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(2)『地下生活者の記録』

(2)『地下生活者の記録』



今日は、朝五時半に目が覚めた。出掛けるあてもない自分は、取り敢えずパソコンを開き、小説を書く。物語を書けない俺は、地下生活者のことしか書けないけれど、それでも限界を超える自己を目指して、地上の光を見ている。

地下生活者の記録、こんなものが、何になるかは分からないけれど、その日暮らしの生活というものが、どういうものか、ということは、犇々と感じて貰えると思う。バスで駅前に出て、200円程のおにぎり弁当をスーパーで買い、駅の広場の、清掃を自主的にやろうかと、考えたこともあった。



そして今、まさにそれが、現実のものになろうとしている。それは、現実という地上の生活を生きているようでいて、精神は地下を生きているという訳である。よくよく考えると、自分は欠陥人間なんだろうなと、思っている。

欠陥人間にしか書けない小説、それだけのものだ、で終わらすには、少々辛いのである。何かしらの刻印を、人生に刻みたいのである。しかし、とにかく、金がない。昔、金は天下の回り物、などと言っていた人がいたが、どうやったらそんな位置に行けるのだろう。



それにしても、200円のおにぎり弁当、これは確実にうまい。これに、お茶ではなく、100円の缶コーヒーの無糖で流し込めば、少なくとも体調は良し、という感じである。駅の風景を見渡しても、凡そ、俺と同じことをしている人はいない。

みな、忙しなく、職場、という場所へ急ぎ足で向かうのである。俺にも昔、それは昔に会った感覚、あの、めんどくさい、仕事辞めたい休みたい、の間隔が、今は、仕事をして金を得たいのに、働き口がないという、地下生活者の絶望である。

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