4話
プライベートジェット機から降りた僕たち。すぐ側には海があって、ジェット機は砂浜を抉るように留まっていた。
僕は深呼吸をして、外の綺麗な空気を吸った。機内はやはり血生臭かったようで、しかし僕たちの嗅覚は麻痺していたようだ。外の空気を吸ったことによって、それに気がついた。
海鳥が鳴いていて、海からは波の音が聞こえてくる。海の反対側、つまり陸の方は木々が生い茂っている。死体を積んだプライベートジェット機が無ければ、とても良い場所であった。
「うん?」
と僕は呟く。癖でポケットに両手を入れたら、紙のような感触がした。それを掴んで外に出すと、どうやらパンフレットのようであった。
「白銀乃々主催、美術サークルの合宿……」
白銀乃々。人名だろうか。
ともかくパンフレットの内容を読み上げていく。
やはり白銀乃々は人名のようだ。どうやら白銀乃々という人物は、北海道にある大学の美術サークルに所属している。そして今回、その美術サークルの旅行を企画したようだ。
その白銀乃々という人物は白銀財閥のお嬢様で、かなりの金持ちであった。白銀家のプライベートジェット機で北海道から現地へ向かう予定だったそうだ。
そして参加メンバーがパンフレットに記載されていた。
「うーん?」
その名前の一覧を見て、僕は唸った。そして海を眺めている二人を見る。Cカップは青いTシャツにショートパンツ。かなり脚を露出していて、ちょっとエッチだ。Dカップは黄色のTシャツにロングスカート。
そして僕は、赤いTシャツにジーパンを穿いていた。
僕は自分の来ているTシャツに、ワンポイントが入っていることに気がつく。Hokkaido Art 。それぞれHとAが大きく書かれていて、HAと読ませたいようであった。
「ちょっと、二人とも」
僕は二人を呼んで振り向かせる。やはり二人のTシャツにも同様のワンポイントが入っていた。
僕は再び機内に入った。やはり血生臭く、どんよりとした空気である。僕はお構いなしに死体の服装を確認する。
死体は3つ。白いTシャツを着た女性、桃色の女性、そして緑色の男性。やはり同様のワンポイントが入っている。
僕は外に出て、二人を呼んだ。
「僕たちの名前が分かったよ。美術サークルのメンバーの名前には全員、色が含まれていたんだ。そしてその色に合わせたサークルのTシャツが配られていた」
つまりパンフレットの一覧と今着ているTシャツの色で、名前の判別が出来る。
僕は赤矢 聡。赤いTシャツを着ている。
Cカップの強気な子が青谷 美香。なので青いTシャツ。
Dカップのお提げの子が黄島 紗椰。黄色のTシャツだ。
そして機内にある3つの死体。
桃瀬 優衣。女性。
緑川 琢郎。男性。
そして旅行主催者でプライベートジェット機の持ち主であった白銀 乃々。女性。