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Bloody Bride [鮮血の花嫁] -とある女勇者の憂鬱-  作者: 遠矢九十九(トオヤツクモ)
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第十五話:雪山二人旅

「ところで探しものって、何なの?」


村もすっかり見えなくなった頃、平原を並び歩きながらふとキャミルが尋ねる。


「それは見付けた時に自ずとわかるもの……とでも言いましょうか……。

それよりキャミル、防具がそれではこの先は……。

これを」


懐の「盗賊の棺」から薄っすらと輝きを帯びた柔らかなマントを取り出し、キャミルに羽織らせる。


「これは……まさか聖空翼……!?

どうしてこんなものを……っていうかいいの!?」


「えぇ、私は対たる防具、聖地壁をすでに身に着けておりますので」


肌の上に纏っている薄手でぴったりとした、よく見ると素材が何かわからない不思議な衣服を示す。


「嘘!?これそうだったの!?

なんかずいぶん着古してるからよくわからなかったけど……」


「時々メンテナンスが必要なのですが、その場所がずいぶん遠いのでしばらくサボってしまっていますからね……。

しかし防御力は見た目ほど落ちてはおりませんから、ご安心を」


「ふぅーん……ま、とにかくどうもありがとう……なんだけど……、本当にあっちに行くの?」


二人の目指すさらに北の方角は、その頂を深い雪雲に包まれた険しい山岳地帯となっていた。


防具の魔力で寒冷は防げるとは言え、あれをこのまま徒歩で越えると思うとさすがに気が引ける。


「『探しものは遥か北にあり』ですので。

魔法を使えば瞬時に越えられるのですが、何しろ探しものですのでね、徒歩で行くしか無いですよね」


「……っていうかあなたって、賢くて現実主義っぽいのに意外と占いとか信じる方なのね」


「己の力でできることはすべてやったつもりなのですが、それでもどうにもならない時には、神秘に道を託すのもあながち間違いでは無いものですよ」


「まぁ……そう……ね……」


そもそものできることを探すとか、できることすべてをやる代わりに占いに頼ってる自分とは違うなぁ、などと感心しながらも、キャミルは少しずつ近付いてくる山岳の荒々しい姿に気を引き締めた。


それは道らしき道も無い、ほとんど崖を無理矢理登っているような、しかも途中からは猛吹雪となり、避難した洞窟で雪山のモンスターと遭遇したり、とても一日二日で越えられるような易しい道程では無かった。


それでもキャミルはこれまで培ってきた力を振り絞り、覚えてきたなけなしの魔法を駆使し、少し先を行くアロゥを見失わないように必死に乗り越えていく。


アロゥは自分の歩を進めつつも常にキャミルを気遣い、手を差し伸べ、相変わらずの独特の魔法を操り、足場を作り、吹雪を跳ね返し、敵を打ち倒し、道なき道を踏み固め新たな道と為し続けた。


そして十日以上が過ぎた頃、深い雪雲を越えたさらに上、山の頂へと二人は辿り着いた。


「すごい景色……」


「そうですね……登った甲斐がありました……ですかねぇ……。

登山が目的では無かったのですが……」


眼下に広がる壮大で荘厳な雲海と山脈に、これまでの苦労をすっかり忘れたかのように表情を輝かせ見とれているキャミルに、確かに「すごい景色」ではあるものの、本来の目的は未達成であるためアロゥが苦笑する。


「ふぅーむ……しかしここは……そしてここからさらに北……?

さすがにこのまま闇雲に占術に頼り過ぎるのも……」


さらに北に遥か続く険しい山々と、その向こうの真っ白な氷の世界を見やって目を細めた後、東西方向にもゆっくりと視線を巡らせていたアロゥだったが、やがて何かに気が付いた様子で隣のキャミルを見詰めた。



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