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勇気と巫女の八大地獄巡り  作者: 主道 学


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3-22

「そうなんですけど……それでは、あの妖怪は一体何でしょうね?」

「え?? 確かに……」


 提灯片手の音星の問いに、一瞬、俺は思考が硬直した。その時、俺の脳裏には、おばあちゃんの言葉が浮かんできた。


 本物の……魑魅魍魎。


「浮かばれない魂なんて、そこら辺にごまんといるんだよ。そんな魂は魑魅魍魎となるんさ。あんたも気をつけな。あんまり下ばかり向いていると、いつか足を引っ張られるさね」

 

 提灯と人魂による光源で、鍾乳洞の内部は水滴に覆われた鍾乳石がキラキラと輝いていた。天井から水滴がたびたび、落ちてきていて。俺のおどこで弾けた。おでこを腕で拭って上を向きながら、少しの間。考えた……。そうだな。たくさんいるんだよな……浮かばれない魂は……。


 それは、多分……。


「きっと、ここ地獄へも落ちなかったんじゃないかな?」

「え……?」

「彷徨って、彷徨って、ただあの世とこの世を彷徨うだけなのかもな」

「……まるで、帰り道を忘れた旅人のようですね」

「……ああ」

「火端さん。あの。あそこで、お昼にしませんか? もうだいぶ良い時間ですよ」

 

 音星は肩に背負った布袋を下げて、ニッコリ微笑んだ。音星が指差した場所には、ちょうど、鍾乳石の上に俺たちが座れる高さの台のような突起があった。もう一つの光源の人魂は静かに辺りを照らしている。


「ああ。さんざ、走り回ったしな」


…………


「う、うぷっ。食い過ぎた……」

「火端さん。大丈夫ですか? あんなにあるのに全部食べるから……」

「つ、次は衆合地獄へ行かないか?」

「ええ」


 音星の心配の通りに、俺はおじさんが作ってくれた超特大ドライカレーおにぎりを、4っつも無理にでも完食したのだった。お陰で、腹が……はち切れそうだ。腹がこなれるのには、時間がかなり必要だろうな……。腹を抑えてのここから、衆合地獄へと行く道を探しだした。洞窟の中はいつまでも静かだ。これなら、落ち着いて地獄の第三層への道を探せそうだった。


 衆合地獄とは、窃盗、殺人、姦淫の三つを犯したものが落ちる地獄で、牛頭ごず馬頭めずに追われ続け、石や鉄山などで圧死させられる場所だった。 


   

 ピタン、ピタン、ピタン……。


 水滴の音以外には、後ろを歩く音星と俺の足音しかしない。とても静かな場所だった。

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