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勇気と巫女の八大地獄巡り  作者: 主道 学


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7-61

 それから俺たちは流れに流れて、白い花がたくさん咲いている岸にたどり着いた。俺と音星の身体中からは、血の池でついてしまった赤い色はなくなったけど、その代りムッとくる血の臭いがするようになってしまった。


 岸で俺は音星を横たえてから、立ち上がった。

 

「大叫喚地獄……なんかここも……殺風景だな。いや、でも何故か静かになってる」

「火端さん。……本当にありがとうございます」


 音星が目をパッと開けて、横になっている状態で岸の周りに生えている花々を見回した。そして、肩にぶら下がった布袋を確認しながら、ゆっくりと立ち上がる。


「……火端さん。私、少しだけ気を失っていました。助けてくれて、本当にありがとうございました」


 音星は俺に向かって頭を深々と下げた。


「い、いや……当然なことだったから……って、ひょっとして、音星は洞穴から落ちてからのことを全然覚えていないのかい? ずっと目を閉じていたままだけだったけど?」

「……ええ、ずっと夢の中でお花畑にいました」

「ふぅー、まあ、それはいいか。お互いなんとか助かって良かったよな」

「ええ」


 音星は辺りに、半透明な人型の魂も獄卒もいないのを不思議がっている。俺もそれは不思議に思っていたんだ。


 それから、音星はゆっくりと肩に掛けていた布袋から古い手鏡を取り出すと、割れていないかと色々な角度から見つめはじめた。


「火端さん……。弥生さんが心配ですが、一旦。八天街へ戻りましょう」

「え? ああ。そうだな……さすがに疲れたしな。確か地獄と現世では時差があるもんな」

「ええ、あの火端さん? 少し気になってしまって……不思議なことをいうようですが、ここがどこだかわかりますか?」

「え? 大叫喚地獄だと思うけど……」

「いえ。恐らく……今、私たちがいるところは……ここは焦熱地獄だと思うんです」

「ええ!? あの別名炎熱地獄の?! あ、でも。全然、違うんじゃないのか? ここら一体どこもかしこもまったく熱くないぞ?」

「ええ。でも、あっちの方……見えますか? ほら……あそこだけですが、空が真っ赤に染まっています。それに地上では火柱が噴き出ていますし、そのせいで大空が燃え盛っているように見えるんです。でも、ここにはお花が咲いています」


 音星が指差す遥か西のところを見ると、恐ろしい猛火が噴出している広い大地があった。 焦熱地獄は、五戒全部を破ったものが落ちるとされている。別名、炎熱地獄って言って物凄い熱い場所なんだ。確かに言われてみるとな……。


「地獄では、阿弥陀如来が菩薩と共に、地獄で往生している人を迎える時があるのは知っていますか? 」

「あ!!」

 それと、音星が言った。阿弥陀如来が菩薩と共に、往生している人を迎える時があるといわれているのは、地獄絵の最後に來迎図らいごうずというものがあって、地獄にも救いがあるようなんだ。


 あ! ひょっとしたら!!


 弥生のために、阿弥陀如来が菩薩が来てくれたのかも知れない!

 早速、この辺を調べてみよう!


 八天街に戻るのは後だ!!

 弥生がいるかも知れない!!

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