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(8)『地下生活者の記録』

(8)『地下生活者の記録』



訳の分からない、俺が俺足る確証というものが、地上生活では見られないのに対して、地下生活者の俺には見られるという一種の矛盾的不可思議がある。これはないも、今に始まったことではない。どちらかというと、先天的なもののカテゴリーだ。

しかし、そんなことは、どうでも良いじゃないか、生きてさえ行ければ良い。おにぎり弁当だって、そう呟くはずなんだよ、と、おにぎり弁当自身が、そう言い出しそうだから、俺はふとした、静寂で、その聞こえもしない呟きを聞いてみる。



それにしても、記録、記録、とはいえ、この記録が何の記録で、誰の役に立つ記録なのか、分かるようで分からないというような、そいいう、分からないから発展した小説だから、その分からないを敷衍すれば、上方の霧も晴れるのにな、と思う。

しかし、得意になって言えるのは、俺は、地下生活者だということだ。地上で雨にぬれても、風に吹かれても、地下の精神は屈しないのである。このような話は、一つの、地下生活者の記録の優点に入るのではないかと、思っている。



地下生活者の記録、俺は思う。そして、呟く、地下生活者の記録、地下生活者の記録、地下生活者の記録、そうだ、確かにそうなんだ、これは、記録という形式を取ってはいるが、小説なのだ。であるからして、自由は自由だ。

たいしたことが書けなくても、今度は、大したことのない小説ではあるが、記録だ、という補完作用が、内実を補ってくれる。ありがたいことだ、実に、この、記録という言葉に、小説が支えられようとは、といった感じだな。

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