第五話 勇者、魔王になるべく教育します①
よーし一応今週中に出せた。いよいよ魔王軍復興が本格的に始まります!第五話!楽しんでいってください!
「あのアルタオスに一番問題大有りじゃねえかよ!」
目の前の闘技場、アルタオスは”武士王“の二つ名を持つほどであって、彼には軍人の教育を依頼していたのだ。していたのだが…
「おらぁ!そんなものか!それでどうやって人間に勝つ!俺は人間に負けたぞ!俺を倒せないで本当に倒せるのか!?」
複数人を相手に一方的にボコしているアルタオス。これじゃただの虐めだ。
「うぅん…うぅ…うん。やっぱ見守るのはよそう。」
ずっとその様子を上空から見ていたのだが、これでは効果がないし、何より部下が可哀想だ。
「おらぁ!まだまだ!」
「何やっとんじゃぁ!」
上空から勢いをつけて剣を抜き、思いっきり斬りかかるまぁ、普通に避けるか受け止めれば問題ないのだが…
「ん?おい!それは!ちょいちょいちょいちょい!」
もはや闘技場の上にまで逃げるアルタオス、逃げすぎだと思うかもしれないが、その要因はオリバーの持つ剣にあった。聖剣 天聖之剱、魔を滅する破魔の剣である。細かく煌びやかな刀身は青く光り、その刀身は特殊な材料、天聖煌によって作られている。決して壊れない不壊の剣は簡単に地面に刺さった。無論、魔族がこの刀身に僅かでも触れればその部分から徐々に魂を浄化させていく。それは特に魔に強く反応し、相手の魔族が強ければ強いほど聖剣も強くなっていくのだ。
「そんなもんで教育になるかぁ!」
「え、いや…でもこれまでの教育方針はこんな感じだが…」
「はぁ…一体俺が勇者になるまでどうやって勝ってきたんだ。いいか、強者の一方的な攻撃を身に染みさせても意味はない。意味ができる頃には人間は自然に滅んでいるぞ。」
呆れるオリバー、お前が言うか?と言いたげなアルタオス。どう言う状況?と言った感じの部下たち。オリバーがいることは部下たちも知っていて、アルタオスの配下は結構オリバーに友好的だ。アルタオスが上司な影響もあるだろうが、強者には自然と従う本能があるのだろう。
「いや、お前に言葉で説明しても意味はないな、実際に体験するといい。俺とお前が戦って、お前は何を得たか。」
そう言うと、徐に剣を地面から抜き、構える。アルタオスも武士王の威信にかけてか逃げるようなことはせず、持ち前の大剣を構えている。
「それじゃぁ、行くぞ!」
まずは勢いをつけて直進して剣を振るう。それに対してアルタオスは見切ったように剣を合わせようとしたのだが…
「んあ!?」
「あ、やべ」
聖剣はアルタオスの剣ごと切ってしまい。アルタオスごと切るところだったが、オリバーが後方に動くことで切られることは無くなった。
「なるほど…それ魔剣だったのか。すまん。ならこっちで…」
そうして、聖剣をしまい、別の剣を取り出す。王剣 天皇剱だ。こちらは先ほどとは違い魔を滅する破魔の力は宿っていない。しかし、美しく装飾され、“アルタナ王に繁栄あれ”と書かれて、どちらかというと使うよりは家宝としてとっておくものだ。もちろん、刻印されている文字にある通り、これはもともと国王が代々継承する家宝、王の証明にもなるこの宝剣がなぜ勇者オリバーが持っているのかというと、王より魔王討伐のために授かった…わけではない。パクっただけである。
この剣、家宝として実際には使わない剣のはずなのに、性能やらが凄くいい。おそらく、実用できるものでは最上級のものだろう。
「お前…これは七魔剣である魔風剣だぞ」
「魔風剣…よく扱えるな。」
魔風剣とは、七魔剣の一つ、風と聞いたら吹く風が思いつくかもしれないが、ここでの風は噂風、と言った意味である。七聖剣の一つ、幻影剣と大体内容は一緒で相手に現実とは違う幻を見せる効果がある。
ちなみに補足だが、天聖剱は七聖剣ではない。それ以上の存在であるために天剱という種類に分類される。尤も、今のところ天剱は天聖剱、天皇剱、天星剱の3つだが。
「お前ほどだとなんでもできる気がするが?」
「流石に俺だって完璧超人じゃない。できないことだってある。それに似た幻影剣も極めるのに3日かかったよ」
「はははそうか、俺はこの剣を数十年使い続けているが未だ使いこなせてはいないぞ?というか…これ直せるのか?」
「…魔剣は知らん。とりあえず代わりの剣………ダメだ魔族に貸せる剣がねぇ」
七魔剣をポンと斬る元勇者、いやぁ末恐ろしい。ということで五話までいけました!なんか疲れた(切実)
次回 第六話 勇者、魔王になるべく教育します② もお楽しみに!
追記:次回予告の内容ですが、今後の展開と大きく外れるおそれがあるため、変更させていただきました。2023/07/26