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(兄貴へ ここから帰ったら、親へ伝えてくれ。おれの元恋人の広部 康介が家の借金を肩代わりしてくれるといっている。そして、北茨城の山城叔父さんの借金も肩代わりしてくれるってさ。これで、ほんとスッキリできるな。広部の奴は、地獄。家は天国。 弥生)
「これ、弥生さんの本だったんだ……火端さんに書いてくれていたんだ。弥生さんは、ここから帰るようにと……切に願って……。でも、火端さんも気がつかなかったんだ」
私も急がないと、二人は大焦熱地獄へ行ったんだ。
オールを力を入れて漕いで、火炎が迸る沖を目指す。はるか遠くで、大きな音と共に噴火のような灼熱が天高く舞い上がっていた。
沖へ近づいて行くにつれ、火の粉が風に乗ってきている。海水は冷たいので助かっていると、恐ろしい猛火に焼かれる半透明な人型の魂が、救いを求めて、海へと大勢落下していた。
ここは、本当の地獄なのですね。
無事に沖へ船をつけると、シロを連れて陸へ上がり大汗を掻きながら、焦熱地獄から大叫喚地獄までの洞穴を探すことにした。




