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雀人の羽はふわもこ。

 思わず冬のすずめで検索してしまいました。

 本当可愛いですよね。

 正面からもふっと抱きつきたいです。

 しかしすずめの寿命が三年なんて知らなかったです……。


 


 そろそろ昼ご飯の用意でもしようかなぁと腰を上げれば、アランバルリが人を連れてきたと連絡があった。


 引き籠もり生活は続行中だったが、屑以外には顔を見せている。

 嬉しいことに皆からはそれなりに慕われているらしく、子供たちは勿論大人たちが私を見た次の瞬間に、ぱっと笑顔を見せてくれるのが面映ゆくも嬉しい。

 穏やかに健康的に日々元気に暮らしている皆に比べて、屑は屑度に拍車をかけている。

 どうやら私が姿を見せない現実を、自分たちを恐れて隠れていると判断したらしい。

 うん、正直なところ理解に苦しむ。

 どれだけ脳天気なのだろう?

 皆への接触も図っているようだが、それらは全てトレントたちによって回避されている。

 カロリーナの巻きつきによる骨折り、トリアの威圧による精神攻撃、ペネロペの素敵な食事による制裁も、殺されない&村から追放もされない点から、自分たちは大丈夫! と無意味な自信をつけてしまったようだ。


「愛。そろそろ屑の粛清をした方がよろしいんじゃありませんこと?」


 扉の外で待っているトレントに配慮しながらも、ローズが話しかけてくる。


「例の娼館へ売り飛ばすんじゃなくて?」


「ええ、そうですわ。ここからそう遠くはない場所に凶暴なマンイーターの巣を見つけましたので、そこで処理をお願いしてしまえばよろしいかと」


「なかなか良い案だと思うのねー。マンイーターは凶暴だけど知性ある種族だから交渉も可能なのねー」


「そうなの?」


「かなり数を減らしている種族なのです。慎重なので、交渉は基本難航しますが、私たちが行けば了承してくれるのです。と、言うか。既に交渉済みなのです」


「おうふ」


 どうやらスライムたちは屑の所業にうんざりしていたようだ。

 何より私を軽んじているのが許せないのだろう。

 マンイーターは人の体だけでなく心も食べるので、散々いたぶってから時間をかけて捕食をしていくのだという。

 カロリーナ曰く、年単位の時間をかけて食べるなんて話もよく聞くらしい。


「ん。次に派手な何かをしでかしたら、巣に捨ててくるの」


「う。起きたらマンイーターに囲まれていたとか、絶望的で最高だと思うのよ」


 スライムたちの中では決定事項らしい。

 一応皆の意見も聞いておきたいところなのだが。


「……で、アランバルリは誰を連れてきたのかしら?」


「雀人みたいですわよ」


「雀人さん!」


 これで私の望むお米が食べられるのね!


 つい鼻息が荒くなってしまい早足になるのを、スライムたちが噛んで含めるように宥めてくれる。

 確かにせっかく来てくれた雀人をドン引きさせたくはない。


 アランバルリはトレントと相談し、雀人を交渉小屋へと連れて行ったようだ。


「失礼しますね」


 私は扉の前で声を掛けてから中に入る。

 アランバルリと雀人は何やら話をしていたようだ。

 緊張感漂う雰囲気だったが、険悪ではない。

 商人同士の話し合いをしていたのなら、こんな状況なのかもしれなかった。


「こんにちは。初めまして。ホルツリッヒ村村長、アイリーン・フォルスと申します。この度は遠いところ、足をお運びいただきましてありがとうございます」


「御丁寧にありがとう存じます。自分はイシスジャニア国からまいりました、雀人のサクライ カネヤスと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます」


 おぉ!

 名前が日本風。

 カネヤス サクライじゃないところが、実に日本っぽい。

 初代さんは私と同じ日本からの転生もしくは転移者かもね。

 尋ねないけど。


 初めて見る雀人は、人間が雀の羽を背負っている見かけだった。

 天使の羽が雀羽バージョンって説明の方がわかりやすいかしら?

 しかもその雀羽。

 冬のもこもこ仕様のように、ふっくらしているのだ!

 仲良くなったら触らせてもらいたい。

 できれば顔を埋めたい。

 あの量であれば上半身も埋められる気がする……。

 は!

 ふわもこもこの魅力に我を忘れるところだった。

 平常心。

 も一つおまけに平常心……。


「……既にインディカ種は蒔いているんですが、私はジャポニカ種が食べたいんです。で、詳しい方に教授いただきたいと相談したら、雀人の方を紹介いただいた次第なんです」


「エルダートレント殿がいれば、どんな荒れ地でも稲作に向く地になりましょう。アランバルリ殿とともに、インディカ種が実っている道を通ってまいりましたが、雀人も真っ青の仕上がりでございました。私どもの手がなくとも、美味しいジャポニカ種が育つと思いますが……」


「まず種の入手が難しいのと、やはり専門家の意見を重宝したいというのが、私とトリア……エルダートレントが出した結論なの。できれば、村にしばらく滞在していただいて、そうですね……ジャポニカ種の田植えから稲刈りまでを、御指導いただきたいですわ」


「なるほど……そこまで我らの技術を重んじていただけるのであれば、一度国へ戻って希望者を募りたいと思いますが、それでもよろしゅうございましょうか?」


「ええ、どうか無理はなさらないでくださいね。こちらがお願いをする立場ですから」


「……フォルス殿は変わっておられますなぁ……そこまで米を求める理由をお聞きしてもよろしゅうございますでしょうか?」


「私の生国ではジャポニカ種が主食だったのよ。確か……900種類ぐらいあったかしら」


「900種! それはそれは……是非とも研修に伺いたいですなぁ」


「喜んで、と申し上げたいのですが、私もこちらに事故でまいりましてね。帰国手段はないと、トリアが教えてくれましたの」


 エルダートレントの知識が深いのは広く知れている。

 何か困ったときには、トリアの名前を出していいと本人から許可を得ているので、遠慮なく使わせてもらった。


「それはまた難儀でございますなぁ。エルダートレント殿でも行けぬ国とは……どうにも自分らの方が学ばせていただくことが多い様子。国の許可が下りましたならば、自分が立候補させていただく所存です」


 トリアの力が及ばぬ地には、それほどの魅力があるらしい。

 つい数分前までは派遣に後ろ向きだったというのに、今は自らが立候補するほどだ。

 その心意気やよし!

 私が知る日本米について、存分に語るとしましょう。


「イシスジャニア国は、ジャポニカ種の育成に力を入れておられるのでしょうか?」


「ええ、インディカ種、ジャバニカ種も作っておりますが、一番手のかかるジャポニカ種に力を入れております」


「こちらには現在インディカ種しかございませんが、イシスジャニア国ではどんな食べ方をされておられるのでしょうか?」


「食べ方とおっしゃるのは、米を常食されている方ならではのお言葉ですなぁ。インディカ種は現在、飼料として広く使われております。イシスジャニア国のインディカ米も飼料に向いた改良を重ねてまいりましたので、重宝されておりますが、米好きとしては少々思うところがございまして……趣味としてではございますが、食料としてのインディカ種も作っております。現時点では、そうでございますねぇ。炒めて食べるのが無難かと」


「なるほど……でしたら、これからちょうど昼ですので、私が作るインディカ米の料理を召し上がっていただきましょうか」


「村長自ら、料理されるので!」


「これでも、結構料理は好きなんですよ。蒸す、茹でる、煮込んだインディカ米の料理を披露しますね」


「そ、想像がつきませぬ!」


 サクライが机の上に身を乗り出している。

 興味を持ってもらえたのなら嬉しい。

 

「よろしければ、料理の工程もお見せいたしましょうか?」


「……いかほどお支払いすればよろしいでしょうか」


 商人らしい言葉に破顔する。

 そこに商品価値を見いだしてくれたのがまた、嬉しい。


「今回は無料で構いません。レシピを御所望であれば、そのときにお支払いくださいませ」


「全てのレシピを所望する未来しか見えませぬ……」


 嬉しいような、困ったような表情をしたサクライを見るアランバルリの目に、深い同情が見えたので、やはりこの雀人は技術者というよりは商人なのだろう。


 スライムたちに続き私が小屋を出れば、アランバルリとサクライも続く。

 いつもの場所で簡易キッチンを展開すれば、それにも大仰に驚かれる。


『あの驚きは素なのね。素で商人を驚かせるなんて、愛もやるのねー』


 珍しく念話を飛ばしてきたリリーに、同じ念話で、まだまだよー。と返事をしておいた。


 料理魔法は私のオリジナルなのだから、ここは素で驚いてもいいところだろう。

 私としては、米の料理で心底驚かせたいのだ。

 やはり日本人だからね! 

 インディカ米レシピで驚かせておいて、ジャポニカ米レシピで更に驚かせるのが、最終的な目標だ。


 いろいろと気になるのか、背後から鑑定をかけられる。

 偽装魔法のレベル10が常時発動中なので、全く読み取れなかったのだろう。

 サクライは首を傾げていた。

 断りも入れずに鑑定をかけるなら、こちらもかけておこうとサクラにお願いをする。


 サクライ カネヤス


 商人 LV100


 所属 イシスジャニア国商業部


 階級 部長


 HP 2000

 MP 5000

 PW 1000

 IT 3000


 スキル 話術師 LV10

    鑑定師 LV10

    危険察知 LV10

    偽装 LV10

    収納 LV10

    値切 LV10

    交渉 LV10

    魅了 LV10

    解毒 LV10

    奪取 LV10

 

 なかなかに不穏なスキル満載だ。

 特に奪取。

 

『同じレベル10でも、愛の方が性能のいいスキルなので楽勝です!』


 何が楽勝なのかはこの際気にしない。

 魅了を使っているのなら、こちらも少々過激な対応をすべきかしらと、包丁を握り締めながら、考えているメニューを念話で伝えて、スライムたちに必要な物を準備してもらう。


 また、サクライが素で驚いていた。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好  


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  


 コロナ予防接種の予約が今日の夕方にスタートする模様……。

 予約取れるといいなぁ。

 コンサートのチケット並なのかなぁ。

 主人は会社で取ってくれるそうなので、ちょっとだけ羨ましいです。


 次回は、雀人の様子見。(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。

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