2-16
再び花柄のテーブルへ着こうとしている途中で、廊下で知らない男とすれ違った。
「やあ、おはよう。君が確か火端くんだね」
知らない男は、理知的な目鼻立ちの中年で、背が俺より高く背広こそ着てないが、大きな会社に通っていそうだし、そこで部長とか社長とか。とにかく偉い人のようだった。
俺は頭を即座に下げ、
「あ、おはようございます。谷柿さんですか? それとも、古葉さんですか? 俺、まだ居候してから一日しか経っていないので」
「あ、そうだったな。ふむ。私は谷柿だ。これからよろしくな」
俺は何ていうか、気恥ずかしさを覚えた。
「あ、あの。朝食はもう?」
「いや、その前に用足しだ。失礼」
「そうですか」
俺はその時、ジャージ姿の眠そうな顔の音星が、一階へゆっくりと降りてくるのを見つけた。
「あ、音星。まだ寝ていても良かったんだぞ。朝食なら俺が二階へ持って行ってやるぞ。まあ、たぶん。どのみち、おじさんかおばさんが持って行けっていうんだろうけど」
「ええ。ええ。火端さんありがとうございます。谷柿さんもおはようございます」
「おはよう。巫女さん」




