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第13話 目眩と体温

この物語は小さい時から僕の心の中にもうひとつの世界として描いていました。

雑な文章にはなりますが僕の心の中にずっと秘めていた世界を誰かに見せることが出来ればと思います。

どのくらいの時間眠っていたのだろう…

体が寒い…頭に強く圧力がかかってるような感覚。

どうやら僕はまだ死んではいないみたいだ。


なんだか右手が温かい。

温もりの正体を知りたくて瞼を開いた。

視界がぼやけて輪郭がはっきりとはしなかったが真っ白なシルエットが見え、それが焔だと理解するまでに時間はかからなかった。


「焔……………?」

「起きるの遅せぇよ」


なんかまだ怒ってる?なんか語気が強い。

まあ色々あった後だし仕方ないか。

「沙耶さんは……?」

「………深手を負わせはしたけど、逃がしてしまった」

ふと沙耶さんの腰から伸びていた鎖を思い出した。焔と同じで沙耶さんも特異な体質を持っていたな………


「焔は無事なのか…?」

「餌が捕食者の心配するなよ」


視界がはっきりとしてくると焔の姿がくっきりと浮かび上がった。

焔の背中が一面赤く染まっている、かなり血を流したらしい。

血が足りないだろうに、それでも僕の手首に自らの手首を押し付けて血を分けてくれている。

ふと腹の傷の存在を思い出し、自分の腹を見た。

傷が赤い糸で縫われている、焔がやってくれたのか。


「焔…………もう大丈夫だから……焔の血が無くなる…」

「いいから黙ってろ。口も縫うぞ」

「焔………僕は焔にとってただの餌だろ…?なんでそこまでするんだよ」

「………………………」

焔は顔を背けて黙り込んでしまった。言っちゃまずいこと言ったかな。


少しづつ体に熱が戻ってきた。

それと同時に焔の血色が悪くなっているのが分かった。


「まじでもういいって!焔が死ぬだろ!」

焔の血色の悪さに焦った僕は思わず上体を起こした。

「…………うるさいなぁ」

そう言って焔は勢いよくこっちを向いた。

焔の目からは威圧するような冷たさが消えていた。

別行動を始める前と変わらない焔の目を見て不思議と安堵の息が漏れた。

「よかった…………もう……そんな目出来なくなったのかと心配になったよ…」

「…………………は?」

僕の言葉に焔は困惑した表情を見せた。

「お前さ…僕たちを追ってきた時、どんな目をしてたと思う?」

「そんなの…自分じゃ分からない」

「呼吸一つ気取られて殺されてしまうような、僕達の呼吸すら許さないような目をしてた」

「何それ…呼吸は勝手にすればいいじゃん」

焔は手首を離し、僕の手首を手のひらで圧迫して止血していた。


「春也さ…あんまり人を信じすぎるなよ。僕以外は信じるな。もう僕じゃ手に負えないくらい危険な状況になってる」

「危険………?あの化け物の時よりも?」

「言ったじゃん。人の方が怖いって」

確かに、そんなこと言ってたような気がする…

さっきの出来事でその言葉の説得力が一気に増した。


「春也より先にここに来た人達が暴れ始めてる。やっぱりここに来た皆の目が覚める前に殺しておくべきだった」

「殺すって…………そんな」

「………は?まだそんな生ぬるいこと言ってるの?自分が置かれてる状況分かってる?」

焔は僕の顔を片手で掴み僕に言い聞かせるように視線を無理やり合わせてきた。

「い………いひゃい……(い………痛い)」

「分かる?殺さないとこっちが殺されんの。春也も人を殺すくらいの気持ちじゃないと死ぬの」

焔は強い口調で捲し立て、僕の顔から手を離した。


「焔は………………………」

「何……?まだなんか言いたいことあんの」

「焔は…………僕のことただの餌だと思ってるのにここまでしてくれるのか?餌に対しての扱いを超えてる気がする」

僕の言葉が意外だったようで焔は驚いたように目を見開いた。


「そんなの気のせいだろ、僕が安定して餌を得るためにやってる事だよ」

「気のせい…………かなぁ?だってさ、今の僕と焔は段々とお互い血が不足して来てるんだよ?僕だけにこのままこだわってたらお互いの血が減って餌と捕食者の関係が成り立たなくなるというか………」

「……………………」

納得行かなかったがこれ以上反論したら焔をさらに不機嫌にさせるだけだ。

今は口を噤んでおこう。

「ごめん………………なんでもない」


焔はよろめきながら立ち上がり建物の外壁によりかかった。

「春也の言った通りだよ…間違いは無い」

血不足による立ちくらみを堪えながら焔は声を絞り出した。

「でもさ、春也は何か食べればまた血が増えるだろ…?人間は食物から体が作られるわけだし」

「それは………そうかもしれないけど、それも限界があるのでは…」


焔は僕の言葉を聞かず僕の手を掴んでゆっくり歩き出した。

「春也が食べるもの、確保しに行こう」

「えぇぇ……そんな体で歩けるのかよ…」


手を引いて僕の前を歩く焔の表情は見えないが、何故か優しさが滲み出ているような気がした。

気のせいでなければいいと今は願うばかりだ。

お読み頂きありがとうございます。

初作品ですので至らない部分が目立つかと思いますが楽しく書いて行こうと思います。

少しでも続きが気になると思ってくださった方はブクマ、評価して頂けるとモチベになります。

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