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大唐西域記演義  作者: 河谷守
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八 玄奘三蔵一行、西へ向かう

さて、吐蕃を発った一行は、進路を西に向けた。先日来、悟空が悲しむ事この上なく鬱陶しくて仕方がない。

「孫行者、いつまで泣いているんです。大体そなた当事者じゃないでしょうに」

「うぐ、えぐ・・・でも、だってさあ、あんまりじゃないですか、あんなに愛し合っていた二人がですよぅ・・・おおお・・・」

「まあ、私と一緒に居続けても、翠蘭は私より先に死んでしまう訳ですし、いつか別れは来るものと、最初から分かっていての話でしたからねぇ」

若干、八戒(とうじしゃ)ですら引いているのが分かる。

根は素直で良いやつなんだろうなぁ、と、そこまではまあ分かるんだが、それも三日三晩泣き続けられると本気で鬱陶しい。

「ところで猪八戒よ、もう少しあの技をやってみませんか。今後人界を歩くに、その出で立ちは些か目立ちますのでな」

八戒の風貌は、要するに二足歩行する巨大な豚が羽織とトゲトゲの農具持って闊歩しているだけである。先日来、玄奘は内功と外功のバランスで肉体改造を試みていた。

「三蔵様、おっしゃる通り見た目を変えるコツは何となく分かってきたんですがね」

「うむ、やってごらんなさいな」

八戒が気合を入れると、豚の肉体がもよんもよんと揺れ動き筋骨隆々とした偉丈夫、しかも好男子の姿に変化した。

「お、それ良いな、俺にも教えてくれよ」

調子の良い悟空が一応口を挟む。

「孫行者よ、内功も外功も結構集中を欠かさない力量が必要ですし、あとたぶんそなたは変化とか金剛力とかもっと便利なもん持ってますから要らないと思いますよ」

そうこう言っているうちにイケメンは豚に戻った。

「ぶはあっ!こ、これが今の限界でさ」

恐らくは1分足らずの時間ではあるが、既に八戒は疲労困憊している。

「昨日より随分長くできるようになってきました。あとちょっとコツを掴めばきっと、もっと楽に長く持続できるようになります」

元々天界の武将であった八戒にとってみれば、確かに他の技より習得しやすい技だったかもしれない。数日のうちにケロッと化けることができるようになった。

ただ、ふと集中を切らすと突然豚に戻る姿は玄奘ですら笑いを堪えるのに苦労する。

悟空も教えろとうるさいので一応教えてはみたが、こちらは予想通り数分で投げた。

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