9.謝罪
紗奈は翔矢にLIMEで画像を送った。これが話すきっかけになれば、と考えていた。
まだ風が吹いていて、少し肌寒い。そんな中、紗奈は木に寄りかかりながら返事を待っていた。
しばらくして、足音が近づいてきた気がした。紗奈が顔を上げると、そこには横に並んで歩いてくる男子たちがいた。
紗奈の前でピタリと止まった。かと思えば、
翔矢「ごめん!」
と、翔矢が謝ってきた。それに続いて、他の男子たちもごめんと謝った。紗奈には、何が起こったのか一瞬わからなかった。
でも、紗奈はほっとした。これでもと通りだ、と気が抜けた。
紗奈「こっちこそ、ごめんね。」
紗奈も謝った。
あたりが自然とあたたかい空気につつまれたような気がした。
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仲直りしたあと、男子たちと紗奈は公園のウォーキングコースをみんなで話しながらのんびりと歩いていた。
海斗「菅野と桜田、まじ怖かったわー。」
氷河「お前ビビってんの? 」
海斗「う、うるせぇな!」
ふざけ半分で、氷河と海斗が背中をたたき合っている。
紗奈「確かに、あれは怖かったわ…」
大地「てか、なんであいつらが怒ってんの?」
光「ほんとそれな。」
緑「まじ意味わかんねー。」
ぶつぶつと文句を言いながらも、男子たちは笑っていた。
翔矢「…紗奈。 」
紗奈「んー?[l]翔矢、どうしたの?[l]」
翔矢「…ありがと、な。」
紗奈「…こちらこそ。 」
二人は小さく笑いあっていた。
照れながらもしっかり気持ちを伝えられた。伝わった。そんな達成感が紗奈の心を満たしていった。
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紗奈は、幸せだった。自分の居場所はここなんだ、と改めて感じた。
こんな時間がずっと続いてほしい、という願いは、今も前も変わらぬままだった。