挨拶
(BGM)、ぼんやりとしたイメージはあるんですよ。
ただ、作る気が起きないし、作る技術もないだけで。
(BGM2:のどかな日常)
131プロジェクトがディレクションするのは、「育星科」の生徒だ。
育星科というのは、「未来の有名人を育成しよう!」という、ちょっと正気を疑いたい理由から生まれた科だ。
普通なら、「何言ってんだ、こいつ」となるような内容なのだが――。
春也「実際にスターが生まれてるんだよな、これが」
だから、教員も止めることができないのだとか。
そして、今年度に専願のみで新設されたのが「育星科アイドルコース」。定員12名に対し、80倍以上の受験生がいたとのこと。
そしてその合格者のうち半数――6名が131プロジェクトの対象だ。
この6人は今、レッスンルームで、教育科インストラクターコースのダンスを勉強している先輩やダンスのインストラクターから指導を受けているらしい。
俺は、そこへディレクションの担当になった挨拶をしないといけないらしい。
初顔合わせがこんな形でいいのだろうか。
そんな不安が募る。
春也「覚悟決めるしかないよなぁ……」
だってもう目の前にレッスンルームの扉があるし。
とりあえず見た目を整える。第一印象は大事だ。
春也「すぅ………………はぁ………………」
深呼吸。少し、落ち着いた気がする。
(BGM:off)
春也「…………よし」
俺は決意して、ドアノブを回した。
(扉の開く音)
インストラクター「今ので、基本の動きは理解できたか? じゃあ少し難易度を上げて、次は――――」
インストラクターだろう人物と目が合う。
インストラクター「っと、ゲストも来たみたいだし、今日のレッスンはここまで。入り口の方を見てみな」
その言葉にあわせて、6人の視線がこちらを向いた。
そして、俺は硬直した。
(BGM3:春の足音)
春也(レベル高ぇ……)
そこにいたのは、全員、すごくハイレベルな美少女だった。
春也(でも、そのくらいちょっと考えればわかるじゃねえか!)
アイドル志望というただでさえ顔面偏差値その他が高いカテゴリーの中から、80倍以上の倍率を通り抜けているのだから。
春也(見とれて固まってました、とは言えねぇ……)
恥ずか死ぬ。
そんな思いのおかげか、身体が再び動き出した。
そして、言葉を紡ぐ。
春也「131プロジェクトのディレクションを担当することになった、ディレクション科1年、中井 春也だ。よろしく頼む」
そう挨拶すると、ひとりが口を開いた。
(BGM:off)
?「そう。で、あなたはどのくらい役に立ってくれるのかしら」
誰も、一言も発さなかった
彼女は音喜多 奏。リストを見たときに、一番厄介だなと思ったのが、彼女だ。
彼女の備考欄には、こう書かれていたのだ。
備考:他のメンバーと比べても、自尊心が高く、高飛車である。そのぶん、彼女の技量は保証する。
春也「……」
この文が頭を過ったこともあって、俺は少し、沈黙してしまった。
その沈黙が、音喜多さんの次の言葉を引き出した。
奏「……帰るわ。構っているだけ時間の無駄だもの」
春也「……え、帰る?」
奏「文句はないわよね」
(扉の閉まる音)
そう言い残すと、音喜多さんは帰ってしまった。
瑞希「私も帰りますね。だって、今日のレッスンは終わったのでしょう?」
翠「それじゃあ、私も」
葵「みーちゃんが帰るなら、私も帰るわね」
翠「葵姉も帰るの? じゃあ一緒に帰ろ!」
ヒカル「じゃあ、僕も」
(足音)
春也「え、ちょっと待」
(扉の閉まる音)
……マジで帰った。
一夏「……日を改めて、お願いしていいかな。この状況だから」
春也「あ、ああ」
一夏「何をするのか、それを明確にするのも、忘れないようにしてやってくれよ」
(扉の閉まる音)
春也「はぁ……」
前途多難だ……
でも、何をするのか、か。
そもそも、アイドルのディレクションとは何をするものなのか、明確にしなければ。
そして、できる限り、親身になって話をしたい。そう思っている。
ならば、考えることと並行して――――。
春也「すみません、トレーナーさん。お願いがあります」
キャラ設定、名前と数点の特徴しか作ってないんですよね、この作品……。
書いていく中で詰めていこうかなとは思います。
作中でちゃんとフルネームを名乗らせますので、それまでお待ちを。