表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/195

愛特製便利調理器具をご覧あれ!

 しまった!

 思いの外便利器具の種類が少なかった……。

 

 所謂、料理回になります。

 料理描写を入れようとすると、どうにも文章量が増えちゃうんですよね。


 微妙に予定していたタイトルと違ってすみません。

 

 愛がプレイしていたBLゲーム描写があります。

 そんなゲームがあったら、ちょっとやってみたいとか思った次第です。




「ん? 朝?」


 ちゅんちゅうんと、スズメに似た何かの鳴き声が遠くに聞こえる。


「ご名答! なのねー。やっぱり疲れていたみたいなのねー」


「皆は?」


「愛が何時に起きるか解らなかったから、出かけたのねー。朝ご飯ができたら呼んでも良いと思うのねー」


「朝ご飯かー。パンかご飯食べたいなぁ……」


「ぱんだね? が、アイテムにあったのねー」


「本当? うぉっふ! 名前がまさかそのままとは思わなかったよ!」


 入手&解体済の食材はサクラが全て鑑定しておいてくれている。

 お蔭で手に取れば詳細が解かるのだが。


 野生のぱんだね?

 パンの材料になる。

 パン焼き器もしくはオーブンで焼くべし。

 +ライぎむ、塩玉


 栽培不可。

 ただし、ぱんだね育成機に一定時間入れておくと、増量する。

 野生種は量こそ少ないが、市販物に比べて質が段違いに良い。


「んーっと、レシピ通りだと黒パンができるのかな?」


「こっちのパン焼き器は高価で性能が悪いのねー。愛のオーブンで焼くと良いのねー」


「オーブンかぁ……機能の後付けとかできるの?」


「単純に作り直せばいいのねー。古いのはオークションにかければいいのねー」


 にやりと悪役微笑を浮かべたリリーの背後には、威圧感たっぷりの真っ黒いオーラまで漂っている。


「あぁ、また可愛いリリーさんが鬼畜腹黒眼鏡に……」


「いいのねー。私は鬼畜腹黒担当なのねー。でも眼鏡はかけてないのねー」


 悪役を自ら買って出るリリーが可愛い。

 眼鏡も何時か装備させたい。

 女子教師風の眼鏡とか萌える。

 とりあえず今は高速でもみくちゃにしておく。

 掌も大変気持ちが良い。

 起き抜きのぼんやり感がすうっと薄れていった。


「それじゃあ……材料を入れて、メニューを囁いたら、自動で最適調理してくれる機能のオーブンを所望します!」


「……それなら改良は必要ないと思うのね?」


「かな?」


 ぽーんとやっぱり可愛い音がして、オーブンが出来上がった。

 色はホワイト。

 オーブンっぽく縦開き。

 ボタンはスタートボタンしかついていない。

 デフォルメされたスライムマークがボタンの下に可愛くついていた。

 全体のサイズは50×50×50センチ。

 結構大きいサイズだと思う。

 がっつりと焼けそうだ。


「鈴蘭マークじゃないのね?」


「あ! そうだね。無意識だったわ」


「家電も薬も同じ人物が作ったと思われない方がいいから無難なのねー」


「解かる人は解りそうだけどね」


 解かったところで手出しはさせないけどさ。

 出されたら徹底的に迎撃するけどさ。


 簡易キッチンを出すと、リリーが作業をしやすい位置にオーブンを設置してくれた。

 勿論出す時にオーブンを置く場所も作ってねーと念じてある。


「愛の妄想力は凄まじいのねー」


「貴腐人だからねー」


 妄想力は常に銀河系です。


 リリーが発掘してくれたライぎむと塩玉をよくよく混ぜて捏ねる。


 ちなみにライぎむの鑑定結果はこちら。


 野生ライぎむの穀粒

 料理の材料になる。

 本来は脱穀機が必要だが、サイの解体により不必要。

 +ぱんだね? 塩玉


 野生ライぎむの葉 茎

 家畜の肥料になる。

 乾燥すべし。

 色々な家畜が好んで食べる良飼料。


 野生ライぎむの種籾

 栽培できる。

 穀粒の中に少量紛れている。

 本来は手作業分別もしくは、未分別のまま使用するが、サイの解体により分別済。

 効率の良い栽培が可能。

 +きれいな水 栄養価の高い土


 ……となっていた。

 栄養価の高い土というのが、現時点では難易度が高い。

 野菜栽培で土が上手く育ってから手を出すのが無難そうだ。


 ライ麦パンを作りたいわーと思いつつ捏ねるも、レシピが幾つも出てくるので、頭の中に浮かんだレシピ通りに分量だけを変えて何種類か作った。


「出来立てを食べさせたいので、皆が揃うまで状態維持をよろしくねー」


 とオーブンに囁きかけてスタートボタンを押す。

 速攻で美味しそうなパンの香りが漂ってきた。


「後は……スープとサラダかなぁ」


「マヨネーズを作るといいのねー」


「そうだねぇ。ポテマヨサラダと具だくさんスープかなぁ」


「ポークを倒したから、豚肉も色々あるのねー」


「へぇ。豚肉はポークなんだ」


「愛の世界でいうオークがポークなんだけどねー」


「み、緑色の肉なの?」


 それは日本人的にはちょっと抵抗がなくもない。

 食い意地がはっているから、豚肉だよ! と言われたら食べないという選択はないけれども。


「普通の豚肉色だから安心するといいのねー。あと、睾丸は高値で売れるから使わない方が良いのねー」


「コブクロはあまり調理したことないからなぁ。ま、変わった物が食べたくなったら挑戦したいかも? 程度だから、了解です」


「卵はクックルーの卵があったのねー。クックルーは鶏と思ってくれていいのねー」


「お。じゃあ、鶏肉料理もできるのね?」


「魚も色々あるのねー」


「魔法ばっかり頑張らないで、料理も頑張らないとなぁ」


 体力気力の消耗で食事をすっ飛ばして何度も寝込んでるしね。

 まぁ、最初に魔法を一通り覚えちゃえば楽だから仕方ないとも思うんだけどさ。

 普通はもっと時間をかけて覚えるものなんだって、頭ではわかっていてもやっぱりスライム達しか信用できないから、人に会う前に準備をきちんとしておきたいんだよなぁ。


「愛は十分頑張っていると思うのねー。マヨネーズは私がしゃかしゃかするのねー」


 料理魔法の時間促進があるので簡単にできるのだけど、しゃかしゃかと身体を震わせるリリーが可愛いので、大きく頷いてお願いをする。


「それじゃあ、マヨネーズ作りはリリーにお任せするね」


「らじゃーなのねー」


 しゃかしゃかと楽しそうに身体を動かすリリーを横目にして、ポテトサラダとミネストローネの準備を始める。


 トメトはざく切りでミネストローネ用にと決めた両手鍋にたっぷりと入れる。

 簡易キッチンについてくる料理器具が地味に便利だ。


 ジンニンはいちょう切りにした半分をミネストローネ鍋に入れ、半分をサラダ用に片手鍋で茹でる。


 ウリキューは輪切りにして、塩玉を入れてよくよく揉んで放置。

 時間促進使わなくても、他の作業をしている最中に水分が程良く出るだろう。


「あ! ボウルとざるがないな」


 大中小と大きさ三種類のボウルとざるを、今までの手順でさくっと作る。

 

「……ちょ! 力が抜ける……」


 オーブンと同じノリで作ったというのに、力ががっつりと削られた。


「愛―? オリジナルの調理器具作成魔法はなかったのね? もしかして、上限突破した気がするのね?」


「あーだから、だるいのか……こんな時にはレモンじゃなかった、イエローベリーなスライスを……」


「それで気力回復できる愛は凄いのねー」


 呆れたリリーが、イエローベリーをスライスにして渡してくれる。

 包丁もまな板も必要としないリリーの曲芸切りは見事だった。

 空中で、すぱぱぱぱーんという軽快な音と共に、イエローベリーの輪切りが出来るのだ。


「おー! しょっきりするわー! スライスなイエローベリー!」


 ちみちみと皮まで食べながら、首を振る。

 オリジナル調理器具の作成は少し控えた方がよさそうだ。

 

 イモジャガも大きめのざく切りで半分をミネストローネ鍋へ、半分をボウルの中に入れて水に浸す。

 圧力鍋で茹でると早くて美味しいのだが、調理器具は一日一作成辺りにしておかないと身体がもちそうにないので、今は鍋が空くのを大人しく待つ。


「スライサーも欲しいかなぁ。メモっておきたいところだけど、紙ないしなぁ……」


 簡易キッチンについていた万能包丁も優秀だったので、サラダ用の薄い千切りも、ミネストローネ用の普通千切りも自在だったのはありがたい。

 私の腕が良いのではなく、包丁が良く切れるのだと認識しつつも鼻歌が出る。


「許されない俺とお前の関係だけどぉ~、許しを請おうとする気持ちだけは忘れないでいたい~」


「……BLな歌なのね?」


「禁断の関係 何時か許されるための一歩を……っていうゲームのオープニングよん。男同士に加えて兄弟とか父息子とか義理じゃない正真正銘の近親相姦をテーマにして、発売3日で発禁喰らった幻のゲーム。受け攻めどっちの葛藤も良いのよねー。やっぱりBLは心理的葛藤が良いのよ、葛藤が!」


 拳を握り締めて力説する。

 リリーのしらーっとした雰囲気は気にしない。


 製作会社に余程業の深い腐女子がいたのだろう。

 普通は同人でも難しそうな内容だ。

 発売前からメーカーが宣伝しなくても口コミが凄まじかったのできちんとメーカー通販で予約して、店頭でも並んで入手した。

 店頭並びは混み具合を予想しつつ、空いていそうな店舗を事前チェックして、始発で行ったら三番目だった。

 一番目の人は特典が死ぬ気で欲しかったので徹夜したと言っていた。

 萌キャラの特典が欲しかったので余ったソフトはオークションに出したら、定価に0二つ追加されたのは美味しい想い出だ。


 ちなみに内容は発禁しかたないわぁと思うリアルさだった。

 特にエロ最中のやりとりが。


「マヨマヨ完了!」


「おー素晴らしい!」


 小皿の中にこんもりと盛られる。

 優秀な助手のお蔭で、何時でも作り立てマヨネーズが頂ける今日この頃。

 感謝感激雨あられ。


「愛の方はどうなのね?」


「ポテトマッシャーが欲しいかなぁ。せめてしゃもじ!」


「……しゃもじなら簡単に作れると思うのねー」


「じゃあ、使い勝手の良いシンプルしゃもじを所望します!」


 作業台の上にころんとしゃもじが転がった。

 先程のような疲れはない。

 単純な器具なら消耗も抑えられるのだろうか。

 ほんのり香る竹の感じが純日本製! という風合いで、握り心地も良く出来栄えは最高だ。


「では、リリーさんのマヨとイモジャガとジンニンと……ウリキューをぎゅっと搾って!」


「搾って!」


「愛情を込めて混ぜます!」


「愛情は重要なのねー」


「ドイツ式だとあったかポテサラなんだけど、どうする?」


「今回はあったかが良いのねー。中の空調は完璧だけど、外は結構寒いのねー」


 そう言えば洞窟は快適な温度に保たれている。

 更にはどれほど料理をしても、空気が濁りはしなかった。

 さてはて、誰が新しいスキルを取得したのだろうか。


「スキルじゃないのねー。超絶優秀なルンちゃんと、ピュアちゃんのお蔭なのねー」


「へ?」


「ルンちゃんが回収したゴミを、ピュアちゃんがリサイクルして、便利グッズに変えてるのねー。空気清浄器ミニとエアコンミニができたのねー」


「……サクラちゃんの鑑定結果が怖いわぁ」


「愛は自分のハイスペックをいい加減自覚するといいのねー。 これが空気清浄器ミニとエアコンミニなのねー」


 リリーが部屋の壁と同化していた掌サイズの家電? を持って来てくれた。


 どちらも真っ黒いスライムに瓜二つだ。

 片方からは、心地良い熱風がサイズを考えると凄まじすぎる勢いで出ており、片方からは澄んだ空気が存分に送り出されている。

 しかも静音設計だった。


「おースライム全体から出てるんだね。これだと万遍なく温まりそう」


「ピュアちゃんとルンちゃんは優秀だから、存分に褒めるのねー」


「るっ?」


「みっ?」


 呼ばれたと思ったのか二人が奥からやってくる。

 ルンの上にピュアが乗っていた。

 既にこれが鉄板のようだ。


「二人ともありがとうね! 凄く助かってるわー」


 ピュアの天辺を指で摩り、ルンの側面を掌で摩る。


「るふー」


「みふー」


 スライムがへにょりと崩れるのはむしろ当たり前だが、ルン○が同じようになる光景はそれなりに衝撃的だった。


「るっ?」


「あ。よろしく」


 シンクの隅の避けておいた野菜の屑をルンが綺麗に回収してくれた。

 水の上でもへっちゃららしい。


「み?」


「るぅ!」


 シンク内をぴかぴかにしてくれたルンが、私の足元でひっくり返る。


「おー。まさしく共生関係だねぇ」


 ルンの水浸しになった部分の水分を、ピュアがちゅうちゅうと吸い取り綺麗にしていた。

 ゴミ取り口にもちゅうちゅうしていたので、回転や吸い取り率が落ちることもなさそうだ。


「また、よろしくねー」


 ぴょん! と仲良く飛び上がった二人は、また洞窟内の掃除に戻って行った。


「なんかこう、掃除の域を超えているよね」


「まだまだランクアップする気配があるのねー。私達と一緒なのねー」


「二人とも食事とかはどうなんだろう?」


「皆で美味しい物を食べるのは良いことだし、二人にはきっと好き嫌いはないと思うのねー」


「だよねー」


 私は更に増量して食事を作ろうと胸に誓った。


「ミネストローネには、あとスーナを入れるでしょー。タマネギとキャベツってある?」


「もちのろんなのねー」


 リリーが発掘してくれたタマネギとキャベツは下記の通り。


 野生ネギタマ

 料理の材料になる。

 火を通すべし。

 +バター、塩玉、コショウ、コンソメ


 野生ネギタマの皮

 肥料になる。

 臭いがあるので、完全に土の下へ埋め込むべし。

 完全乾燥した物ならば害虫避けの効果有。


 野生のネギタネタマ レア

 料理の材料になる。

 生食可能。

 栽培できる。

 +綺麗な水 


 ……オニオンスライスが好きな自分的には生食可能が嬉しい。

 早いところ、かつお節も作らないと。

 肥料になるのはありがたいな。

 栄養価の高い土フラグが立派に立った気がする。


 野生キャノベツ

 料理の材料になる。

 火を通すべし。

 +何かの肉、ネギタマ、ジンニン


 野生タネキャノベツ レア

 料理の材料になる。

 生食可能。

 栽培できる。

 +綺麗な水


 ……種系野菜は生食が可能なのかしら?

 ここにきて連続しているけど、そうでない物もあるから断じるのは良くないだろう。

 面倒でも使う前に、きちんと確認しないと駄目だなぁ。

 まぁ、そのうち料理覚えて、これに必要な食材! とか念じると一式揃う素敵魔法とかスキルとか会得できそうな気もしないでもないけれども。

 

 ネギタマ、キャノベツを共にざく切りにして、鍋へ入れる。

 鶏肉と豚肉どちらにしようか迷い、豚肉に決める。

 部位をどれにしょうか、かなり迷った。


 ポークの骨 

 出汁が取れる。

 +普通の水、臭い消しの野菜各種

 *基本は捨てられている。

 トンコツスープを孤児院などに教えたいところ。


 ポークの皮

 綺麗に剝ぐと高額で売れる。

 防具が作れる。

 裁縫師のみ作れる。


 ポークの耳

 冒険者ギルドにおいての、討伐証明になる。

 2つで1体の証明。

 上位種、亜種のポークは高額で買い取って貰える。


 ポークの鼻

 高級食材トリュフを取る為の道具材料になる。

 細工師のみ作れる。

 上位種、亜種のポークで作るとより高性能となる。


 ポークの睾丸

 料理の材料になる。

 火を通すべし。

 高額で買い取って貰えるので、売却をオススメ。

 +塩玉、ゴマオイル、ナガギーネ


 ポークロース

 料理の材料となる。

 火を通すべし。

 +塩玉、コショウ、ゴマオイル、クックルーの卵、モー乳、小ぎむ粉、パン粉


 ポークヒレ

 料理の材料となる。

 火を通すべし。

 +トメト、ネギタマ、ニンニク、ショウガ、ケチャップ、普通の水、

 バジル


 ポークバラ

 料理の材料となる。

 火を通すべし。

 +ネギタマ、ジンニン、キャノベツ、味噌、酒、砂糖、みりん


 ポークモモ

 料理の材料となる。

 火を通すべし。

 +塩玉、コショウ、ニンニク、オリーブオイル


 ポークレバー

 料理の材料となる。

 火を通すべし。

 +ラーニ、シモヤ、ショウガ、ニンニク、酒、オイスターソース


 ……ギルド的にはオークと呼ばれ、一般的にはポークと呼ばれる。

 上位種、亜種は希少で強い。

 愛なら楽勝。

 味噌、醤油、日本酒、オイスターソース、みりんはこちらの世界に存在しないが、愛は作れるらしい。

 頑張ろう。

 部位はきちんと解体されている割に、料理のレシピはあまり多くない。

 基本は、焼くか煮る。

 しかもシンプル仕様。

 無双の要素が有りすぎていて迷う。


 無難なもも肉を一口サイズに切って、たっぷりと投入。


「そういえば、ローリエってある?」


「存在はするけど、まだ見つかってないのねー。風土的にはありそうなので、戻ってきたら特に探して貰うようにオネダリすると良いのねー」


「風土的にはオリーブに近い気がするから、特にオネダリしなくても見つかりそうな気もするなぁ」


「ん! 受け取るのっ! ロリーエ? の葉っぱなのよ」


「フラグの回収がいくらなんでも早すぎですよ!」


 突然モルフォが現われて、作業台の上へローリエの葉を数枚置いてくれる。


「ん! フラグの回収? は、迅速にって、ローズが言ってるのっ!」


 ローズさんやー。

 間違いなく君が一番の腐女子候補だよ。

 オタク成分に関しては、今更言うまでもないよね?

 ゲーマー寄りなのかしら?


「忙しいのにありがとう! もうすぐ朝食が出来るから、切りの良いところで戻ってきてね」


「ん! 了解なのっ!」


 モルフォが消えたので、ローリエの葉を適度に時間促進で乾燥させて鍋の中へ入れる。


「後はデザートかぁ……何か簡単に出来そうな物はっと……苺のプレザーブかなぁ。パンに乗せても良いしね」


「レッドベリーなのね? 砂糖もなのね?」


「あ。手に入ったんだ、砂糖」


 三種類も差し出された。


 野生白砂糖 レア

 調味料になる。

 木になっている。

 実を割ると中身が白砂糖という、チート的食材アイテム。

 条件を満たした者にしか採取できない。

 例・エルフ他。

 愛パーティは全員採取可能。


 野生黒砂糖 レア

 調味料になる。

 山で取れる。

 岩を砕くと取れる。岩塩風。

 不純物が多いが、サイのお蔭で綺麗に取り除かれた状態。

 条件を満たした者にしか採取できない。

 例・ドワーフ他。

 愛パーティは全員採取可能。


 野生茶砂糖 レア

 川で取れる。

 球状の水生生物風。茶色いマリモな感じ。

 水から取り出すと同時に水と同化してしまうので、採取が難しい。

 サイのお蔭で球状のまま採取可能。

 条件を満たした者にしか採取できない。

 例・マーメイド他。

 愛パーティは全員採取可能。


 さすがは異世界砂糖だった。

 突っ込みどころが満載だ。

 ドワーフが砂糖? と首を傾げたが、酒に必要かなぁと考えれば納得できなくもない。


「じゃあ今回は白砂糖にして。先刻の残りのイエローベリーの搾り汁を入れて、レッドベリーを軽く潰して……」


「火でことことはやるのねー」


「よろしく!」


 今度は、ことことー! ことことー! と言いながら、リリーが鍋を見詰めて身体を揺すっている。

 撫でくり回したい可愛さだが、火を使っている時は危ないのでさすがに自重した。


「大体こんなところかなぁー。よし! 皆―ご飯だよー!」


「「「「ただいまー」」」」


「おかえりー」


「おかえりなのねー」


「るるるるっ!」


「みーみみっ!」


 ルンとピュアも一緒にお出迎えだ。

 ルンがエンジン? を超回転させると、帰宅したスライム達の身体が激しく揺れる。

 どうやら埃を取ってくれたらしい。


「お風呂はどうする?」


「朝風呂も萌えるけど、朝食を優先なさい!」


「シャワーを軽く浴びるといいのです」


「んっ! ふかふかタオルでぴかぴかにするのっ」


「う! シャワーの後でご飯なのよ?」


 食い意地がはっているローズの意見は却下されたようだ。

 全身の赤をより鮮やかにして膨れながら、ぴょいんぴょいんと飛び跳ねていたが、他の三匹に宥められながら、バスタブが設置してある場所へ移動する。

 ちなみにバスタブは常時設置で、掃除はルンが引き受けてくれている。

 魔法の消費はあってないような程度なので、特に問題はない。


「タオルの準備は私がするのねー」


 心配で覗きに行くと、三匹がバスタブに飛び込み、ルンとピュアも飛び込んだ。

 ルンは大丈夫なのか心配だが、ピュアが完全乾燥してくれるのできっと平気なのだろう。

 そのうち完全防水とかスキルを身につけそうだ。

 大きなバスタオルを広げて、皆がバスタブから飛び出してくるのを待っているリリーを愛でつつ、食事の支度を完成させた。


 ライぎむパン 黒

 ランクA

 強い酸味を感じる完璧な黒パン。

 これをベースに、色々な具材を入れるとレシピが無限大に広がる。

 愛オリジナルの為、しっとりと仕上がっている。

 通常この配合だと、かちかちパンになってしまう。

 そのまま食べても良いが、バターもあうらしい。


 ライぎむパン 茶

 ランクA

 やわらかな酸味を感じる茶色のパン。

 ライぎむのぷちぷち感を残しているので、食感が面白く好ましい。

 愛オリジナルの為、もっちりと仕上がっている。

 通常この配合だと、ぱさぱさパンになってしまう。

 そのまま食べても良いが、オリーブオイルもあうらしい。


 ライぎむパン 白

 ランクA

 酸味の薄いほぼ白に近いパン。

 これを白パンで売り出してもいいんじゃね? というレベルにやわらかい。

 愛オリジナルの為、ふわっふわに仕上がっている。

 具材よりも、バターやオリーブオイルなどの調味料を練り込むと美味しいらしい。

 そのまま食べても良いが、ジャム系もあうらしい。


 ホットなポテトサラダ マヨ和え

 ランクS

 至高のマヨネーズ和えのため、評価が高い。

 この世界でマヨネーズは存在するが大変高価。

 王族がレシピを秘匿、販売を独占しているようだ。

 また、ウリキューとジンニンを混ぜ合わせるレシピは存在しない。

 HPのみ50%回復。

 コショウとネギタマスライスを入れるとランクが上がる模様。


 ポークのミネストローネ

 ランクS

 野菜がたっぷり入っており、ローリエの匂い消しがポークの甘みを引き立てているので評価が高い。

 HPとSPが50%回復。

 氷系のダメージに対して、小回復。

 加工された肉に加え、更に野菜の種類を増やしてランクが上がるらしい。

 作りやすいせいか、極めるのは難しいメニューとのこと。


 レッドベリーのプレザーブ

 ランクSSS

 希少な白砂糖をたっぷり使っているので、最高評価。

 そのまま食べて良し、パンにたっぷりつけて良し、清水にといてジュースにしても良しと汎用性が高い。

 MP100%回復。

 異常状態を三つまで同時回復。

 異常状態回復薬として売れば、大儲けとリリーは言うだろう。


「これぞ、私の食べ物なのよっ! 毎日食べさせなさいっ!」


 ローズが、口の周りを真っ赤にしてプレザーブを貪り食っている。

 太らないのだろうか?

 糖尿病は大丈夫なのだろうか?

 心配だ。

 余りの喜びように、ストックは常に大量にすると決めた。


「マヨなのですっ! 至福のマヨなのです! 私はまよらーと呼ばれても良いのです!」


 サクラはマヨラーのようです。

 マイマヨを持たせてあげても良いけれど、やっぱりメタボと糖尿病が心配なのです。

 ローカロリーマヨネーズの早期開発が求められていると思います。


「んっ! ぷちぷちが楽しいのっ! 酸味もこれぐらいが好ましいのっ!」


 モルフォのお気に入りは、ライぎむパンの茶。

 そっとオリーブオイルを出すと、ちょろりとかけては食べ、ちょろりとかけては食べを繰り返し始めた。


「う! この強い酸味としっとり具合が最高なのよっ! ご飯三杯いけるのよっ!」


 ライぎむパン山ほど+ご飯三杯は食べ過ぎですね、サイたん。

 サイは結構マニアな嗜好をしているようです。

 頑張ってバターも作るよ!


「あー。染みるのねー。野菜とポークの甘みが染みるのねー。脂まで甘いのねー」


 リリーはミネストローネに耽溺中。

 ほんのりと赤くなっているところを見ると、想像以上に身体を温める効果があるのかもしれない。

 お代わりもたっぷりあるので、存分に食べるといいよ。


「るっ!」


「みっ?」


 ルンとピュアはパンの食べ比べをしているようだ。

 どれにもたっぷりとプレザーブを乗せている。

 甘い物好きなのかもしれない。

 砂糖と卵が手に入ったので、デザート系にも力をいれたいところだ。


 ライぎむパン黒は、想像していた以上に酸味が強い。

 サイのマニア嗜好の深さを知った気になる。

 バターをたっぷりつけて食べれば酸味が緩和されて、かなり好みの味気になると思うので、頑張って開発したい。


 ライぎむパン茶は、ぷちぷちともっちり感が最高だ。

 少しだけオリーブオイルをかけて食べてみたが、私的にはそのままでも十分以上に美味しい。

 ミニサイズを作って、三個の内一個にオリーブオイルをつけてベストだろう。


 ライぎむパン白は、独特の酸味が薄いので少々物足りなさを感じる。

 ただ文句なしの癖のなさなので、レシピの広がりはこれが一番あると思う。

 オリーブオイル練り込みタイプは必ず作りたい。


 ホットなポテトサラダは、向こうではあまり食べなかった。

 手間が掛かるので最初に作ってしまうため、単純に冷めてしまうのだ。

 可愛い子達と一緒に食べて思ったのは、冷たいポテサラもいいがホットなポテサラも良い、だった。

 状況に応じて作り分けるのが最適だろう。

 

 前回食べたミネストローネも悪くなかったが、やはりローリエが良い仕事をしてくれた。

 ポークの臭みが全くなく、肉の甘みそのものが堪能できた。

 野菜も適度に煮えていて、くちどけが堪らない。

 ここまで来たら最高ランクを極めたいものだ。


 まったりと食休みをしていると、ルンとピュアがお昼寝を始めた。

 スライム達も疲れが出たのだろう、船を漕いでいる。

 私はもう少し頑張ろうと思ったが、起きている子達のダメ出しが出てしまったので、一緒に昼寝を堪能すると決めて横たわった。

 ぷよぽよした、ほんのりと温かいスライム達の身体が眠気を誘う。


 睡眠学習のように鑑定結果各種を、サクラが寝落ちしそうになりながらも見せてくれた。


 転移魔法 愛専用魔法。

      この世界には存在しない。

      レベルも存在しない。


 何時でも何処でも希望する場所へ行ける。

 一度も行った事ない場所でも行ける。

 移動に時間がかからない(瞬間移動)

 移動先は希望しない限り、人気のない場所へ転移する。

 人気がある場合は、10分ほど完全に気配が遮断される。

 本来人が生きられない場所へも転移可能。注意1参照!!

 異世界転移もできる。注意2参照!!


 注意1!!

 現時点では、愛本人とスライム達のみ保護対象。

 ルンとピュアは保護対象外なので、転移の際は要注意。


 注意2!!

 元の世界への帰還も可能。

 また、望む時間軸に転移可能。

 ただし、こちらの世界に身体が馴染んでからしか転移できず、

 こちらの世界に馴染んだら、元の世界で永住はできない。

 こちらの世界に馴染むまで、1年かかる。

 愛のみ転移可能。

 身に着けている物であれば共に転移可能。

 ただし生物は不可。

 

 愛専用料理魔法 上限突破!!

 今の所、上限がない状態。


 レベル11 各種調理器具が作成可能。

 ただし、愛が今まで使った物に限る。

 


 *調理器具各種には全てスライムマークが刻印される。


 ボウルとざる

 それぞれステンレス製。

 防水加工済。

 こちらの世界では、ボウルは木もしくは陶器。

 ざるは木で作った網目ざっくりのものしかない。

 布で濾す方法もあるが、時間がかかるし専用布が意外に高い。

 ステンレスは存在しない。


 しゃもじ

 こちらの世界にはない竹で作られている。

 抗菌加工済。






 だいぶ食材が出揃ってきましたので、今ある食材でしばらくやりくりしたいのですが、主人公想いのスライム達が新しい食材他をどんどん貢いでくれそうなので、難しそうです。


 次回は、オリジナルな攻撃魔法ですよ! になります。


 最後までお読みいただきありがとうございました。

 引き続きお読みいただければありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ