9話
青いTシャツ。ショートパンツ。首なしの死体は、椅子にぐったりと横たわっている。
部屋の机には、館の鍵。
それを見て、僕は一瞬で考えを巡らせる。3つある内の鍵が一つ、ここにある。そしてもう一つは僕の手にあって、そしてもう一つは黃島さんが持っているはず。
僕たちは館の戸締まりをしてから島の探索に出た。その後に悲鳴があって駆けつけた時には、館の鍵は閉まっていた。僕の鍵で開けると、廊下には血が滴った後があって、それを辿って死体を発見した。
廊下に血が滴っていた。つまり青谷さんは外で殺害されて、死体をここに運ばれた。そして犯人は館を出て、鍵を締めた。でも僕が来た時には、鍵が開いていて……。
可能性は3つ。1つ目は犯人は館の鍵を閉めた後、窓から抜け出した。2つ目は犯人は内側から鍵を閉めて、まだこの館にいる。そして最後は、黃島さんが自分の鍵で館の玄関を開け、そして閉めた。
「まずい。急いで1つ目と2つ目の可能性を確認しないと」
僕は大急ぎで玄関に向かう。玄関には鍵が掛かっていた。僕は無意識に鍵を掛けていたことを、ようやく思い出した。
では、急いで館内の確認をしよう。僕はまず一階の部屋をチェックする。101号室。僕の部屋は鍵が掛かっている。105号室は黄島さんの部屋なので同様だ。なので他の部屋をチェックする。全て鍵は開いていて、しかし部屋に入ってみても窓はきちんと施錠されている。一応隠れられそうな場所はチェックしたが、誰もいない。
ニ階も同様だ。201号室は死体があった部屋。そして彼女が使っていた部屋でもあったようだ。一応部屋に入ってチェックをしたが、誰かが隠れてはいなかった。
やがて館内を全てチェックしたが、窓から脱出した形跡はなかった。玄関もまだ施錠されたままだ。しかし、僕のチェックに合わせて移動し、掻い潜った可能性も否めない。
困った。黃島さんが犯人である可能性もあるし、まだ犯人が潜んでる可能性もある。いや、違う。これは連続殺人だ。プライベートジェット機では、他人が介入する余地はなかった。
「あれ、帰っていたんですね」
黃島さんの声が響いて、僕はさらに緊張した。




