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スポーツ用品店から外へ出ると、肝心なシロがいなかった。
「あれれ?」
「どうしたのでしょう?」
「確かに玄関ドアのところに、いたはずなんだけど……一体?」
「シロ! シロ! どこやーい! ……ほんと、どこへ行ったのでしょうか?」
俺の脳裏に不穏なことが過った。
スポーツ用品店の照明に、仄かに映る音星の顔にも陰りが見えてきた。
「まさか?! シロ?! もしかして、魑魅魍魎に襲われたのか?! だとしたら、どうしようか?」
「え?! 火端さん! ……シロがこっちへ来ますよ」
シロが夜の闇の中から、足早に駆けて来た。
「シロ?」
「ニャ―」
シロは、すぐに元来た道へ戻って、ニャーっと鳴きがら道案内を始めた。
「ああ、そういうことでしょうね」
「?」
「火端さん。シロはきっと、ドライアイスのあるところまで、安全かを確かめに行ってくれたのですよ」
「そうだったのか……シロ……」
音星がパッと明るい顔をして、シロの後を付いていった。
俺はシロにすごく感謝をした。
こんな外灯の明かりも全て消えている夜中の八天街で……。
この猫は……ただ親猫を失っただけじゃ済ませないんだな。
「火端さん。早く! シロを見失いますよ」
「さあて、俺も行こうか!!」




