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「わっ! 音星! 見るな!! ひえっ!」
「はい? うん?」
音星は俺の近くにいて、すでに目を瞑っていた。俺のそばで、地面に座っているシロも浄玻璃鏡で、この世界へ来ていたようだ。
そこは、熱鉄のかまがいくつも設置されていて、半透明な人型の魂の口から立ち昇る白煙で、時折目の前が見えにくくなる広大な島の中央だった。
はるか遠くの四方に、激しい火柱が昇っている。
獄卒たちが忙しそうに、空から降って来る罪人を熱鉄のかまに押し入れていた。
ボロボロの服を着た罪人は、獄卒によって、熱鉄のかまに焼かれて瞬時に半透明な人型の魂と化す。
ジュッと、辺りから蒸発する音と共に、人が焼ける臭いのする凄まじいところだった。
俺は音星とシロを連れ、暑さに耐えながら弥生を探した。
弥生!
お兄ちゃん地獄へまた来たぞ!
はるか遠くの火柱から火の粉が、風に乗ってこっちまで舞ってきた。
「アチチ! くっそー、このままじゃ、暑さにやられる! なんとか涼しいところを見つけないと! ……うん? シロ?」
「? シロ?」
「ニャ―……」
焦熱地獄の凄まじい暑さで、音星とフラフラ歩いていると、シロは小さな白い花が、一輪だけ咲いているそこそこ広い大地の方を向いている。
シロはそのまま。そっちへトコトコと歩いて行ってしまった。時折、立ち止まっては、こちらへ振り向いてから「ニャ―」と鳴いている。
まるで、俺にはシロが早くこっちへ来いと言っているようにもとれた。
「良かった! シロ! ありがとな!」
「火端さん! どうしたのですか?」
「音星。シロを追うぞ! シロが安全で涼しいところを見つけてくれたんだ! このままじゃ、俺たちの命に関わる!」
「はい!」
俺は慎重に音星の腕を引き寄せてから、熱鉄のかまや、獄卒たちを避けて、走り出した。




