいつに関与しない、お前の好きにすればいい」


血を吸われた零の体は冷たくて重かった。

「零………お前が焔や僕に危害を加えないなら僕らもお前に危害を加えたりしない。一旦安全そうな場所に連れていくからそこで反省しろよな」

「………………」

零は項垂れたまま血が滲むほど強く唇を噛んでいた。

「それと……焔を狙う理由を教えてくれ。他にも同じ目的を持つやつがいるならその対策を取らないといけない」

「……なんで…………なんで殺さなかったの?」

「別に、お前に死んで欲しいと思ってないよ、少なくとも僕はね。会話を交わした数少ない人間だし、それに死ぬ人は少ない方がいいからね」

零は決まりが悪そうに目を逸らした。

こいつも根は悪い奴ではないのだろう。


とりあえず零を僕らがいた教室へ連れていこう。

あそこなら食料もあるし怪我が治るまでの間生き延びられるだろう。

「よし、行くぞ」


零を背負い、元いた方向へと歩き出した。

案の定、焔は着いてこなかった。恐らくだが僕を置いていくだろう。

心の底から冷たいやつでは無いと思いたいが、こういう状況だとどうしても焔には人の心がないようにしか思えない。


とりあえず、今は零の避難と応急処置が最優先だ。

零の傷に響かないように慎重に動く。

零と僕の体重を乗せた足はゆっくりと教室へ歩を進めて行った。

お読み頂きありがとうございます。

初作品ですので至らない部分が目立つかと思いますが楽しく書いて行こうと思います。

少しでも続きが気になると思ってくださった方はブクマ、評価して頂けるとモチベになります。

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