表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/198

盗賊退治完了の宴。では、いただき……。

 花粉症対策用の目薬をもらってきたのですが、イマヒトツ相性が悪い気がします。

 しかしその相性の悪さをどう表現したらいいのかわからないという……。

 上手く表現できないかなぁ。

 

 


 集会場は食事をするのに相応しい雰囲気に調えられていた。

 何となくマナーを学ぶ会場のような印象だ。

 実際、私やエステファニア以外にとっては、そんな一面もあった。


「あ、顔は見えるようにしたんだ?」


「離縁どころか絶縁まで確定したから、もう安心だと判断したのねー。でもやっぱり罵声って、関係ない人の心も抉ってくるから、遮音だけは完璧にしたのねー」


 集会場の片隅。

 隔離スペースでは、屑どもが喚いている。

 こちらには全く聞こえないと説明は受けているはずなのに、叫ばずにはいられないのだろう。

 笑える。


「うわー。エターナルフラワーの希少性を謳われても、そんなの知ってるよ! としか……」


「生花なんて見たことないから騒いでいるんでしょうねー。強欲な狐親子は、これを持って逃げれば、今後不自由ない生活ができるとか思っているのかしらねー」


 テーブルフラワーとして、エターナルフラワーをふんだんに飾っている。

 心安らぐ香りは料理の邪魔にならない不思議な花だ。

 トリアさえ許せば無限増産できるので、私たちの中でエターナルフラワーの希少性は薄い。

 リリーは教会との取り引きで使ってもいいという許可を、既にトリアから得ているようだ。

 狐親子が盗んで逃げたところで、売買は難しかろう。

 リリーがアランバルリを通して打診した結果。

 エターナルフラワーは教会の管理下に置かれると決定してしまっている。

 闇に流したとしても、高値では売れないのだ。

 闇の者たちも教会の恐ろしさを知っている。

 販売を持ちかけた者を売った方が、よほど自分たちの糧になるのだと。

 そうでないと嘯きながらも、心のどこかで信心深かったりするのが、大半の闇の者たちらしい。

 ゆえに、決して教会を敵には回さない。

 

 リリーから聞いた様々な講義を思い出して一人頷いていると、スライムたちに連れられて、皆がやってきた。

 飾り付けられた集会場に、揃って感嘆の声を上げている。

 屑たちは、そんな皆を見て激しく暴れていた。

 絶縁すら決まって、心も強くなったのかもしれない。

 皆は屑たちに対して恐怖を覚えていないようだった。


「隔離スペースにいる限り、自分たちは決して害されないと信じているのねー。短期間でここまで忠誠度を上げられるなんて、さすがは村長様なのねー」


 ひゅうひゅうと囃し立てられる。

 ドヤ顔の気配があったので、思いっきりリリーの頬肉? を引っ張っておいた。


「さぁ、食事の用意が調ったわよ。あとはスライム収納からできたてを出すだけ……その前に、皆。屑どもに対して、やるべきことがあるわね?」


「はい! 御主人様。まずは手前どもからお願いしたいのだが、よろしゅうございますでしょうか?」


「ええ、問題ないわね。エステファニア」


「はい、御主人様」


 エステファニアがもの柔らかな微笑を浮かべて頷く。

 斜め後ろにはしっかりとアランバルリが立っている。


「せないだ、さん。わたしたちは、ほんじつをもって、あなたとぜつえんします!」


 アルマが猿夫人を指さして告げた。

 彼女はセナイダという名前だったようだ。

 ここにきて初めて知った。


 エターナルフラワーの美しさを羨む眼差しで凝視していたセナイダは、ゆっくりと顔をアルマに向けた。


「ぜつえんします!」


 セナイダの暗い眼差しにも、アルマが怯える様子はなかった。

 ただ父の服を掴んでいた手に、少しだけ力が入ったようには見受けられる。


「御主人様がお許しくださったんだよ、セナイダ。手前と君は離縁した。既に決定事項でこれは何をしても覆せない。また更に絶縁の手配も取ってくださった。金輪際手前とアルマに関わらないでくれ。またこれまでアルマを虐待した罪に関しては金銭にて、贖ってもらう。その手はずも整っている」


 セナイダの顔が酷く歪む。

 傷がなくても異様な醜さに見えた。

 性格の悪さが滲み出ているのだろう。

 

「これからは『蕗の薹を愛でる日々』で好きなだけ励めばいい」


 その店の名前を挙げた途端、セナイダは顔を掻きむしりながら絶叫を上げる。

 声は聞こえないが、その絶望の深さは十分に知り得た。

 ざまぁみろというよりは、相応の報いだと、狸親子は頷き合う。

 そして後続に譲った。


「私は放逐された白虎の第五王子と離縁し、絶縁いたしました。またその子とも絶縁いたしました。未来永劫私と……私の大切な方々と縁を持とうとしないでくださいませ」


 名前すら口にするのが悍ましいのだろう、エステファニアは失っても尚、親虎が縋ってきたに違いないその意味なき地位を紡ぐ。

 親虎が怒りのあまりにか殴りかかってきたが、隔離スペースは無敵だ。

 どころか反撃までする。

 何度でも反撃をするだろう。

 無駄だと、その身で自覚できるまで。

 親虎は拳を血に塗れさせ、雷撃を浴びたように全身を不自然に痙攣させながらも、拳を振るい咆哮を上げた。

 エステファニアは狂気の迫力に一歩だけ後退ったが、アランバルリにそっと背後を守られて、それ以上の後退は踏み止まった。

 子虎はといえば、ぽかーんと口を大きく開けたまま硬直している。

 大きく見開かれた瞳が示した感情はただ一つ。

 困惑だ。

 

 どうして、自分は母親に捨てられなければならないのだろう。


 自分が実母にどれほど酷い振る舞いをしてきたか、全く理解できていない無様さだ。


「えーと。御主人様。自分たちもよろしいでしょうか?」


「ええ、勿論いいわよ?」


 しゅたっとチコが手を挙げたので、許可をする。


「僕たち親子も、貴方方とは知人ですらありません。今まで貴方方犯罪者と一緒に扱われるのは業腹でした。僕たちにも絶対に! 近付かないでいただきたい」


「……貴方方は、伴侶に、子供に、赤の他人に、酷い真似をしすぎました。御主人様が決めた裁きに従い、どうぞ少しでも罪を償ってください」


「子供でも許されないことってあるんだよ?」


「うん。子供だからって助けてもらえるなんて、思わないでね?」


 ゴヨとドラの言葉に、子虎と子狐が反応する。

 同年代の言葉が、僅かでも彼らに伝わっていればいいのだけれど。

 不服そうな二人の顔を見るにつけ、期待はできなそうだ。


「セナイダは明日村を立つアランバルリの手によって、『蕗の薹を愛でる日々』に売却される。なるべく長く生かすように手配するから安心すればいいよ。虎親子は村への滞在は許すけど私たち……貴方方の元家族や元同僚も含みます……への接触は禁止。狐親子も同様ね。私たちの指示に従わなかった場合は、即座にセナイダと同じ手配になると理解しなさい」


「『蕗の薹を愛でる日々』には女性こそ多いですが、同じ仕事をする男性もいらっしゃいますので。その点は御安心くださいませ」


 言葉こそ丁寧だが、皮肉のこもったアランバルリの発言を聞いた狐親子が揃って荒ぶりだした。

 まさかそこまで酷い手配になるとは思わなかったようだ。

 何度も差し伸べられた助けの手以上のものを、一方的に求め続けてきた者の末路など、そんなものだというのに。

 ある種、猿夫人や虎親子よりも破綻している思考回路には、いい加減うんざりさせられる。


「そういえば、この者たちの食事は何時お出しすればよろしいですの~」


 カロリーナの声に、暴れていた者たちが動きを止める。

 どうやらかなりおなかが空いているようだ。

 無駄な痴態は、もしかすると空腹が齎したものだったのだろうか。

 ……そんなはずもないか。


「全員が食べ終わってからだよ。皆が美味しい物をたらふく食べて満足したあとで、出してあげてね……カロリーナとペネロペの特選キノコ料理を!」


「うふふふ。ペネロペちゃんのキノコ談義はすばらしいものでしたわ! 私、まだまだ勉強しなくてはならないと自覚いたしましたのよ~」


「カロリーナも凄いのよ! まさかラミア種でこんなにキノコに詳しいなんて驚きなのよ。あとはお料理もすっごく上手なのよ……まさかあのキノコたちが、びっくりするほど美味しくなるなんて信じられないわよ……」


「美味しくできましたキノコ料理は、別の機会を取っていただいて、そのときに美味しくいただきたいですわ~。アイリーン監修のフルコース料理! 本当に楽しみ過ぎて涎が止まりませんわ~」


 カロリーナとペネロペのやり取りに不満げな屑どもだったが、食べてみないことには始まらない! と気合いを新たにしたようだ。

 子虎などはみっともなく涎をだらだらと垂れ流している。

 エステファニアが静かに眉根を潜めていた。


「さぁ、では皆。席についてね。まずは前菜からいくわよ……あ! その前に、飲み物を選んでもらおうかしら。子供組にはベリー系のジュースを用意してあるわ。大人にはワインね」


「食前酒にピンクワイン、魚料理にホワイトワイン、肉料理にレッドワイン、ブラウンワインはお好みで考えているのねー。皆、お酒はどれぐらい飲めるのねー?」


「私は、コース料理に出てくるワインは普通に嗜めます」


 さすがに元貴族。

 お酒には強いらしいエステファニアが答えるのに、皆が続く。


「手前はその……ほとんど飲んだことがございませんので、どの程度飲めるのかわかりかねております。まずはその……食前酒で試させていただいてもよろしいでしょうか?」


「自分とダナは、ワインなんて高級な物は飲んだことがありません。庶民酒は酒精が弱いので浴びるほど飲んでも平気でしたが……」


「チコと私もテオ殿と一緒で、食前酒のお試しからお願いしたいです」


「了解! 無理に飲むことはないからね。美味しく飲めるなら好きにお代わりをする感じで」


 スライムたちがお酌に回っている。

 エステファニアは、久しぶりといった感じに目を細め、他の大人たちは、ほうこれが、ワイン! と目を輝かせて優しいピンク色のワインを見つめた。


「子供たちは、レッドアップルジュース、オレンジベリージュース、パープルグレープジュースがあるわよ? 全部! っていうのも大丈夫……」


「「「全部ぜんぶ、飲みたいです(のみたいです)!」」」


 想像通りの揃った返事があった。

 元気でよろしい。


 スライムたちが三種類のジュースを置くそばから、くんくん匂いを嗅いでいる。


「わたし、れっどあっぷるじゅーす! をいちばんにのむんだ!」


「俺は一番好きなのは最後に取っておく派だから、パープルジュースから飲むぞ!」


「私は逆だからパープルジュースから飲むね! うーん。美味しそうな匂い!」


 三人のお気に入りは既に決まっていて、全員違うらしい。


 私は全員に飲み物が渡り、前菜が並べられたのを見計らって、声を上げた。


「乾杯!」


 唱和のあとで、皆一気に飲み物を飲んでしまう。

 子供たちですら平気なのに、ペネロペだけ一人むせっているのが不思議だった。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともに良好  


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)   

 

 某刀擬人化ゲームの好きキャラをイメージしたナイトジェルが届きました。

 これで私も彼と同じ年齢を感じさせない素敵な肌に……。

 そのうち経過報告をこっそりするかもしれません。

 

 次回は、盗賊退治完了の宴。……ます! 前編の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ