5話
「ねえ、私思うんだけど」
強気なCカップ、もとい青谷さんが言った。僕たちは自分たちの名前が分かったので、各々の荷物を機内から運び出していた。全員がキャリーバックを持っていて、そのバックには名前が記載されたタグが付いていたので、すぐに分かった。
「私たちの中に犯人がいるとは限らないんじゃないかしら。ほら、推理小説でもあるじゃない。密室の部屋でも、トリックをつかって部屋を出入りしてっていう」
青谷さんの言う通りかも知れない。何か僕たちの想像の及ばないトリックを使って、密室を作り上げた。もしくは犯人が意図していなくても、偶然によって密室が出来上がってしまったということもありえる。
「じゃ、じゃあ一緒にいた方が良いですよね。この島に殺人鬼がいて、今も私たちを狙っているかも知れませんし」
とお提げのDカップ、もとい黄島さんが言った。
「ええ、そうですね」
と僕は同調した。しかし内心では、あまりそうは思っていない。仮に外部犯だったとして、だとしたら僕たちは何故見逃されたのだろう。
外部犯だとすると流れはこうだ。何らかの方法で機内に侵入。その際、鍵は掛かっていたはずなので、それを外す作業がある。そして3人を殺害し、何故か僕たち3人は見逃して、再度外に逃げた。その際、鍵をもう一度掛けている。
あまりに不自然だ。まず3人を殺した動機はなんだ。僕たちが見逃されている以上、殺す相手は選んでいると思われる。外部犯にそんな理由があるのか。もし僕たちも殺す予定だったとして、じゃあ何故鍵をかけ直す必要があるのか。
僕たちの中に犯人がいたとすれば、全て辻褄は合う。犯人は元から機内にいた。全員を殺すつもりだったが、僕たちが起きそうだったので中断した。そして僕たちと同じように振る舞った。
そう考えるのが、自然じゃないのか。
「とにかく、島を探索してみませんか」
黄島さんがそう言うと、僕の手を優しく握った。ハッとして僕は彼女を見る。黄島さんは優しく僕に微笑んでいた。
「大丈夫ですよ。まあ私も怖いし、根拠はありませんけどね。ふふ」
黄島さんは僕に言った。どうやら、緊張が顔に出てしまっていたようだ。それを見て、励ましてくれたのだろう。優しい子だ。
「ありがとうございます。そうですね。とにかく、寝床を探さないと」
僕たちは、それから島の探索を開始した。そして十数分後、立派な館を見つけることができた。
その館の玄関には表札があった。そこには白銀と書かれていた。