1話
白銀島と呼ばれる島に、6名の死体が上がった。どうも白銀家のプライベートジェット機がたまたま、白銀家が管理する島に不時着したらしい。
そして乗り合わせた犯人は5名を惨殺し、そして首を吊って自殺したそうだ。
「白銀島ね」
俺は船の先頭に立って、その島を眺める。
「まーた、とんでもない事件が起きましたねえ、小田切さん!」
と女性が隣に立って言った。いかにも俺は、小田切 五郎という名前であった。
「うっせーな、山田ぁ! お前、声がでけえんだよ」
俺が山田と呼んだこの女性は、山田 志保。刑事である俺の部下だ。
「はい、すいませんっ!」
山田は元気よく謝罪するが、その声すらも喧しい。
「それで、事件の内容は」
俺は山田に尋ねた。
「えーとですね」
山田は手帳を開く。
遺体は6名。まず白銀家のプライベートジェット機の中に、三つの遺体。三つの内二つは頭部が激しく損傷されていて、そして一つは首から切断されている。
遺体の状態はそれぞれ異なるが、しかし全て機内に常備されていた防火斧が凶器だと思われる。
そして島の東側にある崖の下に一つの遺体。これも頭部が激しく損傷しているが、転落時の衝撃によるものだと思われる。
そして101号室の部屋に遺体が一つ。これは鈍器による撲殺で、近くにあった椅子が凶器だと思われる。
そして最後が、205号室に遺体が一つ。これは天井のフックに縄が繋がれていて、そして遺体の首に繋がれている。
「それと……」
山田はさらに説明を続けた。
「白銀さんを除く全ての遺体は、名前に含まれる色のTシャツを着ています」
「名前に含まれる色?」
「はい。例えば、被害者の赤矢さんなら、赤いTシャツといった感じです」
「ふーん。それで、山田の見解は」
「まだ鑑識が終わっていませんが、黃島さんでしょう。首を吊って自殺。机には遺書がありました」
「その遺書の内容は」
「えーとですね……」
山田は手帳を見る。
「私が全て殺しました、とだけ」
「なんだそりゃ。動機は」
「さあ。しかし被害者たちが所属していた美術サークルで、過去にトラブルがあったそうです。実は、いじめが原因で自殺したメンバーがいます。黒田 敦という方なんですが、それが関係しているのかと」
「ふーん、なるほど。黃島はそいつに惚れてたわけだ。だからいじめをしていたメンバーを皆殺しに」
「そうだと思います」
俺の意見を、山田は肯定した。程なくして、俺達は白銀島に上陸した。




