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「そこにいるのは、火端さんですか?」
「え?」
一瞬、空耳かと思った。
絶対に、ここには来ていないはずの音星の声が聞こえたからだ。
「まあ、そんなに火傷をして……ちょっと、待ってくださいね。今……よっこいしょっと……」
それから、俺の面前を懐かしい光が包んできた。
こ、これは?!
浄玻璃鏡?!
眩しさで、目をつぶってから、再び開けると、真夏の太陽の強い日差しが目に入り、眩しさで瞬きする。
クラクションの音。人々の忙しない雑踏。それから、小鳥のさえずりも。それらが、一辺に胸いっぱいに押し寄せて来た。
「お!」
「ふぅー、やっと戻ってこれましたね」
俺は涙がでそうになったが、弥生のことが胸にチクリとした。
「火端さん? 救急車呼んできますね」




