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Prologue.

 私の中には、二人の『私』が住んでいる。

 いつも笑っている『私』と、それを眺めている『私』。笑っている『私』は、楽しいから笑っているわけじゃなくて、私を支える精神安定剤みたいなものになっている。そんな『私』を眺めている『私』は、このままじゃダメだとは分かっているけど止められず、結局ただ眺めているだけ。

 どっちの『私』も私の意思と関係なく作用しては、私の後悔を募らせていくばかり。でも、私の一部であることに変わりなくて、結果としてはプラスになっているところもあるから嫌いになれない。

 二人の『私』が現れるのは、友達と話しているときだと決まってる。

 朝、「おはよう」と挨拶を交わすとき。

 休み時間、何でもない会話をしているとき。

 部活の休憩中、放課後の帰り道。

 休日、友達と買い物をしているときでさえ、ふと笑っている。

 心から幸せを感じて笑顔になれているのならいい。何の問題もないし、私がこうして悩むこともない。困るのは幸せを感じるよりも速く、その幸せよりも一層深い寂しさが湧き出して、溺れてしまいそうになること。

 一度寂しさを感じたら、もう止まらない。目の前の友達を繋ぎ止めるため笑顔を浮かべ、離れるぎりぎりまで笑顔のまま。離れたあともSNSで繋がりを確かめ、時間切れになると、溢れた寂しさが後悔に変わる。後悔は消えることなく積もり続けて、無言で私を責めはじめる。後悔から目を逸らすために、また友達にすがりつく。止めたいと思っても、止められない。まさに、心の麻薬そのもの。

 そもそも寂しさを感じなければ、寂しさではなく幸せを感じることができれば、悩むこともないのかもしれない。頭の中では何度もそうやって考えた。でも、無理だった。幸せに目を向けようとしても、心にぽっかり空いた穴からにじみ出る寂しさが、幸せを見えなくしてしまう。何度繰り返してみても、それは同じだった。

 今年で、十八歳になる。ほとんど大人と変わらないのに、いつまで後悔しか残らない毎日を続けなければいけないんだろう。

 鏡に向かって、笑顔をつくってみる。

 私は、ちっとも楽しそうに見えない。

 変わりたい。変えたい。せめて、卒業するまでには。

 まずは、今日の五時間目に、一歩を踏み出してみよう。

どちらかと言えば、独りの方が楽に感じます。

こんにちは、白木 一です。

『Helene's Solitude.』投稿させていただきました。

「Solitude」とは、ひとりでいること、孤独、という意味だそうです。

連載中の小説を書くための、準備期間としての小説、まずは前書きです。

この小説の内容自体は、去年から書こうと思っていました。

寂しがり屋な少女が主人公です。

この後、前編、後編と続きます。ネタバレを避けるため、詳しい経緯などは次回の後書きに書かせてください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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