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第12話 金属音

この物語は小さい時から僕の心の中にもうひとつの世界として描いていました。

雑な文章にはなりますが僕の心の中にずっと秘めていた世界を誰かに見せることが出来ればと思います。

沙耶さんと焔は動きを止め睨み合っていた。

両者の間に緊張が走っている。


沙耶さんに刺されたのが未だに信じられない。

我儘な部分は多かったけど、味方だと思っていた。

春也は薄れそうな意識を何とか保ちながら思考をぐるぐると巡らせていた。


「あんた焔って名前だっけ?あんたはいつから私が危険だと思ってたの?」

「君と話すことはもう無いよ」


焔はそう吐き捨てて自らの尖った犬歯で手首を噛み切った。焔の手首から赤黒い血が伝って流れた。

「あっそ………話をする心の余裕も無いわけ。なら、申し訳ないけど………………」

沙耶さんの鎖が不気味に動いた。まるで獲物を狙う蛇の様だった。

「動けなくするか、殺すかしかないかな」


沙耶さんの言葉には今までの明るさはまるで感じなかった。ずっと明るく振舞っていたのは、演技してたってこと?

まるで別の人間になってしまった様だった。


沙耶さんは身を捩って腰から伸びた鎖を焔へと向けて叩きつけた。重い金属が甲高い音を立てて地面を叩く。

焔は鎖が届く寸前で避け、沙耶さんの方へ駆け抜けて行った。


焔は沙耶さんに攻撃をするかのように思えたが、素早い動きで駆け抜け、背後へ回り込んだ。

攻撃を避けられたのか…?いや、違う。意図的に通り過ぎたんだ。


焔が通り過ぎた軌道上には、手首から流れ出た血が点々と撒かれていた。


突然、血が鋭い針へと変化し、沙耶さんの顔面に向かって飛んだ。

大量の針が沙耶さんを襲ったが、届く寸前に沙耶さんは鎖でそれを薙ぎ払った。

鎖の衝撃で軌道が狂った針は地面へと散らばり、溶けるように液体に戻った。焔は無数に散らばった血溜まりを踏みつけながら沙耶さんへと歩みを寄せた。


「あんたの情報は出回ってる。攻撃パターンも、どんな能力を持ってるかも。」

そう言って沙耶さんは焔へと鎖の先端の刃を向けた。

勢いよく助走をつけて焔へと鎖を叩きつける。

鎖が甲高い音を立ててアスファルトにヒビを入れた。

焔は咄嗟に鎖を躱して片手で鎖を掴んだ。


「はは…………そりゃ困ったな」

焔は沙耶さんの言葉に少し渋い顔をしたが、鎖を掴む手を緩めることはなかった。

沙耶さんは鎖を掴む焔の手を振り払おうと鎖を激しく揺らしたが、焔の手は鎖を離さない。

焔が強く鎖を引くと身体の軽い沙耶さんは僅かに体制を崩した。

その瞬間を焔は見逃すはずがない。


手首から流れる血を赤いナイフに変えて握った。

焔の手に握られているナイフに見覚えがあった。

あの赤いナイフは血を硬化させて作っていたのか。


ナイフを逆手で握り、沙耶さんの方へ駆け出した。



しかし、鎖の距離の方が遥かに近かった。

鎖の先端の刃が焔の背中へ突き刺さった。


焔は痛みに顔を歪めたが、動きを止めることなくナイフを振り上げた。



──僕の記憶はここで途絶えていた。


途中で意識を失ったのだろう。

熱が失われるのを感じながら瞼を閉じていた。

お読み頂きありがとうございます。

初作品ですので至らない部分が目立つかと思いますが楽しく書いて行こうと思います。

少しでも続きが気になると思ってくださった方はブクマ、評価して頂けるとモチベになります。

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