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大唐西域記演義  作者: 河谷守
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十一 八戒、妖怪と三戦する

八戒の武器は釘鈀(ていは)と言い、9枚の歯を持つ熊手状の農具である。ただの農具であれば武器になぞ使えるわけもないが、こちらは何分天界仕上げの特別製。先ず八戒ほどの怪力でなければ使いこなせない猛烈な重さであり、実にその重さは5040斤(大体3トンほど)。玄奘ですら持つのがやっと(ん?ちょっと待て)という、破壊力抜群の武器である。

その剛性ゆえに防御にも秀でており、そんじょそこいらの攻撃ぐらいではびくともしない優れもの。これに脱穀機をつけて、この放送をご覧の方だけの期間限定特別価格!(殴)


巨大な釘鈀をものともせず振り回す八戒に、妖怪は恐れることもなく挑みかかる。手に持つ宝仗を巧みに振り回し、いずれも一撃必殺の威力の打撃を八戒めがけ矢継ぎ早に繰り出す。

されど八戒も力だけの男では無い。見事それに対応し防いで見せる。

「孫行者よ、またぞろ面白い逸材が現れよったぞ、これを僥倖と言わずしてなんと言うか」

「八戒とは方向性は違いますが、中々なやり手の妖怪です。三蔵様もお気を付け下さい。狙いは三蔵様のようですぞ」

うるさい外野だな。

「中々やるな!今度はこちらから参る!」

八戒が大きく一振り、釘鈀をぐるんと振り回すと、空気の摩擦で火炎旋風が巻き起こる。が、妖怪も見事にそれをかわす。

と、その時玄奘が落馬した。

「おっとっとぉ!」

あんたわざとやっとるやろ。

素早く妖怪は向きを変え、川の流れを遡り玄奘に迫る!

「私もかつては水軍の将!水中での戦いもご覧あれ!」

そう言い川に飛び込んだ八戒も、泳ぎは妖怪を凌ぐ上手である。

「これはこれは、二人ともどうして中々、うむうむ!」

玄奘三蔵(らくばしたぼうず)は大喜び。

あかん、またこの人、太公望を見つけた周の文王みたいな顔しとる。要するに普通の人じゃこの坊様の供は務まらんのな。

水戦でも決着が付かず、二人は陸に上がると力比べを始めた。

「おお、見よ孫行者、力比べでも八戒と勝負になるぞ!凄いな!わははは!!」

なんか次第にキャラ変わっとらんか?

しかし狙いは三蔵様だっつうのに、全然注意してないんだよなぁ、と、悟空がその段階である事に気がついた。

悟空、ケツの毛を一本抜くと、八戒のケツに向けてピュッと飛ばした。妖仙の妖気がたっぷり篭った毛は針のように八戒のケツにぶっ刺さる。

「イテー!」

一瞬の隙を突いて、狙い通り妖怪は玄奘めがけ飛びかかった!

悟空は思わず合掌する。

「八戒、妖怪どの、共にお疲れ様でした」ちーん。


神速で玄奘に飛びかかり、妖怪が恐ろしい速度で杖を叩き込むその刹那、妖怪は下から迫る光を見た。

地響きを立てて周囲の雪が一瞬にして周囲に舞う。

突然の静寂にぽかーんとする八戒。


雪煙が落ち着くと、玄奘はニコニコしながら僧衣の雪を払いつつ、馬に乗ろうとしている。

「あれ?三蔵様?奴はどこに?」

辺りを見渡しても、どこにもあの妖怪が見当たらない。

というより何で三蔵様は何事もない?

八戒の質問に、玄奘は馬に乗りながら笑顔で答えた。そして上を見上げる。

八戒も見上げるが何も見えない。

「そのうち落ちてきますよ。たぶん」

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