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俺と音星は、やっと地獄巡りへと戻ることになった。
準備をちゃんと済ませて、顔を洗って、歯を磨いて。
「なあ、弥生ちゃんを助けに行くんだろ? どうやって?」
古葉さんが聞いて来た。
俺と音星は顔を見合わせて、互いに首を傾げた。
「そういえば、考えてなかったな」
「火端さん。すみません。私もです」
「あのなあー」
古葉さんはガックリしてしまった。
「まあまあ、いいじゃないか」
「そうだよ。その子は何も悪くないんだし」
「そうなんだ。とても良い子だったよ」
「はあーっ、その子はなんでそんな運命なんだろうねえ。ねえ、そんな運命なんかも火端くん。なんとかしちゃってよ」
おじさんとおばさん。谷柿さんと霧木さんがそう言ってくれているけど、違う! そうじゃないんだよ。
俺と音星は首を無理に振って、力強く頷いてみた。
「それじゃあ、行きますよ。火端さん」
「おお」
真夏の強い日差しの八天街の空が、真横からの眩い光で見えなくなった。それから、少しずつ目を開ける。
と、そこは空が消え、真っ暗闇の中だった。
ヒュウヒュウと、風が服をなびかせて、身体の奥から、どこかから、悲しみや絶望感が湧いてくる。
「火端さん。着きましたよ」
音星の優しい声が耳に入った。




