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激しい雷鳴と共に、鏡が輝き出した。
落雷が近くへ落ちた轟音がする。
俺は鏡面が仄暗い洞窟を映しているのを見て、いよいよだなと思った。
キュー――ン。という、過度な吸引音と共に俺は鏡の中へと勢いよく吸い込まれていった。
…………
「うん?? 痛ってーーー!!」
俺は気がつくと頭を抑えた。
頭部がズキズキと鈍い痛みを発している。
めげずに辺りを見回すと、そこは仄暗い洞窟の中だった。
さっき、鏡面に映っていたところだな。
轟々と風の音が奥から聞こえてきた。
気温は不思議と寒くはない。そして、熱くもなかった。
痛みを発した頭を撫でながら、俺は強い風が吹いている洞窟の奥へと歩くことにした。
ピタッ。ピタンッと、水滴の音がたまにするのと、激しい風の音以外はしない洞窟の中で、俺は今日の夕食をとっていないことを思い出す。
昼から何も食ってなかった。
途端に、グゥ―と腹の虫が鳴った。
「地獄巡りバスツアーの後に、すっ飛んで来たからなあ……腹減った……地獄に食べ物なんてあるわけないぞ」
俺はリュックサックの中にある最後の菓子パンを、昼間にバスの中で食べてしまったことを悔やんだ。
「うん? 何か聞こえる??」
暗い洞窟の奥は、相変わらず風の音が凄まじい。
けれど、人の足音が聞こえた。
だが、どう聞いても靴の足音じゃない。
まるで、素足で歩く音だった。
ヤバいかな?
戻って、元来た道を逃げるか?
そう思った時に、向こうから人を呼ぶ声のような……。




