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大唐西域記演義  作者: 河谷守
17/23

十七 黄風大王との戦い、決着する

激しい音と立ち込める砂煙。

動く者がいなくなった洞内。

砂煙が落ち着いてみれば、頭をポリポリかいている悟空と、如意棒に顎を強打され失神している黄風大王の姿が現れた。

「あー、やっちまった」

「悟空殿、流石ですな」

「一撃ですか」

うーん。悟空がうなる。

「もうちょっと遊ぶつもりだったのに、目がよく見えないから間合いを測り損ねて終わらせてしまった」

余裕ですな。

「さて、と。どうします?これ」

玄奘が手足を縛っていた紐を何の苦もなく引きちぎると、気を失った為に正体を現した黄風大王を指した。

「あれ?こいつどこかで見たことがあるような?」

「霊山から逃げ出した(てん)ですな。油かなんか盗んで、バレるのが怖くて逃げたとかいう」

悟浄が意外に正体を知っていたようだ。

「ちと拙者、こやつを霊山まで送り返して参ります」

「和尚、霊山までは遠いのではないのか?」

「あー、三蔵様、ご安心ください。拙者も八戒も雲に乗って移動できますので、悟空ほどの神速ではありませんがさほど時間はかかりません」

あれ、そうなの?

「では、お任せします。拙僧らはここで待っておればよろしいですかな?」

「どうか三蔵様はそのまま先にお進みください。近い内に追いついてみせますから」

「では、孫行者、猪八戒、ここは沙和尚に任せて先を急ぐといたしましょう。沙和尚、この貂の妖怪、よろしく頼みましたよ」


沙悟浄が雲に乗って黄風大王を連れ去ると、一行は更に西に向かった。


さて、沙悟浄、無事に霊山まで辿り着き、門番に事情を話すと現れたのは金剛力士。

「これはこれは、この悪党を連れ戻してくださり心より感謝いたします」

丁寧に沙悟浄に挨拶した金剛力士。貂を鷲掴みにすると奥に戻っていった。

あの貂、どうなるんだろうな・・・

あまり深く考えることなく、沙悟浄は三蔵一行に追いつくべく、元の行路に戻っていった。


沙悟浄が一行に合流したのは、三日後のことだった。

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