天才 異世界参上
ドドーン
「ねぇ!里歩!これ読んでみてよー!」
「えっ、またぁ?」
友達の佐紀は優しいし、いい子なんだけど、オタクなところがちょっとなぁ。悪くないんだけど、勢いをなんとかしてほしい。
「異世界転生って言ってね!魔法が使えるような世界に転生するジャンルなんだよ!
特に私が好き乙女ゲームタイプのやつでさ!主人公と王子の掛け合いがー・・・・」
本当によく喋るなぁ。息継ぎどうなってるんだろう。
異世界なんて、存在自体が有り得ないところに、さらに非科学的な転生だなんて思いついた人はすごいなぁ。
「・・・・!・・・ル!・・ベル!」
誰かの声がする。
「ベル!!!」
「・・・えふあ?」
目を覚ますと、涙を浮かべた超絶グラフィックのキャラメル色の髪に緑の瞳を持つ美形な女性がいた。
すごいなぁ、いい匂いに、涙が垂れてくるような演出、ちょっとのだるさ、話題の映画館より凄いや。
ん?だるさ?
「よかった!ベル!!今、パパを呼んでくるからね!」
おおっと?これは?
ぼんやりと女性の出て行った扉を見つめながら、思考を巡らせる。気付けば身体が小さくなっている気がする。
天才として生まれ、天才になるよう育てられた私が答えに辿り着くのに時間はかからなかった。
これは、異世界転生したなぁ
転生を自覚した途端、たくさんの記憶が流れ込んできたため、パパを見る前に私はもう一度意識を飛ばした。
短いですね、すみません。