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勇気と巫女の八大地獄巡り  作者: 主道 学


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恐山菩提寺からきた巫女?

 大分県 別府 八天街はってんがい裏通り 26時42分





 ガガガガ、ガガガガ、ガガガガ……。


 俺のリュックサックの中のラジオが急にガガガガと鳴りだした。小うるさいので、ラジオを消そうとして背中に左手を伸ばしたが。その途端に、左手に冷たい感触を覚えて背筋がゾクリとした。


 ここは、日本で最も地獄に近い街。


 バスで海地獄。鬼石坊主地獄。かまど地獄。血の池地獄。龍巻地獄。鬼山地獄。白池地獄を地獄ツアーで巡った後で、「俺、とある事情で地獄に興味があるんです。今では、ちょっとした地獄マニアなんです」としつこく言うと、呆れたバスガイドさんは、ここ八天街をお勧めしてくれた。


 バスガイドさんによると、八天街はかなりやばいとこらしい。


 確かに今、実感しているけど……。


 どうやら、ここには本当の地獄への入り口があるらしいんだ。



 夜の八天街は、人通りが多く。

 大通りには、ブランコが中央にポツンとある公園。品物が店外にはみ出た雑貨屋やこじんまりとした銭湯。煤ぼけた古本屋などがあった。洋食レストランにステーキハウス。喫茶店などがあった。


 その大通りから裏通りへ向かうと、


「やっと、見つけた!」

 

 俺は歓喜した。

 

 深夜なので、喧騒も静まり返った裏通りにそれはあった。隣接する建物は飲み屋が多い。その奥に煤ぼけた小さな神社があった。そこが、バスガイドさんから聞いた話では地獄への入り口の目印らしい。


 そんな俺はどうしてここまで地獄へこだわるのかというと、妹が冤罪を犯して死んだからだ。


 だから、俺は今も妹を探している。

 地獄の勉強をしまくって早1年。

 お蔭で、今ではちょっとした地獄マニアだ。


 ダンテ新曲。

 八大地獄。

 地獄とは違うけど、日本の黄泉国ヨモツクニ。中国で死者の赴く場所を黄泉コウセンまたは泉下センカと呼んでいるところも知っていた。


 妹は確かに地獄へ落ちたはずだ。

 だから、俺が探さないといけないんだ。


「早く探さないとヤバいかな」


 バスガイドさんは眉唾物の情報か噂話を俺に流したのだろうけど、本物は本物だ。


 本物なんてそこら辺に本当にあるんだ。

 ほら、俺の後ろにもある。


 ろくろ首だ。


 俺は神社の鳥居まで走った。

 鳥居は古ぼけていて、葉や枝で覆われている。

 鳥居に入ると、そこまでは追ってこないのか、ゾクリとした時からあった鳥肌がなくなってきた。 


 これが本物……魑魅魍魎だな。


「浮かばれない魂なんて、そこら辺にごまんといるんだよ。そんな魂は魑魅魍魎となるんさ。あんたも気をつけな。あんまり下ばかり向いていると、いつか足を引っ張られるさね」


 昔、おばあちゃんが言っていたっけ。


 俺は後ろと下を見ないで、境内の玉砂利の上を歩いた。


 掴まったら喰われてしまう。

 だから、逃げるか隠れたりするのが一番だったりするんだ。


「さて、どこにあるんだ?」


 俺は地獄への入り口を探した。

 あ! 確かバスガイドさんは鏡がどうとかいっていたな。


 鏡を探そう。

 多分、本殿の中にあるはずだ。


 こじんまりとした神社だ。

 本殿の中に入れば、すぐにわかった。


 鏡は神社の中央に上を向いて設置されていたので、俺は自分自身を映すために向きをこっちへ変えた。


 妙に外からの風の音が大きくなって、本殿の中も寒くなって来るが、俺はその鏡の前に立ってみた。


 途端に、外から雷鳴が激しくなり響き、俺を映し出す鏡面がぐにゃりと歪んだ。


 だが、俺は見間違いだとは思わなかった。

 ああ、鏡が歪んだんだなあとしか思わなかった……。


 あれ?

 鏡が歪んだわけじゃないや。

 俺の姿が歪んだようだった……。


 本当に俺の身体が歪んでいる。

 けれども、痛みはまったくない。


 ぐにゃり、ぐにゃり、ぐにゃり。

 

「ああ、そうか!」


 俺は合点した。

 身体を極度に歪ましているのは……そう、俺を鏡に入りやすくするためなんだ!


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