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モルタル造りのビルは、廃墟同然の外観だった。至る所に蜘蛛の巣が張ってあって、ヒビができていた。
だけど、ビルの中はかなり綺麗で、調度品なども高級品のように贅沢そうな作りだった。金色やエメラルドグリーン、スカイブルー、などなどの煌びやかな内装が目立った。
「ふうん。内装変えたようだね」
「うっわー、谷柿さん。この金色のピカピカの女神像って、幾らくらいするのかな?」
「ざっと、500万だよ。けれども、きっとその女神像は、多くの涙でできているんだよ。ロクなお金で買ったんじゃないんだね。あ、ダメだよ。触っちゃ」
「は、はい」
俺はこんなところに金が入って来ること自体が、とても許せなかった。金の出所はさっぱりなんだけど、たぶん、よくないのはわかっているんだ。
くっそ。弥生は、こんなところで一体何をやらされていたんだ。
お兄ちゃん。
とても心配してきたぞ!
あの優しかった妹が……。
「うん! ここかな? 火端くん! これは金庫だよ。それに、この金庫のダイヤルって、なんか怪しいと思うんだ」
「??」
俺はこのビルの一階奥に、立て掛けてある龍の銅像の下に、谷柿さんが発見してくれた大型金庫を見つけた。谷柿さんが気になっているダイヤルは、確かに何か変だった。そうか、0がないんだ。だから、俺は金の腕時計をズボンのポケットから取り出してみた。
あれれれれ?
よく見たら、この腕時計は止まったままだぞ。
あー、閃いた!
金の腕時計は三時三十分十二秒で止まってるんだ。
だから、この場合は……。
よーっし。
俺は谷柿さんに脇へどいてもらって、33012のダイヤルを回した……。




