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大唐西域記演義  作者: 河谷守
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六 妖仙 猪悟能

さて、その吐蕃の商家に住み着いた妖怪にも事情がある。これについても触れよう。

元は天界の天の川を管理する水軍の司令官である天蓬元帥だったが、酒好き、女好きとしても知られていた。蟠桃会で酔っ払った挙句、嫦娥(中国神話の英雄の奥さん)に強引に言い寄り、天帝からこっぴどく叱られ罰を受けて地上に落とされた。

人界ではせめて真っ当に生きようと心を入れ替えたものの、何故か飛び込んだ先が雌豚の胎内で黒豚の妖怪になるという、一体どこの何がどう間違ったという異世界転生。ブチ切れて豚の腹を食い破って躍り出るが早いか、他の豚もすべて食い散らかして遁走。以後、山間の人喰い妖怪として荒んだ豚生を過ごしていた。

武芸の腕を見込まれ女妖怪に婿入りしたものの、その妻も一年で死別してしまう不遇さ。ヤケクソになり再び人喰い妖怪に身をやつしかけたところに、観音菩薩と出会った。

観音菩薩に慈悲を乞うたところ、取経者の弟子となり功徳を積むことを諭され、猪悟能という名を貰った。

心を入れ替えた猪悟能は以後人喰いをやめ、心身を清らかに保ち正午以降に食事をとる事もやめた。更には五葷三厭(八つの戒め)も断つ決心をして精進料理だけの生活を続けながら取経者を待った。


本当に待った。


で、結局待ちきれなかった。

猪悟能は里へ降りて吐蕃の商家の末娘の元へ婿入りしてしまう。

ただ、娘は傷つけなかったし、大食いではあるものの精進料理にしか手はつけず酒も飲まず、家業に精を出し商家は繁盛した。このまま進めば商家の目立たない有能な婿で終わっていただろうが、そこでも中国古典は試練を課す。

商家の主人が「妖怪を婿にもらったのでは体裁が悪い」というだけで真面目な婿の討伐を願ったのである。

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