盗賊退治完了の宴、の準備。後編
気がついたら某映画の放映期間が危険な感じになってきたので、レディース日に行くこと決定して、当日を楽しみにしていたら、体調不良……。
来週もやってるといいなぁ……。
フルーツ五種盛りは既にできていた。
レッドベリー、オレンジベリー、レッドアップルは、それぞれ美味しくいただいている。
本来なら生食できないレッドベリーには、皆も驚くだろう。
残り二種類は初めましてのフルーツ。
メロメロン(メロン)とパパイン(パイナップル)。
どちらも希少ではないのだが、皮が厚くて剥きにくいのと、フルーツドラゴンの好物とされているので、入手は簡単ではないようだ。
匂いに惹かれてたどり着いても、大抵フルーツドラゴンが何時でも食べられるようにと近くに巣を作っているらしい。
ドラゴン種の中でも温和な気質なので、上手に交渉すれば手に入れられる可能性もないではないのだが、一般人にドラゴンの相手は敷居が高かろう。
専門業者を通じての購入が無難とされている。
うちの場合は、交渉上手のリリーあたりが頑張ったのだと推察した。
三種類のゼリーは、ピーチ(桃)、パープルベリー、紅茶になったらしい。
フルーツゼリーばかりを考えていたが、紅茶のゼリーもさっぱりしていて美味しいのだ。
無糖の紅茶ゼリーは、ダイエットにもいいと聞いてよく食べた過去がある。
紅茶ゼリーとくれば、当然コーヒーゼリーも作りたい。
ますますコーヒーダンジョンに潜りたくなってきてまいった。
「ん? 何か問題があったりしたかなぁ」
「あ、ごめんね。紅茶のゼリーがあるなら、コーヒーのゼリーも作りたいなぁって」
「え! あんなに苦いコーヒーのゼリー?」
どうやらトリアはコーヒーを飲んだ経験があったようだ。
「そそ。ゼリーになると随分まろやかな苦みになるよ。生クリームをかけて食べると美味しいんだよね」
「あぁ、なるほど。それなら美味しいかもしれない。アイリーンが作ったら、是非食べさせてよ」
「了解!」
パープルベリーの皮を一生懸命剥いていた手が止まってしまったのをリリーに怒られつつも、トリアは御機嫌だ。
ときどき、あーんと口を開けさせられて、新鮮なフルーツや仕上がった料理を放り込まれているからだと思う。
「ピーチはムースと迷ってゼリーにしたのねー」
「あー、どっちも美味しいもんね」
「そのうちピーチティーとかコンポート、ジャムにも挑戦したいのねー」
「フルーツジャムは、あれもこれも作りたくなって困るよね」
鉄板は苺ジャムだが、向こうでは結構な種類のフルーツジャムを美味しくいただいたものだ。
季節が変わるごとに新作が出るものだから、心躍るままに購入しては、食べきれなくて悪くしかけたりもしたっけ。
三種類のムースは、ブラックベリー(カシス)、ヨーグルト、バナーナ(バナナ)に決定したようだ。
ちなみに、まだ手つかずである。
トリアへのフルーツ切りの指導で、リリーの気力は薄れていたのかもしれない。
包丁の使い方に関しては、やはりサイの指導が一番なのだろう、教わる方にとっても教える方にとっても。
あとでがっつりねぎらってあげようと思いつつ、バナーナのムースに取りかかる。
ヨーグルトのムースはカロリーナが引き受けてくれた。
彼女の中ではプリンに近しい至高のスイーツらしい。
ヨーグルトプリンも作ろうと思っていますの! と熱く語られてしまった。
カシスはピューレにする過程が大変なので、手の空いているスライムたちが気合いを入れて作ってくれるようだ。
バナナムースといえば、チョコバナナムースだ。
コーヒーといい、チョコレートといい、普通に手に入っていた物が手に入らないのは辛い。
特に食に重きを置く性分なので、他人よりその手の執着は強いだろう。
向こうでも嫌みったらしく言ってくる輩は多かった。
それでもまぁ、可愛くて優秀なスライムたちのお蔭で、転移した当初から恵まれた生活ができている。
トリアが加わってからは、育成から見守れるようにもなったのだ。
これ以上は贅沢が過ぎるだろう。
……と頭では思っていても、気になってしまうのが世の常で、人の欲望というもの……。
「……こっちには、カカオ、もしくはチョコレートってないの?」
「どちらもないのです。アイリーンの要望に応えたいのは山々ですが、確実な入手はお約束できないのです」
「確実な入手は、というと?」
「欲望のダンジョン、という特殊ダンジョンの中でも、別格のダンジョンがあるのです」
「ほぅ!」
これまた厨二病心を擽るダンジョンだ。
どんなダンジョンなのか具体的に聞くまでもなく、滾ってしまう。
「どんな欲望でも、試練を果たせし者には、必ず与えられるのです。それこそ、永遠の命でも……」
「想像していたより凄かった!」
「けれど代理人は不可で、欲望に応じて試練が絶望的に難しくなるので、大それた欲望はほとんど叶わないのです」
「だよねー」
「この世界に存在しない食材入手程度であれば、楽勝なのです。育成方法でも、たぶんいけると思うのです。ただこの世界で誰もが食べられるようにしたいとすれば……難しいと言わざるを得ないのです」
「取りあえずは自分たちが死ぬまで食べられる量の確保かな?」
「それならば楽勝なのです。村がもう少し落ち着いたら、ダンジョン攻略に勤しむといいのです!」
「うん。そうしたいなぁ。異世界転移の醍醐味だもんね、ダンジョン攻略!」
サクラがスライムシェイク(今回はミキサーバージョン?)でバナーナを、しっかりと攪拌して液状にしてくれる。
変色防止と風味追加の意味をかねて、イエローベリーの果汁も入れた。
ボウルに入った液状のバナーナの中へ、白砂糖とモー乳を入れて再度攪拌。
綺麗に溶けたらゼラチンを入れてしつこく攪拌。
最後に生クリームを入れて、丁寧に混ぜる。
個別の器に注いで、一時間ほど冷やせば完成……だけど、瞬間冷蔵でさくっと冷やしてスライム収納へ。
上に載せる飾り用のバナーナは出す直前に載せようと、切るだけ切って同じく収納してもらった。
「アイリーンさ~ん! ヨーグルトムースの味見をお願いしたいですの~」
あーん! とスプーンに載せられたヨーグルトムースに苦笑しながら、瞬間冷蔵をかける。
「は! ごめんなさいませ~。既にできあがったつもりでいましたわ~」
羞恥に身もだえるたびに、カロリーナの豊満な乳房がゆさゆさと揺れる。
そういえば、カロリーナは屑虎親子に目をつけられてはいないだろうか?
バナーナのムースと、材料はほぼ一緒なのに全く別物の味だ。
こちらはよりさっぱりとしている。
「うん。美味しいね! このまま容器に入れてくれれば、一気に冷やすよ」
「ありがとうございます~。アイリーンに美味しいって言っていただくと、本当に自信が持てますわ~」
「そういえばさぁ、カロリーナ」
「どうかいたしましたか~?」
「あの、虎親子から変な目で見られたりしてない?」
「胸は凝視されましたわねぇ~。しかし私の下半身が気に入らないようですわ~。蛇と交わる輩の気が知れぬ! とか、でもあの乳房だけは捨てがたいよ! とか親子揃って屑発言をしておりましたのよ~」
何とも図々しい発言だ。
ラミア種の中でも一風変わった倫理観を持つカロリーナなら、虎親子が望む都合の良い女にもなっただろうに。
当然カロリーナにこそ、選ぶ権利があるので、そんな女になり下がりはしないし、私たちも許さないだろうけれど。
「まぁ、一般的なラミア種に出会った男どもの、無難な反応と言えばその程度ですのよ~?優しいアイリーンが気にするほどの価値もございませんわ~」
おっとりと笑うカロリーナは、想定していたより不愉快にはなっていなかったらしい。
それはそれで良かったが、奴らが贖うべきモノが増えたのには変わりない。
「なら良かったわ。引き続きよろしくね」
「承知いたしましたわ~」
「ブラックベリーのムースはどう?」
「バッチリなのです! ひやっとさせたら味見をするのです」
「じゃあ遠慮なく、ひやーっとさせて……」
サクラが自信ありげに渡してくれた容器を手にする。
冷やしてからたっぷりとスプーンで掬っていただいた。
「あー美味しい……酸味と甘みの加減が、例によって絶妙に私好みですぅ……お酒は何を使ったの?」
「ん! ホワイトラムにしたのっ!」
「どれにしても大丈夫だと思うけど、ホワイトラムって何にでもあいそうだよね……」
味見の量ではなくなっている気がする、ブラックベリーのムースを完食する。
デザートは別腹と言うし、地味に魔法を使っているからカロリーもさくさく消費されているだろう……たぶん。
「よし! っと、これで完成。じゃあ集会所へ皆を連れてきてくれる? あの、屑どもも、ね?」
良い子の返事をしたあとで、全員が手分けして散っていく。
リリーだけが私のお守りに残ってくれたようだ。
アランバルリも行ってしまった。
彼はきっと、エステファニアの元へと行くのだろう。
私はリリーと二人で、集会場へと足を運んだ。
メロメロン
メロン。
皮が厚くて剥きにくい、基本巨大サイズ。
それ以外は向こうのメロンと同じ。
フルーツドラゴンの大好物。
野生メロメロンの実
料理の材料になる。
生でも食べられる。
ドライフルーツとして、高値で売られることが多い。
+ゼラチン、綺麗な水、白砂糖
野生メロメロンの皮
防具になる。
鍛冶師の手を経て細工師が作る。
近くにドラゴンがいると、引き寄せるので要注意。
野生メロメロンの花
香水の材料になる。
調香師のみ作れる。
脳筋気味の相手に対して、弱い魅了効果を発揮する。
野生メロメロンの葉
ドラゴン寄せの薬になる。
薬師のみ作れる。
+ドラゴン種の鱗(粉末)、ワーセリン、綺麗な水
野生メロメロンの種 レア
栽培できる。
+綺麗な水
パパイン
パイナップル。
皮が厚くて剥きにくい、基本巨大サイズ。
それ以外は向こうのパイナップルと同じ。
フルーツドラゴンの大好物。
野生パパインの果肉
料理の材料になる。
生でも食べられる。
ドライフルーツとして、高値で売られることが多い。
+ゼラチン、綺麗な水、白砂糖
野生パパインの皮
防具になる。
鍛冶師の手を経て細工師が作る。
近くにドラゴンがいると、引き寄せるので要注意。
野生パパインの棘
武器になる。
鍛冶師の手を経て細工師が作る。
ドラゴン種に大きなダメージを与えるが、扱いが難しい武器。
鎖鎌系。
野生パパインの花
香水の材料になる。
調香師のみ作れる。
パパインを食べた気持ちになれる。
野生パパインの葉
ドラゴン寄せの薬になる。
薬師のみ作れる。
+ドラゴン種の鱗(粉末)、ワーセリン、綺麗な水
野生パパインの種 レア
栽培できる。
+綺麗な水
ピーチ
桃。
白、ピンク、オレンジ色がある。
掌サイズ~人頭大の物以外は、渋くて食べられない。
甘みは白が一番強く、オレンジ色が一番薄い。
繁殖は白が一番弱く、オレンジが一番強い。
比較的入手しやすいが、日持ちしないのが難点。
野生ピーチの実
料理の材料になる。
新鮮であれば生でも食べられる。
ドライフルーツとして、高値で売られることが多い。
+綺麗な水、白砂糖、イエローベリー果汁
野生ピーチの皮
お茶になる。
乾燥すべし。
ホットでもアイスでも美味。
野生ピーチの花
厄除けアイテムになる。
細工師のみ作れる。
子供に対して効果が高い。
野生ピーチの葉
化粧水になる。
薬師のみ作れる。
+綺麗な水、グリンセリン
野生ピーチの種 レア
栽培できる。
+綺麗な水
ブラックベリー
カシス。
小粒で生食できるが渋いため、加工が基本。
ブドウ同様に、みっしりと房になっている以外はカシスと同じ。
野生ブラックベリーの実
料理の材料になる。
新鮮であれば生でも食べられるが、お勧めしない。
基本加工品でも酸味が強い。
+白砂糖
野生ブラックベリーの花
サバイバル料理の材料になる。
処理に失敗すると不味い。
この世界では使い物にならない素材として捨てられている。
+酸味を必要とするときに、みじん切りにして使用
野生ブラックベリーの葉
お茶になる。
生葉を沸騰させるべし。
ホットでもアイスでも美味。
野生ブラックベリーの種 レア
栽培できる。
+綺麗な水
バナーナ
バナナ。
基本はバナナと一緒。
モンキーバナナならぬビッグバナーナ(大味)が存在する。
高い木の一番上に実るので、採取は難しめ。
更に日持ちがしない。
野生バナーナの果肉
料理の材料になる。
新鮮であれば生でも食べられる。
ドライフルーツとして、高値で売られることが多い。
+綺麗な水、白砂糖、イエローベリー果汁
野生バナーナの皮
かゆみ止めになる。
薬師のみ作れる。
+トールメン草、綺麗な水
野生バナーナの花
サバイバル料理の材料になる。
処理に失敗すると不味い。
あく抜き必須!
この世界では使い物にならない素材として捨てられている。
+甘味を必要とするときに使用
野生バナーナの葉
包み料理の材料になる。
葉そのものは食せない。
特に魚の包み蒸しに向いている。
野生バナーナの種 レア
栽培できる。
+綺麗な水
喜多愛笑 キタアイ
状態 心身ともに良好
料理人 LV 4
職業スキル 召喚師範
スキル サバイバル料理 LV 5
完全調合 LV10
裁縫師範 LV10
細工師範 LV10
危険察知 LV 6
生活魔法 LV 5
洗濯魔法 LV10
風呂魔法 LV10
料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用
掃除魔法 LV10
偽装魔法 LV10
隠蔽魔法 LV10
転移魔法 LV ∞ 愛専用
命止魔法 LV 3 愛専用
治癒魔法 LV10
人外による精神汚染
ユニークスキル 庇護されし者
庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化 解体超特化
称号 シルコットンマスター(サイ)
某回転寿司のフェアが気になって仕方ないです。
体調が復活したら行きたいものです。
次回は、盗賊退治完了の宴、いただき……。(仮)の予定です。
お読みいただきありがとうございました。
次回も引き続き宜しくお願いいたします。