第六章〜感想?
宜しく御願い致します。
「っていうか、率直な感想、きかせてよ。忖度とかなしで、さ。聞きたいんだよ。文学部に入学できるような実力をお持ちの先生の客観的なご感想を、ね。ぼくだって本気で何かを書きたいのさ。わかってくれるかなぁ」
純悟郎の発言が敬語では為されなくなっているのに私は気付いて少し恐怖した。心做しか、母親の視線も鋭くなっていて、問答無用に私に突き刺さってくるのであった。
気圧された私は仕方なく再び眼を原稿に落として読み進めるしかなかった。
『ぱしん』
『ぴしん』
━━な、なんなんだこれは?これをどう解釈せよといえのだ?どういうことだ?最近の若者たちにはこれの意味が理解出来るとでもいえのだろうか?
私は出すべき言葉を必死に探した。これはもしかしたらわからない私の感性の方がおかしいのではないかと、つくづく焦り、劣等感に苛まれるのだった。
「どうなの?」
「いかがなものでしょう?純悟郎は作家を目指してるんですのよ。本気なのですよ。いかが?率直に!」
母子の言葉が私の耳に刺さる。まるで尋問でも受けているかのようだ。
「それは・・・」
「はい?」
「いや、これは・・・」
『ぽかーん』
━━意味がわからなくてぽかんとする、のあれか?それとも薬缶で頭でも殴ったというのか?
なんだこれは?
「いかがですの?」
母親が焦らせた。
「なんというか、迫力ある描写の戦闘シーンですな」
ほぼ、苦し紛れ、ヤケっぱちであった。
「いや。その・・・。なんらかの戦闘シーンだと私は思っているわけなのですが・・・」
有り難う御座いました。