違和感
場面転換ごとに区切っているので、1話辺りが短くなりがちです。
ご了承ください。
~side 一夏~
(BGM2:のどかな日常)
奏「あいつ、ぜんっぜん話しかけてこないわよね」
瑞希「あいつって、誰のこと?」
奏「自称ディレクター」
ヒカル「そういえばそうだね」
翠「共通授業とかでは会うのにね」
葵「もう3日よね」
あの日から、3日が経った。
だが、一切接触してくる気配はない。
でも、若干の変化はあった。今のところ、私以外は気づいていない様子だけれども。
瑞希「今、何をしてるんだろうね~。一夏ちゃんはどう思う?」
一夏「さっぱりわからないな。何か準備してるのかもしれないし、プロジェクトから切られたのかもしれないし」
本当は、ぼんやりとだけど、検討はついている。
まず、目の下にあるうっすらとした隈。体育の授業がある訳でもないのに持ち込まれる、大きめの鞄。
私にとって、推測するには充分な情報量だ。
一夏(あとは、これがあってるか確かめないとな)
これまでの時間で、他のメンバーの性格はなんとなく理解した。
だから、私の推測通りならば、プロジェクトは動き始めることができると言うことができる。
そのために必要なのは、一体何なのか。
それは、再び接点を持つこと。
勘違いで、わざと距離を開けている彼と、何も知らずに、接点を持とうとも考えない彼女ら。
2つの中間に立つ私。
もし、この推測が合っていたならば。
私が、舞台を整えよう。
舞台をディレクションしよう。
奏「ま、あいつのことは放置で、レッスンに集中しましょ」
一夏「ああ」
そして、私は決めた。
今日は、意図的に忘れ物をしよう。