2-13
「ありがとな! 音星! 俺、今まで野宿ばっかりだったから……」
「そうなんですか? それは良かったですね。あの? ところで、ここの家賃はどうしますか? なんなら私が持ちますけど……」
あ、宿賃?!
俺の持ち合わせは……?!
「いや! ここは俺が払う!」
俺は等活地獄の高熱でヨレヨレになった財布を、ズボンのポケットからやっとのことで取り出すと、屈んで床にひっくり返した。
ジャラジャラと小銭と、僅かばかりの数枚のお札が床に降りだす。
「おお! ……まあ……なあ……」
「うーん……まあ、ねえ?」
おじさんとおばさんが、呆れたような神妙なような顔を見合わせてから、こっくりと頷いた。
それが、今の俺の全財産で家賃はいいよという意味だった。そして、俺はここ八天街から地獄巡りをするための寝床を確保できた。
…………
翌朝。
ジリリリリリーーーン。
ジリリリリン。
と、あらかじめ民宿の朝食の時間に間に合うようにと、俺が昨日の夜にセットしておいた目覚まし時計がけたたましく鳴った。




