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(10)『地下生活者の記録』

(10)『地下生活者の記録』



酩酊、酩酊などしない俺は、すっきりさわやかの、睡眠薬とコーヒーで、メリハリなんだ。地下生活がなんだというのだ、地団駄踏むこともなく、ただ、まどろんだ毎日を、過ごすというその自然を、生きるということなのだから。

そうであるからして、この小説がどこまで続くかも分からない世界で、俺は一つの到達点を見る。広い広い、それは広い丘の上から、眩いばかりの街のネオンを見て、それが一瞬、我が物になるという錯覚の中、夢は覚めるのだ。



どうしようもない、苦痛だろ、それは、しかし、地下生活者だから当たり前だ、本当の幸福など来るはずない、と突き放そうにも、それは強固な自販機だったので、動かないどころか、手が骨折しそうになるとしたら、こんな記録は、記録にすらならない。

記録にすらならない、としても、これは何度も言うが、地下生活者の記録である。陽の目を見ない、単なる文章の羅列の、記録である。これ以上ないリアルが、瞬く間にその本質を体現し、落下する陽を目で見るという訳である。



おかしいだろう、本質を本質に出来ない俺は、途方に暮れるのだが、それもそのはず、初めから本質などというものは存在し得ないのである。後天的に出来かかる、我々の本質は、どこへいっても、何をしていても、意味不明の烙印を押されるのだ。

それっでも、である。それでも、小説は続いて行くのである。破綻した小説が続くことなど、読み手はあり得ないと思う。現に俺も、小説を読んでいて、ここで破綻したな、などとは思わない。しかし、書いていると分かる。地下生活者の記録は、既に破綻している。

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