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17話 嬉しい知らせ

「お嬢様、アーネスト様から早速お返事が返ってきていますよ」


 アーネスト様に手紙を送ったのは3日前の早朝だ。

 隣国間の文通のため、普通なら片道2日かかるのに、3日目で届いたということに驚いた。


「もう届いたの!?」

「はい、早馬で届けてくれましたよ。それと、早馬の方は王女宮にもお手紙を届けたそうで、王女宮に寄った際、パトリシア殿下からお嬢様宛のお手紙も持ってこられました」

「パトリシア様に早馬を遣ったついでに、早馬で送ってくれたから返信が速かったのね!」

「はい、そのようでございます」

「じゃあさっそく、アーネスト様の方から見ましょうか」


 私はアーネスト様からの手紙を慎重にペーパーナイフで開けた。


――ポーラの言う通り、不満があれば一度全部言った方がいいか……。


 ポーラも説得力はあるけれど、アーネスト様にも同じことを言われると、なおのこと説得力が増し、安心感も大きくなる。


――よし、今度ロジェと会ったときに、きちんと自分の不満に思っていることを一度言ってみましょう!


「お嬢様、明るいお顔になりましたね。何かいいことが書かれていたんですか?」

「アーネスト様は私に手紙で自信と勇気を与えてくれたの。ロジェのことを相談したのだけれど、今度ロジェと会ったとき、噂に関する自分の気持ちをロジェに伝えてみることに決めたわ!」


 決心がついた私は、ポーラに笑顔を向けた。


「それはようございました。婚約期間中なので、我慢せずに言うべきだと思っていましたが、ようやく決心してくれて、ポーラは感激いたしました」

「私はポーラにかなり心配させていたようね。我慢だけが美徳ではないものね。結婚するならなおのこと、男女関係についてははっきりしなくちゃ」

「はい、その通りでございます。では、パトリシア殿下からの手紙も、どうぞご覧になってください」


 ポーラに差し出されたパトリシア様からの手紙を見ると、その内容はお茶会の招待状だった。


――えーと、お茶会の日時は……


「明日!?」

「どうされましたか?」

「パトリシア様からの手紙は、お茶会の招待状だったのだけれど、明日ですって」


 今まで、パトリシア様はこんなにも急な誘いをしたことは無かった。


「何かあったのかしら? ポーラ、明日のお茶会の準備お願いできるかしら?」

「はいもちろんですよ、だって私はお嬢様専用の侍女ですから」


 私はアーネスト様からの手紙の内容を胸に留めつつも、お茶会の準備に取り掛かった。



 お茶会に誘われた私は、さっそく次の日指定通りの時間に王女宮にやってきた。

 ちなみに、なぜかポーラがロジェは今日は非番だと知っていた。


 王女宮の前まで行くと、入り口でパトリシア様が出迎えてくれた。


「あ! リディア様来てくれたのね! 急なお誘いだったけれど、来てくれてありがとう!」

「本日はご招待いただきありがとうございます。」

「とんでもないわ! 早くリディア様に伝えたいことがあって、今日は来てもらったの! さあ、早くティールームまで行きましょう!」


 相当ご機嫌な様子のパトリシア様は、終始浮足立った様子でティールームまで移動した。

 私はその様子を不思議に思いながらも、パトリシア様に着いていった。


「あのね、リディア様、驚かないで聞いてちょうだい!」

「今日は随分と嬉しそうなご様子ですね。一体どうされたのですか?」

「なんとなんとなんと、隣国のロイルとの平和条約締結が実現したから、ついにお兄様が帰ってくることになったの!!!!!」


 私は驚きのあまり、一瞬息が詰まった。


「――っアーネスト様がついに帰ってくるんですね!?」

「はい!」


 嬉しそうに話すパトリシア様から、アーネスト様が帰ってくると聞き、嬉しすぎて涙ぐんでしまう。


「本当に、本当に良かったです。無事に帰ってこられるんですね! 早くお会いしたいわ!」

「お兄様は1週間後に帰国されることが決まりましたよ!」


――1週間だなんて、あっという間に帰ってくるのね!


「すぐですね! では、今日の帰りすぐに、アーネスト様のご帰還お祝いのプレゼントを買いに行きますわ!」

「ええ! ぜひそうしてあげて! お兄様はきっとリディア様からのプレゼントなら、なんでも喜ぶわ!」

「そうだといいんですが……」

「大丈夫ですよ! リディア様ならきっと何をあげても兄は喜ぶわ!」

「分かりました。では、1週間後に会うときに渡せるよう、用意しておきますね」


 私の記憶の中のアーネスト様は、私と同じ背丈の小柄で女の子とよく間違われるような顔立ちの人だ。

 今はどんなに成長しているんだろうか。今のアーネスト様に似合うプレゼントは何なのか。

 それを考えるだけで、とても楽しくなってくる。


「ありがとう、リディア様」

「とんでもないです、早くに教えてくれてありがとうございます」

「リディア様だから教えたのよ! お父様もお母様もベルレアン家とライブリー家の方々にはぜひ伝えてあげてね。特にリディア様には絶対に伝えてあげてねって言っていたから」


――ジェームズ陛下とベアトリクス陛下までがそのように配慮してくれるだなんて……。


「本当にありがとうございます! お二方にもどうぞお伝えください」

「はい、伝えておきますね。では、リディア様はこれからお兄様のプレゼントを探しに行くから、今日のお茶会は早めに切り上げましょうか?」

「よろしいですか? では、そうさせていただきますね!」

「はい! また今度お茶会しましょうね! お兄様も交えてねっ」

「はい! ぜひお誘いください。楽しみに待っております」


 そうして、私は王女宮を出て、今からアーネスト様のプレゼントを買いに行くことにした。


 私は馬車が停まっているところまで歩いていたが、突如後ろから名前を呼ばれた。


「あ! リディさま~!」


――誰かしら? 


 そう思いながら後ろを振り返ると、少し意外な人物がいた。


初投稿から約1週間経ちましたが、皆様のおかげで、10000PVを突破いたしました!


本作品をお読み下さている方々、ブックマークや評価をしてくれている方々、本当にありがとうございます!

初めて書く小説のため、拙い部分もあるかとは思いますが、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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