表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

(13)『地下生活者の記録』

(13)『地下生活者の記録』



そうなんだ、聞いてくれるとありがたい、俺は、俗に言うところの、変人だよ。確かに変人、しかしそれは、地下生活者である時なんだ。地上生活者である時の俺は、たいそうぐうたら、てんで小説も読めない馬鹿者さ。

変人だの、馬鹿者だの、取り付く島もないじゃないだろう、しかし、それでも、生きているんだ、生きているに違いないんだ。何なら、同情でもするなら、そこのアルミケースに、小銭でも置いて行ってくれないか。金が必要なんだ。



訳の分からない、プラスマイナス=0、の図式だって、俺は懐疑するよ。当たり前じゃないか、「懐疑は、恐らくは叡智の始めかもしれない、然し、叡智の始まる処に芸術は終わるのだ。」、って、アンドレ・ジイド、も言ってたしね。

つまりは、プラスマイナス=0とは、終わった芸術のことを言っているんだ、何て、誤解釈して、気取ってジイド様的になる必要性すら、地下生活者の俺には適切な処置だよ。良くも悪くも、誤解釈からまた、叡智が始まったりしてな。



こんな風に、言葉や文章で遊ぶのもまた、面白いことだ。勿論、これは記録だから、面白ければ良いってものじゃない。そうじゃないことくらい、分かってはいるけれど、形式的には、やはり、記録という形を取った、小説だから。

雨の日に傘を忘れて、寒い中歩いて行く時も、俺は俺という範疇から、逃れられやしないんだ。しかし、俺がその一点、俺が俺だと重複することは、まだ俺は俺だという証だから、そのうちは、まだ、小説を書ける様な気がするよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ