61/113
6-54
「そ、それまでこの広い場所を走り回るのか?! 兄貴?」
「え? ああ……」
今度は弥生が俺の夏服の袖を引っ張りだして、走り出した。すぐ後ろに獄卒がいたからだ。獄卒は俺にも金棒を振り回していた。
「ひえっ!! こりゃ音星を待ってられないかもな……」
そこで、俺たちは数ある骸の山の一つを急いで登ることにした。
灰色の空からは、まだ罪人たちが大勢降って来る。
あっという間に地面は真っ赤に染まり、派手に血潮が辺りに舞う。
ここは大叫喚地獄。
俺に嫌というほどここが地獄なんだと思わせた。
慈悲も仏もないんだな。
周囲の獄卒たちはざわめきだし、皆俺たちを追いまわしていた。
骸の山を登り切ると、今度は地面へ向かって一直線に降りだす。
そこで、弥生が叫んだ。
「あ、兄貴!! あそこに巫女さんがいるぞ!!」
「お、おう!!」
真っ赤な地面にポツンと立っていた音星は、急いで手鏡を布袋から取り出してから、こちらに気がついて手招きしている。




