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(14)『地下生活者の記録』

(14)『地下生活者の記録』



何時ぞやの俺は、寒さの中、とぼとぼと山の様な坂を歩いて、ふらふら歩いて、それは行く当てもなく、だったよ。それはそれは、不可思議な、旅の様な日だった。確かに上空からプロペラの旋回する音が聞こえたが、上方に何も飛んでなかった。

ただ、無頼派であるだろう俺のこの記録を、何かしらの時に、使って貰いたい。役立つかどうかなんて分からないし、俺の愚鈍な精神のパースペクティブでは、恐らく役立たないだろうけれど、なんせ、地下生活者の記録だからね。



ふざけた文言で、人々を大破していくのも、反感は買うだろうけれど、それも一つの生き方さ。悪くないだろう、悪くないだろう、悪くないだろう、少なくとも俺だけは、地下から、小声でも、そう叫んでいるよ、魂が。

不条理という言葉を超越して、我々は今日も、行進するんだ。行く当てなんて、必要ないんだよ。俺が俺なら、君は君で、立派な君さ。地上での腐りきった俺が居るんだから、みんな、俺以上には輝いていると、安心してくれ給え。



ひょっとすることもなく、俺は街道を駆け抜ける速さで、世界を理論化するんだ。小説でね。そんな小説があってもなくても、良いだろう。苦痛も快楽も、街路樹の様なものだよ。リリックがそう、言葉を解き放つ訳だ。

訳の分からない小説が、誰かを救えれば、それに越したことはない。そう信じる者が一人でもいれば、少しは世界も平和になるんじゃないだろうか。記録しておくよ、今日もね、地下からの、今日の、地下生活者としての、発言さ。

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