017 父が死んだ または愚痴後編(意図せぬ外野の妨害編)
前後編に渡って人の愚痴を書き連ねる娘に成長するとは、お父さんもびっくりであろう。しかし、「常識に囚われてはいけない」「理不尽には声をあげろ」「感情で動くことも必要だが、感情に説得力をもたせるだけの理屈も用意しておけ(たとえ屁理屈でも)」あたりは父から譲り受けた思想のような気もするので、まぁ許してもらえるだろう。(?)
というわけで後編。
父の急逝に際し、若干パニクっていたが「あ、仕事先に連絡せねば……」と思い出し、とりあえずたまにやってる接客業の上司に連絡を入れる。仕事があるときだけ呼ばれるゆるいスタイルなので、「父が急逝したため、しばらくおやすみさせてください」とシフトを組んでる上司にまず連絡する。その後、現場のパワーバランス順に先輩たちにライン等で連絡し、葬儀屋さんが30分後には来るというので仕事のことは忘却の彼方へと飛んでいった。
葬儀屋さんが来るまでの間は、家の電話と私の携帯から父の関係者各位に電話をかけまくっていた。相手の留守電にもメッセージを残していたので、私の携帯にも登録のない番号からばんばんかかってくる。
なので突如私の携帯にかかってきた番号非通知電話にも「あ、誰かの折返し電話かな?」となんの疑いもなく出てしまったのだった。
「もしもし?」
「あっもしもーし? 俺のこと、覚えてるぅ〜?」
電話口は、どう考えても父が死んだという留守電メッセージを聞いてかけ直したとは思えない、知性のなさそうな喋りである。だいたい、名乗りもせずに午前中からバカみたいな喋りで電話かけてくるやつなんざ、大方真っ当な仕事に就いている人間ではなかろう。目的は不明だが、怪しい電話であることは明白である。なんで、なんでこの人生で一番くらいに忙しい日にかけてくるんだこのバカは。(普段はかかってきません)
ただでさえ神経が昂ぶっていたので、
「はぁ? おめー誰だよ忙しいんだよバカ、どこからこの番号入手したわけ? こっちは今親死んで、あんたの馬っ鹿みたいな話しに付き合ってる暇ないんだけど?!」
私はお嬢育ちのわりに大変口が悪い。
「あーー。あー、わかったわかった、そりゃ悪かったねバイバーイ(ガチャ!)」
速攻で切られたので特に実害はなかった。が、なんかむかつく! そして多分、「親が死んだ」というのは適当な嘘だと思われたのだろう。
が、マジだからな! 起きたら親死んでたからな! 私は迷惑電話相手でもそんな不謹慎な嘘をつくような女ではないからな! キィ!
しばらくして、今度は家の電話に着信が。今度は明らかに携帯電話からかかってきていたので出てみると、
「もしもし?」
「もすィもーーすィ! 神楽さんのお宅ですかァーー? わたくすィ、北海道の○○と申しましてェ、以前神楽さんにカーニ買ってもらってェ、そんで今回とォーーーーっても美味しい魚介がまたたくさん採れましたんでェ、ぜヒ神楽さんに召し上がって頂きたいなァと思ィましてェ、お電話すィたんでスよォー」(訛ってるのを馬鹿にしてるのではなく、忠実に文章に起こすとこうなる)
北海道のカニ!
でかくて美味いが「このカニどこで買ったの?」と母に聞いても絶対答えてくれなかったあのカニ! あのカニわざわざ北海道から電話で買ってたのか!
すィかし、今は北海道のカニ注文すィてる場合でねェんだ。
「あー、今親死んで、それどころじゃないんで」
「ありゃァ、そりゃァ大変なときにィ、申し訳なかったですねェ。また改めて電話すィますゥーーー(ガチャ)」
絶対嘘だと思われてる! 親死んだの絶対嘘だと思われてる! 北海道の海鮮業者に絶対嘘だと思われてる! キィ!
しかしなんでみんな今日に限ってかけてくんだ、この人生で一番レベルでバタバタしている日に! キィ!
憤っているうちに葬儀屋さんが到着したので、通夜告別式の会場・日時を決定し、改めて関係者各位にその旨FAXしたり、電話で内容を伝える。
そして職場にも、非正規とはいえ結構長いことやってるので、一応「葬儀日程と会場が決定しましたので、ご報告致します」と先の上司(シフト組んでる人)にだけ連絡し、あとは上司がほかの人に必要なら伝えるでしょ、ということで、再び忘却の彼方へと飛んで行った。
しかしこれがまたあとでやや鬱陶しいことを巻き起こした。お局のRさんである。Rさんとは『013 私がモテないのはどう考えても私が悪い または余計なお世話』でタイトルどおり余計なお世話をしてきたRさんである。
Rさんの面倒くささをここでも軽く説明すると、私の彼氏は同じ職場で働いてる谷崎氏である。私達は付き合ってることを職場には公言していない、めんどくさいから。しかしRさんは私と谷崎氏が付き合ってることを「毎回飲み会に一緒に来る」という理由で疑っている。(職場の飲み会は年に一度、多くとも二度)でも谷崎氏はRさんのお気に入り男子でもある。なのでほかのベテラン陣に「ユリ子ちゃんは谷崎くんのこと好きだと思う、でも谷崎くんはユリ子ちゃんのこと恋愛対象として見てないと思う」と吹聴している。
オゥ……、改めて書くと余計なお世話だぜ。
んで今回も、ざっくり言えば、
「お通夜には上司が代表して行く案が出てるのに、『以前親族が法律相談でお世話になったので僕は個人的にでもお通夜行く予定です』と谷崎くんが言ってるの、怪しくな〜い? だって自分が相談したわけじゃないでしょ? やっぱ付き合ってるんじゃないの〜?」
と裏で騒いでいたそうだ。
なお法律相談の件は事実である。確かに本人が相談したわけじゃないけど、こちらもそこそこ労力かけた案件だったので、「怪しくな〜い?」と騒がれるほど弱い動機でもないと思うのだが、法律相談の難易度や労力など他人にはわからないだろうから(守秘義務もあるし)仕方ない。「付き合ってるから通夜に参列する」というのも事実であるし、この件についてRさんをめんどくさい呼ばわりするのはお門違いと言えよう。
しかしその後日、私が参加できなかった飲み会にて、谷崎氏が話しの流れで「年単位で付き合ってる彼女いますよ僕」と公言したため、それを聞いたRさん、再び大騒ぎ。
私はてっきり「やっぱりユリ子ちゃんと付き合ってるんだよ! だからお通夜も行くって聞かなかったんだよ!(確信)」と騒いでるのかと思ったら、違いました。
「谷崎くんて彼女やっぱりいるんだ! ユリ子ちゃん谷崎くん大好きだから、彼女いるって知ったらショックだろうね〜。お父さんのこともあったし、今は知らないほうがいいよね〜」
と騒いでいたらしい。な、な、な、なんでや!
なんなんだ、なんなんだこの余計なお世話の極み! てかなんでそこに戻るんだよ!!!
Rさんはうちらが付き合ってるという予想が当たっててほしいのか、ユリ子ちゃんの片思いでいてほしいのか、基本的なスタンスをまずはっきりしていてほしい。多分付き合ってるなら「ほら私の睨んだとおり! バレバレでしたよー」と言いたいのだろうし、でも本音は「自分と同じ独身女が実は恋愛面充実してたなんて受け入れたくない、叶わぬ片思いでいてほしい」なのだろう。
ME N DO KU SA !!!
あまり実害はないのでどうでもいいのだが、「お父さんのこともあったし」と、なんとなく父の死をエンタメの一要素として使われてる感じが不愉快ではある。まぁ人づてに聞いたのでなんとも言えないのだが。
そしてなんでRさんのことを私がこんなに詳細に知ってるのかというと、谷崎氏が
「なんか僕がお通夜に行くことを、Rさんは『代表で誰かが行ったほうが相手の負担にならない』『香典託すので十分でしょ』ってやたら妨害してくるんですけど……」
と唯一私達のことを知ってる職場の先輩に愚痴った折、「まじでRさんには気をつけたほうがいい」と裏でRさんが言ってたこと全部教えてくれたからです。そして谷崎氏経由で私も知ることとなる。
そして私から、ストレス発散のためにネットの大海へと放出されることとなるのだ。
というわけで、義兄とRさん、あとなぜかかかってきた迷惑電話が愚痴のメインでした! メインっていうか、それ以外はほぼないな。
宅急便かと思ってヨレヨレの部屋着で出たら、「香典と、あとお線香をあげさせていただきたく……」とやってきたアポなし来客で慌てた……とか、すっごい丁寧に電話口で「このたびはご愁傷様で……葬儀の日程等はお決まりになりましたか?」とか言ってくるので知人かと思ったら、ただ墓の営業だったとか(※1)、まぁ「人が死んだあとあるある」はいくつかあったが、本当に、多くの人の思いやりと気配りに支えられました。
愚痴で終わるのも嫌なので、次回まとめを書いてこの「父が死んだ」シリーズは終わります。いやしかし、Rさん、改めて書くとほんとめんどくさいな!
※1
死んで3日後から何件もかかってきたよ! あちらも仕事なんだろうけどハイエナのようだね!




