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第11話 人間不信

この物語は小さい時から僕の心の中にもうひとつの世界として描いていました。

雑な文章にはなりますが僕の心の中にずっと秘めていた世界を誰かに見せることが出来ればと思います。

辺りを警戒しながら学校の駐車場を歩いていた。

最初に見た倒れている人達はまだ目覚めていないみたいだ。むしろ倒れている人数が増えている気がする。


包丁を直ぐに取れるようにポケットに手を突っ込んでいるフリをして腰に手を置いて歩く。


正門から外に出た。学校の外にも殺気立ったどんよりとした空気が漂っている。


「ほんっとになんもねえな……さすが田舎…」

「ね………ねね……歩くの早すぎるって……あの1つ目の化け物とか出てきたら…」

「あの化け物は焔がある程度始末してくれたっぽいけど…」

「え……あの白いのが??でも!生き残りとかいるかも!」

「そうだね、気をつけて歩こう」


沙耶さんが僕の腕にしがみついてきて歩きにくい、柔らかい触感が腕に当たるから尚のこと色んな意味で歩きにくい…


「あの…………当たってるんですけど………少しだけ離れれます??」

「え…………そんなぁ……別にそんなこといいじゃん………」


なんでさらに押し付けてくるんだよ。

仕方が無いのでこのまま歩くか…


「なんで歩いててコンビニがこんなに見つからないんだよ…」

「そりゃ…田舎だからじゃないですか……」


さすが香川、田んぼと民家とうどん屋しか無い。

ふとどこかから気配を感じた。

咄嗟に包丁を抜き取って構えた。


「沙耶さん………何かいるかも……」

「え………あ………ちょっ……無理無理無理無理」


咄嗟に沙耶さんに腕を引っ張られて巻き込まれるように後ろに転んだ。


「ちょ…………危ないって!!僕包丁持ってるんだよ!?」

「だって!!!そんなこと言われても!!!」

沙耶さんは今にも泣き出しそうな目をしていた。



「へぇ、2人とも随分楽しそうじゃん」

体を起こそうとした時、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

咄嗟に後ろを向くと真っ白で異様に目立つ姿が目に飛び込んできた。


「…………てめぇ!焔!!!今までどこ行ってたん………だ………」

恨み言一つぶつけてやろうかと思ったが焔の目を見て

その気持ちは失せた。

言葉で形容できないが、なんか前の焔と違う。


なんか、怖い。


「焔…………………??」

手足が石になったように重い。冷や汗が背筋を伝った。


「獲物がさ……逃げようとしたら困るでしょ?お前さ、僕のこと友達だと思ってるのか知らないけど舐めすぎ。餌なんだから自由に出来ると思うなよ。」

焔の声が低い。恐怖で頭が真っ白になる。


「焔……………なんでそんなに怒ってるんだよ…………」

震える声を絞り出した。

焔はその様子を見て目を細めた。

「怒ってないさ別に。色々と気をつけて欲しいだけだよ」

そう言って沙耶さんの方へ視線を向けた。


「君さ、春也に付きまとわないでくれない?」

沙耶さんは焔のド直球な言葉に一瞬面食らった様子だったがすぐに負けじと言い返し始めた。

「は、はぁ??急に何言ってんの?またメンヘラ?めんどくさいんですけど!!」

「そういうのいいよ、自分が何者か分かってるだろ」

「あのさ?こっちも命かかってんだ?春也さんに惚れてんのかなんなのか知らないけど、あんたのその身勝手なメンヘラに巻き込まれるこっちの身にもなれよ!!」


焔は突然、沙耶さんへと一気に間合いを詰めた。目に見えない速さで一瞬何が起きたのか分からなかった。

「ちょ…………な、何!?」

「記憶が無いなら思い出せ。思い出せなくても春也には近づくな」

そう言って焔は沙耶さんの服を掴んで引き倒した。

咄嗟のことに驚いた僕は思わず大声を出した。


「焔!!!お前!!何が気に入らないのか知らないけど女の人に手を上げるのは無しだろ!!!」

「それは男性に限った価値観だろ?僕は男じゃないし、弱いフリをしているこいつが悪い。反撃しようと思えばできるだろ。なあ」

焔は再び沙耶さんの服を掴んだ。

沙耶さんは怯えているのか肩を震わせている。


「もういい!!お前の餌になんかなるか!!約束も無しだ!!沙耶さんを離せ!!」

僕は焔に向かって包丁を構えた。

焔は横目でこっちを睨んでいる。どうせ僕に決定権を与える気は無いのだろう。しかし沙耶さんに手を上げるのは話が違う。


一瞬、焔に隙ができたのを見て沙耶さんは逃げ出し、僕の胸へと飛び込んできた。

「沙耶さん安心して。僕がこいつを沙耶さんに近づけないよう…に……」

突如景色が傾いた。

体が地面に叩きつけられる。

何が起こったのか分からなかった。


「っ……………なに………これ」

みぞおちの辺りに熱が広がっていく。

息がまともにできない。

目の前には倒れた僕を見下ろす沙耶さんの姿があった。


「沙耶さん…………何が起こっ………」

沙耶さんの手を見て理解した。沙耶さんの手には僕が持っていたはずの包丁が握られていた。包丁には血と脂のようなものがべったりと付いている。


(沙耶さんに刺された………なんで!?!?)

焔は沙耶さんへと無言で飛びかかった。

「ありがとう!!!あんたのおかげで思い出した!!!私がこの世界でやりたかった事!!!」

沙耶さんは焔の攻撃を避けながら包丁を焔に向けて投げた。

「そうだった…私の望んでいる事は……この世界で最後の一人になることだった!!」

恍惚とした表情で叫ぶ沙耶さんの尾骶骨の辺りには先端に刃物が付いている鎖が2本生えていた。


(僕は…………騙されていた………?ずっと仲間だと思ったのに…………なんで………)


ふと頭上から声が降ってきた。

「どうする?さっき春也が言った通り約束無かったことにする?それとも約束は継続?」

焔が僕の顔を覗き込んでいる。

呑気にそんなこと言ってる場合か…!

ヤバい…意識が遠のいてきた…


「餌として守られるか、自由の身になって死ぬか」

ああもうそんなの、餌になって守られるしか無いじゃねえか!!


「………継…………続………」

「りょーかい…………わかった」

崩れかけた関係がパズルのピースをはめるように元に戻っていく音がした。

お読み頂きありがとうございます。

初作品ですので至らない部分が目立つかと思いますが楽しく書いて行こうと思います。

少しでも続きが気になると思ってくださった方はブクマ、評価して頂けるとモチベになります。

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