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盗賊退治完了の宴。……ます! 中編。

 二週連続お休みですみませんでした。 

 何とか復活しました。

 今はまた同じ頭痛に何時襲われるのかとどきどきしながら作業をしています。



 興奮冷めやらぬローズは、それでも全員の皿が綺麗になるまで辛抱強く待った。

 食べきるそばから、ルンとピュアのコンビが食器を下げてくれる。

 この二人もきちんと食事を堪能しているのだが、片付けに関しては、お役目だから! と譲らずに勤めてくれるのだ。

 食器を片付ける流れで、私に料理の感想をちょこちょこくれるのも忘れない。

 オタクが望んだ究極のアイテムではないかと、密かに自画自賛している。


「さぁ! 皆様お待ちかねのアントレの時間ですわ! 渾身のマデラソースの味を篤と御堪能なさいませ! 『ラムチョップのポワレ マデラソースを回しかけて』をお出しいたしますわ」


 ローズが皿を置いて回る。

 肉好き獣人たちが揃って声を上げた。

 エステファニアも目を輝かせている。

 そんなエステファニアを見て、アランバルリも優しく眦を下げていた。


「ラムチョップ? 聞いたことのない肉の名前ですが……」


 スライムを除いたメンバーの中では、一番の博識であるアランバルリが首を傾げている。

 無理もない。ラムは向こうの表現だ。


「こちらの言葉で表現すると『メーメーの肩肉ロースを肋骨ごとにカットしたもの』になりますのよ。アイリーンのお国言葉の方が語呂がいいので、そのまま使用しましたの」


「確かにこちらの方が語呂はよろしいですね。ふうむ。ラムチョップ……」


 独特の肉の形に何か商売心が擽られるのか、アランバルリは一人で思案に沈む。


「ごしゅじんさま! このほそいところを、てでもって、たべたらだめですか?」


 アルマがきらきらした目で問うてくる。

 ラムチョップをナイフとフォークで綺麗に食べるのは大人でも難しい。

 実は私も完璧とはいいがたいのだ。


「大人の皆には頑張ってもらうけれど、子供たちは手で掴んで食べてもいいわ。ローズお勧めのマデラソースをたっぷりつけて召し上がれ」


「はい! いただきます!」


 子供たちは細い骨部分を慎重に持つと、マデラソースをたっぷりとつけて、ラムチョップを口の中に入れた。

 さすがに骨ごとは噛み砕けないようだ。

 しかし人の歯よりもよほど綺麗に、ついている肉をこそげ取っている。


「うまっ!」


 一口分をきちんと咀嚼してゴヨが声を上げる。

 アルマとドラもそれにならった。


「ふんぬー! う、うまく切れないぞ!」


「貴方! まずは落ち着いて、深呼吸よ! あ、それともレッドワインを一口いただくといいのかしら?」


「ダナが見てチコが酔ってないのなら、それもありだと思うが……」


「貴方、私の分を一口だけなら飲んでもいいわ。はい」


「……レッドワインも美味いな! うううう。俺も一杯全部飲みたい……」


「その様子じゃ無理ね。一口いただけただけでもよしとして、ゆっくりラムチョップをお切りなさいな」


「……お前はいいよなー、器用でよぅ……」


 エステファニアの見本を見ても、チコは上手にできないらしい。

 チコが不器用というより、テオやダナが器用なのだろう。


「ふふふ。チコ。今回は子供たちのように、手で持って食べてもいいわよ? その代わり、後日子供たちと一緒に訓練してもらうかもしれないけれど?」


「有り難いお言葉が身にしみます、御主人様……でも俺も一家の主! 頑張ってみせますよ……上手に肉を取り切れなくても、お許しいただけますでしょうか?」


「勿論、許すわよ。努力する姿は賞賛するしね」


「へへへ、頑張りますね!」


 そしてチコは親の矜持と努力する姿勢をしっかり持っている。

 当たり前に許すと決まっていた。

 頑張れ! と心からの声援を送る。

 一足先にラムチョップを食べ尽くした子供たちも、奮闘するチコを応援し始めた。


「肉オンリーでいくと思っていたけど、野菜も添えたのね?」


「獣人たちは野菜不足になりがちですもの。機会があれば摂取させたいと思い直しましたのよ。それにほら、綺麗でしょう?」


「ええ、とっても。薔薇型に飾ったキャノベツとか素敵。見た目は勿論、味もね」


 中央に置かれたラムチョップ。

 茹でたキャノベツを可愛らしく薔薇型に盛り付け、その茎葉に見えるようにマデラソースが描かれているのだ。

 高級料理店で出されていてもおかしくない一品だろう。

 何よりマデラソースが美味しい。

 肉の焼き加減に至っては、今更説明不要の秀逸さだ。


「ほほほ! これからももっと肉料理の普及に努めますわ。アイリーンは美味しい肉料理をたくさん教えてくださいませ」


「うん。生きているうちに作りきれるかっていうくらい様々な料理があるからねぇ。皆で作って楽しもうね」



 ラムチョップのポワレ マデラソースを回しかけて 

 薔薇キャノベツ添え

 ランクSSS

 マデラソースを使用しているので最高ランク。

 マデラソースと薔薇を模したキャノベツの飾り付けは、感嘆を持って王族に迎えられること請け合い。

 メーメーの肩ロースを骨ごと調理した料理はないので、料理人たちも目の色を変えると推測。

 味覚鋭敏効果大

 貧血防止効果大

 ダイエット効果大



 そして次はサラダ。

 サラダといえば、異世界情緒満載のアレだ。

 皆もきっと驚いてくれるに違いないと信じようとしていた、数分前の私。

 無残よのぅ。

 無残よのぅ。


 ええ、ちっとも驚いてくれなかったんですよ。

 生きがいいいわねーとか、美味しいとか。

 ひよひよって美味しくて可愛いなんて凄いね! とか、歌謡いっていい声してるんだねとか。

 こ、これで私の音痴が治るかもしれません! と拳を小さく握り締めていたエステファニアは可愛かったけど。


 楽しそうに美味しそうに完食していたので、まぁ、一番欲しい反応は得られたのでよしとしたかったんだ。

 でもね?

 またジンニンドレッシングをたくさん飛ばされたんだよね、ひよひよに。

 私だけさぁ……。

 解せぬ。


 

 異世界食材素敵サラダ ジンニンドレッシングがけ

 ランクSS

 ひよ豆、ゆらゆら、歌謡いを使ったサラダ。

 どれも新鮮なので子供でも楽しく美味しく食べられるらしい。

 特にジンニン嫌いのお子様にはオススメしたい一品。

 味覚改善効果有。

 皮膚病改善効果有。 


 

「チーズって、こんなに種類があるものなのか?」


「いいえ。私も初めてのチーズばかりですわ」


 テオの質問にエステファニアが答えている。

 普通のチーズも初めてということは、今まで皆が食べていたチーズはどんなチーズなのだろうか?

 今回提供したのは普通のチーズ、カッテージチーズ、リコッタチーズにスモークチーズの四種類。

 スプーンに一口ずつ載せるのを想像していたんだけど、お皿の上にキューブ状で一つずつ載せられていた。

 説明はモルフォが請け負っている。

 子供たちにはリコッタチーズが、大人たちにはスモークチーズが人気のようだ。

 同じチーズとは思えない! というのが、全員揃っての感想だった。


 そしてアントルメ、フルーツ、カフェにプティフールをひっくるめてのワゴンデセールの時間がやってくる。

 これが食べたくて今までのコースを少量注文する女性は、少なくないんじゃないかと思っています、ええ。


 ルンとピュアがテーブルの上を綺麗に片付ける。

 スライムたちは当初想像していたよりも皆が甘いもの好きと知って、皆を喜ばせるために一度席から離れてもらい、一気にワゴンデセールの用意をしようと画策したようだ。

 私も含めスライム以外の全員は、テーブルに背中を向けさせられた。

 ちょうど隔離スペースを見る羽目になったが、意外にも暴れている者はいなかった。

 どうやら羨ましすぎて気力を消失してしまったようだ。

 一気に用意されるワゴンなデセールを見て、また暴れそうだなぁと思いつつ、スライムたちが準備を整えるのを待った。

 

「さぁ、皆! 準備が整ったのねー。振り返るといいのねー。おかわり自由で好きなだけ食べていい、ワゴンデセールなのねー!」


 リリーの声に歓声を上げながら、皆が振り向いて、絶句した。

 今まで一皿ずつ出されていたからこそ、壮観だった。

 テーブルの上には所狭しとばかりに、デザートが並んでいる。

 エステファニアが倒れそうになって、アランバルリに抱き留められていた。

 順調にフラグが立っていて何よりだ。


「さぁ、皆遠慮なく食べていいのよ? そして是非感想を聞かせてね」


 私の声を聞き弾かれたように、スライムたちから渡された皿を手にした皆が、デセールに躍りかかっていく。


「まずは一つずつ味見をして、気に入った物をたくさん取ればいいのです!」


 サクラの助言に、全員が我に返ったようだ。

 心を落ち着けて、一つずつ丁寧に皿へ盛っていく。

 全部は到底盛り付けられないので、最初はおなかにたまらないフルーツとゼリーを勧めておいた。


「エステファニアさん、これがメロメロンとパパインですか?」


「ええ、そうだと思うわ。私も数度しか食べたことがないけれど……間違いないと思いますの」


 心配そうにエステファニアが私の様子を窺うので、大きく頷いておいた。


「これが、ふるーつどらごんさんが、だいすきな、ふるーつ……」


「すっげぇうまいんだろう?」


「少なくとも匂いは、甘くて美味しそうだわ!」


 子供たちは絵本でしか見たことのないフルーツに興味津々だ。

 大人たちも、ほうこれが! といろいろな角度からフルーツを眺めている。

 一通りの料理を食べたあとなので、余裕があるのだろう。

 また希少なフルーツの出現は、好奇心をいい具合に擽るのかもしれない。


 私はフォークに刺すには少し大きめに切られた、メロメロンとパパインを食べながら皆の様子を堪能する。

 口に入れた途端、大きく目を見開くのは皆一緒だが、その後の反応が様々で微笑みを誘われた。


「口の中でとろけるんだな……」


 テオの言葉に大人たちは大きく頷く。

 それが一番の感想になるらしい。

 こちらで流通しているフルーツは基本硬めらしいので、とろけるほど柔らかいフルーツの食感が衝撃だったようだ。



 フルーツ五種盛り合わせ

 ランクSSS

 希少フルーツや生食不可のフルーツが食べられるので、最高ランク。

 食べられない皮なども飾り切りされているので、見た目も豪華に見える。

 万病に対して一定の回復効果があるので、薬としても重宝されそうだが、大変高価な薬になってしまうだろう。

 万病に効果大

 血圧抑制効果大

 腸内改善効果大



「スライムさんたちみたいだねぇ?」


「料理名もスライム~とか、ついてるのかな?」


「おもしろいー! ぷみぷみするー」


 ぷみぷみとは新しい擬音だなぁと思いつつ、子供たちに目を向ける。

 一足早くゼリーに取りかかっているらしい。


「私はこのさっぱりするのが好きかなー。いくらでも食べられる気がするー」


 ドラは紅茶ゼリーがお気に入りのようだ。

 ゼリーの中では特にダイエットに向くものに心惹かれるのは、何とも女性らしいとも思いつつ、獣人の彼女にダイエットは不要で羨ましいかもと、密かに嫉妬してしまう。


「俺はこの紫のやつ。中に入ってるのはパープルベリーだろ? えーと。ベリーの食感と周りの……このぷるぷるしたやつの食感が違うのが、面白くて美味しいです、御主人様!」


 感想を聞きたいとの言葉に反応して、必死に考えたのだろう。

 ゴヨは尻尾と耳をばっさばっさ、ぴこぴこと動かしながら熱く語ってくれた。


「わたしはねー。これがいちばんすき。あとね。さくらちゃんといっしょのいろで、きれい!」


「そう言ってもらえるとうれしいのです! たくさん食べるのです!」


 自らの色を褒められたサクラは嬉しそうにジャンプを繰り返している。

 確かにサクラの体はピーチゼリーにそっくりの色をしていた。

 同じ大きさ形にして、サクラにじっとしてもらったら間違えそうなほどだ。


 ゼリー系が子供たちに人気というのは、こちらでも鉄板らしい。

 子供たちはしばらく、他のデザートにいかず、ゼリーばかりを食べていた。



 紅茶のゼリー

 ランクSSS

 ゼラチンが使われているので最高ランク。

 こちらは無糖で仕上げているが、有糖も人気がありそう。

 甘い物が得意でない相手にも向くし、口休めにもお勧め。

 滅菌効果大

 健康維持効果大

 ダイエット効果大



 パープルベリーのゼリー

 ランクSSS

 ゼラチンが使われているので最高ランク。

 ゼリーとベリーの食感が秀逸。

 濃紫は男らしい色とされているので、男性にも好まれる。

 ベリーの甘みのみなので、紅茶よりは甘いがピーチよりは甘さが控えめ。

 疲労回復効果大

 老化防止効果大

 視力回復効果大



 ピーチのゼリー

 ランクSSS

 ゼラチンが使われているので最高ランク。

 三種類のゼリー中、一番甘みが強い。

 色が可愛らしく女性に好まれる。

 また果肉の柔らかさと甘みが、幼児にも好まれる。

 むくみ解消効果大

 便秘改善効果大

 保湿効果大





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好  


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   

 校正しつつ、ゼリー食べたーい! と思ってしまいました。

 そろそろゼリーが美味しい季節ですよね。

 去年購入したゼリーの素が残っているので、まずはそれを使い切らないと……。


 次回は、盗賊退治完了の宴。……ます! 後編の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。 

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