はく息 といき 白い息 美味しく食べよう
はく息、といき、白い息、貴方を待ってる 寒いけれど 甘い時 うふふ うふふな 甘い時
退屈しのぎに 眺める空は しっとり優しい 手触りの 黒のビロード広がる 夜の色。
今日は、仕事終わりに 二人で密かに とあるお店の前で 待ち合わせ。
まだちょっと、皆に知れるの 恥ずいから こっそり ひっそり 待ち合わせ
はく息 といき 白い息 貴方を待ってる 寒いけれど 甘い時 うふふ うふふな 甘い時
同じ部署で働く 昨日までは 彼と私は 社運をかけたプロジェクト 大層な仕事の チームの一員 そんな同士の関係だった。
上役命令 無理だろミッション お前がやれや文句タラタラ 残業必須 お持ち帰りも何のその お互い企業戦士の仲間の一人。
色恋 恋愛 トキメキ あこがれ すっかり忘れた かっかさーの 昨日までの私たち。
はく息、といき、白い息、貴方を待ってる 寒いけれど 甘い時 うふふ うふふな甘い時。
一昨々日の 深夜の残業 チームの全員欠ける事なく 勤めてる データ送れ コピーを頼む 資料が無い!
そこは戦場 明日の社運をかけたプロジェクト プレゼン発表 間に合うか ギリギリ調整 頑張るチーム
そして 上役差し入れ 空腹満たすコンビニ食糧 もはやそれらは栄養補給 味も何もわからない
なんとか ギリギリ まとめあげ 終電過ぎた時間帯 タクシー使って 家帰る。部屋にふらふらたどり着き、ベッドに伏せたらもう最後。
ああ!せめて せめて お風呂 おふろだけは パタリと意識が途絶えてしまった。女としてはダメだろう。
はく息 といき 白い息 貴方を待ってる 寒いけれど 甘い時 うふふ うふふな 甘い時
一昨日、貴方は一大事 何故ならプレゼン発表担当者 気合いの顔が 恐ろしい。
社運をかけたプロジェクト いならぶ大手のライバル会社 ベテラン社員に囲まれて
中小企業の我がチーム 特性出した立案は 奇異と写るか 斬新と写るか 若い感性 感じてほしい
皆死ぬ気で頑張った お風呂に辿りつく気力が果てるまで 頑張った。
チーム皆でまとめ挙げた 資料を発表する貴方は まるで自分の人生 かけている。
そんな気合いが入った 凛々しい表情 しっかり言葉 普段のほにゃほにゃ へれへれ嘘のよう。
はく息 といき 白い息 貴方を待ってる 寒いけれど甘い時 うふふ うふふな 甘い時
昨日 夕方 上役ダッシュで 社長室から駆けてきた 一目散に駆けてきた。
やったぞぉー!我が社が 今回選ばれたあー!これから 皆で 打ち明けだー!社長がご褒美くれたからぁー!
よぉしゃぁぁー!と皆で喜び 大騒ぎ その後 会社馴染みの 近所の居酒屋 一室貸し切り
飲めや 食べろの 大騒ぎ 唐揚げ お刺身 キュウリの漬物 フライドポテトに酎ハイ ビールにサワーで乾杯
何が何だか 楽しすぎ 色々食べ過ぎ 味も何もわからぬままに ひたすら 皆はしゃいで おバカな時間が わやわやわやとすぎてった。
宴が終わって帰り道 駅まで歩いて 帰り道 ふと気がつけば 貴方と二人で歩いてた
プレゼン発表 気合いが入り過ぎ 顔が少し怖だった 私の 下らぬ感想に 人生かけていたからね
貴方は いつもの ほにゃほにゃに戻って 笑って答えてくれた。
貴方の人生 会社なの!とんちんかんな私の答え 違うと話す 僕はこの度セイコーしたならば 君に好きだと 言おうと 人生かけていたんだよ。
はく息 といき 白い息 貴方を待ってる 寒いけれど甘い時 うふふ うふふな 甘い時
お待たせと 真白い息を弾ませて いつものほにゃほにゃ へれへれ貴方が 駆けてきた。
うふふ うふふな 待ち合わせ じゃ行こう と貴方は さりげに 私と手をつなぐと 歩き出そうとして 動きを止める そして 辺りに漂う香りに 気付くと一言。
「冷たいね、僕も寒い。 お腹も空いたし、何か温かい物食べようか」
うふふ うふふな 作戦セイコー!実は 私指定の 待ち合わせ場所 私おすすめラーメン店
好きなお味のラーメン屋さん 今日は絶対 好きな貴方と ゆっくり 美味しく おいしく 楽しく 食べたいの。
ご飯は 食糧補給じゃ無いのよね ゆっくりゆったり 食べたいの 笑顔でお店の暖簾をくぐる。
うふふ うふふな これから迎える 美味しい時間 貴方と過ごす 甘い時 寒い季節の 甘い時
「ハイ!いらっしゃいませー、お二人様カウンターへどうぞー!」
そこは 白い湯気立つ 幸せ空間 美味しい香りの 世界なの。
うふふ うふふな甘い時。好きな人との美味しい時間 ご飯は ゆっくり 美味しく食べなきゃね。