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(1)『地下生活者の記録』

(1)『地下生活者の記録』



俺は、まともな現実社会での、労働賃金というものはない。それは、自分で決めたことではない。四苦八苦しながら、それでも苦境に反抗して、生きながらえた結果が、このざまだ。まともに、現実生活を送ってはいない。無論、犯罪には手を出してはいない。

何かこう、もっと不安な、不安定なものに、学生の頃から触れていた結果、人生が狂った様なのだ。この生活を、立て直す方法と希望は、知ってはいる。しかし、如何せん、俺には労働というものに耐えるだけの、体力が欠如しているのだ。



高校の時、貧血によって、約一ヵ月の入院をした。この頃から、既に、俺が、地上生活者ではなく、地下生活者になる定めのようなものが、身体を乗っ取っていたような気がする。地上での揺るぎない確固足る精神生活が、無残にも崩れて行った。

俺はここで、意味のない嘘をつく気はない。小説として、多少の脚色はしても、大まかには、私小説の形式を取るつもりだ。けれども、この貧弱な身体は、言葉の羅列、云わば、文章まで、浸食するかもしれない。その時の、偶然の嘘くらいは、どうか許してくれ給え。



この、地下生活者の記録、というのは、勿論、メタファである。俺は、現実を、地上で過ごしてはいる。しかし、この、メタファと言ったのは、精神のことである。身体が地上を歩いていても、精神は、陽の当らない、地面の下、つまり、地下を通過しているようなものなのだ。

難しいものだよ、生きるということは。嘘など付かず、真面目に倫理的に生きても、金が集まる訳でもない。かとぃって、犯罪を犯して金を得たって、刑務所に入るだけだ。何か、地上生活者として生きて金を得る、ヒントの様なものが、見つかれば良いのだが。

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