3.もみじ公園
紗奈はすぐに家へ帰った。かばんに携帯と家の鍵だけを入れて、すぐに自転車でもみじ公園へ向かった。
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もみじ公園でしばらく待っていたが、男子グループが来る気配は全くなかった。
紗奈「私が遅れたのがいけないな…」
紗奈はそう思った。そして、もうあきらめて帰ろうとした時だった。
百合香「あっ、紗奈じゃん!」
由紀「こんなところで何してるの?」
百合香と由紀だった。紗奈は男子との約束などを彼女らに話した。私が遅れたのがいけなかったんだけどね、と言おうとした時、意外な言葉が聞こえた。
由紀「男子たちサイテー。」
百合香「こんな寒い中、紗奈を一人で待たせるなんて。何なのー?」
紗奈「えっ、いや、私が…」
由紀「男子たち、どこにいるの?」
紗奈「…知らない。」
百合香と由紀は、男子に居場所を聞いてと紗奈に言ったが、紗奈はなかなか受け入れなかった。紗奈は、自分がいけないのに彼らのせいにはしたくない、と思った。
今日の百合香と由紀は、少し強気で、怖い気がする。そう感じたのはきっと紗奈だけだったのだろう。
由紀「早く聞いちゃいなよ!」
百合香「そうだよー」
紗奈はかばんから仕方なく携帯を取り出しパスワードを解除した。そして、LIMEを開く。…が、まだ思いきって聞くことはできなかった。
紗奈がもたもたしていると、百合香が紗奈の携帯を奪った。
百合香「もう、私が聞いてやる!」
百合香はそういうと、LIMEの緑とのトークを開いた。そして、何かメッセージを送ったようだった。
紗那は、携帯が戻ってきて内容を確認した。今どこにいるの?という単刀直入なメッセージを緑に送っていた。
思っていたより早く返信が来た。
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紗奈「今どこにいるの?」
緑「桜木公園。」
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たった一言だった。もしかしたら怒っているかもしれない、と紗奈は思った。もう行かなくてもいいのではないか、と思った。
いつの間にか、百合香と由紀はいつもの雰囲気に戻っていた。
百合香「返事きた?」
紗奈「うん…」
由紀「なんて?」
紗奈「桜木公園にいるって…」
由紀「ほんとにいるのかなー?」
百合香「桜木公園かー。行ってみるよ、紗奈。」
そういうと、二人は自転車に乗った。紗奈もおいて行かれないように、と急いで自転車に乗った。
桜木公園には、いったい何が待ち受けているのだろうか。紗奈は不安で仕方がなかった。