8.流行
イツメンの間では、あることがはやっていた。それは、「画像加工」だった。
彼らの「画像加工」とは、ある画像に加工と文章を加えるものだった。特に、文章は人それぞれで、フォントや文字の大きさ、色なども考えてやっていた。
画像加工の話で紗奈と一番気が合ったのは、翔矢だった。
翔矢と紗奈は毎日のようにLIMEで、画像加工の話をしていた。 自分たちで画像加工を行い、それをよく交換していたのだ。
あるときはテーマにそう画像を作り、またあるときは依頼を受けたりして、画像加工を楽しんでいた。
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翔矢「星野、暇? 」
紗奈「んー、一応?[l]どうしたの?[l]」
翔矢「画像頼んでもいい?」
紗奈「いいよー(*´▽`)」
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紗奈は、人の気持ちを考えるのが好きだった。何かになりきって、どんなことを思うのか、想像するだけでワクワクした。想像力はそこそこあると思っている。そのおかげで、作文や詩が冊子に載ったことがあった。
だから、画像加工はそんな紗奈にぴったりの遊びだった。毎日画像を加工しては、翔矢に送り、それについていろいろな話をしていた。
翔矢と紗奈の会話の種は画像加工であったと言っても過言ではないだろう。
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紗奈はそのことを思い出した。
すぐにカバンからスマホを取り出し、画像加工アプリを開いた。紗奈はいろいろなことを考えながら画像加工を行った。自分がもっていた画像に、文字と想いを入れて。